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患者会ってなに?【第5回(最終回)】
未来のために今から出来ること
2014.9.1
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こんにちは、アスペクト比Pです。前回は全腎協や各都道府県患者会の歴史をちょっとだけご紹介しました。今回は「未来のために今から出来ること」というテーマで今から未来に向けて患者会で出来ること、やらなくてはならないことを書きたいと思います。あくまでも私個人の思う理想ですので夢見がちなモノかも知れませんし、患者会のオフィシャルな考えではないことを先にお断りしておきます。
去る6月に神戸で行われた日本透析医学会学術集会で発表された統計によると、昨年末の時点で国内の人工透析療法を行っている患者の総数は31万人を超えました。その内、65歳以上の高齢者の割合は半数以上であり、新規に透析療法を始めた患者さんの平均年齢は68歳、心筋梗塞などの深刻な合併症を患う方も年々増加しているのが現状です。このような中で、患者会自体も役員及び会員の高齢化や新規入会者の減少など、課題は山積みです。一方で少子化による労働人口の減少は、医療、介護などの分野における人手不足や、国レベルでの税収の減少が人工透析など高額な医療費の保障削減に繋がるのではと、多くの方々が危惧するところです。
このような中で10年後まで透析医療に対する国庫負担やさまざまな助成が現行のレベルで維持されるという予想は楽観的だと私は考えています。人員不足、予算不足などの問題を抱える患者会がこれからのために出来ることは何か? それは大きく分けて3つに分けられると考えました。それは「防衛」「阻止」「発展」とそれに基づく行動です。
「防衛」
現行の透析医療の枠組みの維持が「防衛」です。すなわち「いつでも、どこでも、だれでも」透析が受けられるという現状の維持を訴えるために、国会請願署名活動の強化や、与党や関係省庁への要望・陳情を継続する必要があります。こう書くと「今までと同じではないか」と言われるかもしれませんが、この要望にもっと若い世代の患者が参加したり、今後透析を必要となるであろう慢性腎臓病(CKD)患者への積極的な参加呼びかけが重要です。新たな国民病と言われている慢性腎臓病への対策は急務であると、メディアやネットなどさまざまな媒体で訴え続けていく必要性は高いのではないかと思います。
「阻止」
これは2つあります。1つ目は新規導入患者の拡大の阻止です。減塩の訴えや糖尿病に対する正しい知識と対策の普及啓発を行い、新たな透析患者の増加を抑えることが重要です。2つ目は今、透析を受けている患者の合併症発症率の拡大を阻止することです。
至適透析などその方のライフサイクルにあった最適な透析の呼びかけ、それによる重篤な合併症の予防からの医療費の増加阻止が必要だと思います。
「発展」
患者会を知っていただき、参加してくださる方々を増やすための努力と、さらなる医療技術発展のために患者会も活動していくことが「発展」です。iPS