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透析者の就労を応援します
2013.4.1
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まずは、透析者の就労の実態に関してですが、就労率に関しては男女共に思っていた以上に低い数字になっていました。参考までに総務省統計局がまとめている「労働力調査」によると年齢の区分けは異なりますが、男性では35〜44歳の就労率は92.1%。女性で79.6%となっています。体調面、通院に伴う時間的な制約もありますが、採用してもらえないという現状もあります。
男性 | ||||
---|---|---|---|---|
30〜39歳 | 収入のある仕事をしている | 67.9% | 無職 | 22.6% |
40〜49歳 | 〃 | 68.2% | 〃 | 25.8% |
50〜59歳 | 〃 | 57.9% | 〃 | 34.2% |
女性 | ||||
30〜39歳 | 収入のある仕事をしている | 38.3% | 無職 | 22.2% |
40〜49歳 | 〃 | 32.6% | 〃 | 19.7% |
50〜59歳 | 〃 | 22.8% | 〃 | 19.2% |
透析者にとっての就労とは
これは透析者に限ったことではありませんが、
「いきいきと生活をすること」「生きるモチベーションを与えてくれるもの」
そして、「自分を成長させてくれるもの」
そう言えるのではないかと思います。
「働く」ことは、もちろん経済的な自立をもたらすことであり、
生きること、そのものを自立させることになります。
そして、社会に積極的な参加をすることでもあり、
社会の一員であることを強く自覚することでもあります。
現在全国の透析者にかかる国の医療費は約1.5兆円。
透析者の先人の方々の血のにじむような多くの活動によって、
幸いにして今日では現在自己負担の少ない制度が整えられています。
しかし、この現状の制度も未来永劫変わらない保障などどこにもありません。
それは、国の財政状況をみれば明らかです。
患者会活動によって透析医療の制度をしっかり守っていくことはとても大切なことです。
それとともに、個人として自分が出来る範囲で働くこと、自立をめざして動くことは
個人にとってのみならず、社会にとってとても大切なことでもあります。
就労するにあたって
一人一人、同じ透析者であっても体調、他の持病、合併症、また生活環境、家族環境も異なります。 もちろん仕事として取り組みたいことも違います。
まず、以下のことをじっくりと考えてみましょう。
1. 仕事でどういう成長を遂げたいのか、どんな仕事をしたいのかを明確にする
これは、透析者であるかどうかとは直接関係はないことです。
仕事をすること、そのこと自体経済的な自立に繋がることはもちろんのこと、
生きるモチベーションを得られることでもあります。
仕事でやりがい、楽しさ、達成感を得られることは、心身にとっても良い効果につながることです。
まず、自分はどういう仕事をすると、楽しくやりがいを感じいきいきと過ごすことができるのか。
自分のこれまでの過去を棚卸しながら、じっくりと考えてみることが大切です。
2. 心身の状態をみて、まずできることを…
心身の状態は人それぞれであり、医師による就労可能かの判断に基づくことは大前提ですが、フルタイムで働く正規社員、また契約社員、週数回何時間かで働くパート・アルバイト、といったように様々な就労形態があります。
どの形態が今の自分にとって、適切かどうかを見極めることが大切です。
最初は無理をせずフルタイムではなく、短時間で働く形態として、パート・アルバイト、または在宅勤務(テレワーク)を経験し、ステップアップを図るという選択肢もあります。
次に透析者が就労するにあたってのステップやサポート機関等を紹介します。
仕事を見つける
新卒者就職の場合
新卒者についてはまず早めにサポーターを見つけることと、自分自身のこれまでの人生の歩みの棚卸しと整理。そして、志望企業と将来への展望を早めに立てるかがポイントとなります。
そのために、おもに3つの方法があげられます。
1. 就職部に行く
- 高校、大学、専門学校生の方の場合、まず早めに「就職部」に相談にいきましょう。 「就職部」には、たいてい障害者学生の担当の方がいます。 その担当の方があなたにとって、これから始まる厳しい就職活動の一番のサポーターです。良好な関係を築くよう心がけましょう。
2. ハローワークを利用する
- 自宅の管轄ハローワークに相談に行きましょう。
※事前にインターネットで調べ、障害者担当のセクションを確認しておきましょう。
3. 障害者専門の人材紹介会社を利用する
- 「じんラボ」運営会社である、(株)ペイシェントフッドをはじめ、複数の障害者専門の人材紹介会社があります。
登録をするとさまざまな求人情報の他、サポートを無料で受けることができます。
再就職の場合
- 年齢を増すにしたがいやはりその難易度は高くなることを理解し、覚悟したうえで、「絶対に就職する!」という強い決意が必要です。
- 自分自身でインターネットや新聞の折り込みで求人情報を得ることができます。
また、上記「新卒者就職の場合」の「2. ハローワークを利用する」「3. 障害者専門の人材紹介会社を利用する」ことも有効です。 - 「履歴書」「エントリーシート」には、新卒者以上に、自分自身のキャリア、志望先への熱意等をしっかり整理したうえでまとめること。
面接でのしっかりした受け応えが求められます。
就労してから
仕事と透析を長く両立させるためにはやはり、何より良い体調を保つか、そしていかに職場の理解を得られるかが大切です。
以下、それぞれ少し詳しく書いてみたいと思います。
体調を整えましょう
一般的なことでもありますが、
- しっかり休養(睡眠)をとる。
- 暴飲暴食をしない。
- ストレスをためない。
- しっかり透析をする。
- 無理せず、甘えず。
といったことが上げられます。
最初の3点はご理解いただけると思いますが、なかなか仕事をしていると忙しさに「そんなこと言っていられない。」といったことが必ずあります。それでも、やはりしっかり肝に銘じておくことは、長く仕事を続けていくうえでとても大切なことです。
4つめの「しっかり透析をする。」について、勤務日のうち週の2日または3日は透析に通うことになるわけですが、私がサラリーマン時代には火曜日と木曜日は透析のため17時に退社して、18時から透析をしていました。当時は4時間透析でしたので、ぎりぎり4時間出来るかどうかという感じでした。
しかし、そうはいっても仕事は生もののようなもので、トラブル等も起きるものです。そのためにたびたび透析時間を削ってしまいました。出来るだけ長時間しっかり透析をすることが大切であることを知った今では、このことを本当に反省しています。
最後の5つめ、「無理せず、甘えず」ですが、長い期間仕事を続けていくなかでは、気を付けていてもどうしても体調の悪い時はあるものです。
そうならないように「休む」ことを選択することはとても大切ですが、なかなか忙しい日常にいるとそれが出来なくなってしまいます。
また、仕事が辛いときにはもう休みたい、体調は悪くなくてももう嫌だという気持ちから、なんか体調が悪いような気持ちになったりもしてきます。
人間は自分に甘く、楽な方、楽な方に考えてしまう傾向があるのではないでしょうか。私自身もそう自覚しています。
そんなことから「無理せず、甘えず」という言葉を常に肝に銘じていました。
「今、自分は無理しているのではないか?」「病気に甘えているのではないか?」
読んだその通りのことなのですが、意外とこれが難しいものなのです。
「正解」みたいなこともないだけに。
難しいのですが、このことを意識してきたことで、自分なりに身体を労わりながら、かつ律してサラリーマン生活を送ることができたのではないかと思っています。
職場の理解を得ましょう
共に仕事をする上司や同僚といった仲間に透析について理解してもらうことは、長く勤めていくうえでとても大切なことです。
もちろん配属される際に、会社から職場の人たちへ透析をしているということが伝えられていることが前提とはいえ、なかなか理解はできていないことと思います。
かと言って、「私の病気のことを知ってください。」と押し付けるような姿勢で伝えるようなことはかえって印象があまり良くありません。
例えば、宴会の席でお酒を勧められたりした際(お酒自体が透析者に悪いわけではありませんが…)、また日々働いていくなかで、ふとした時に透析のことを訪ねてくれる人もいると思います。
そのような機会に伝えていくことを続けることで、だんだんと職場全体への理解も拡がり、深まっていきます。
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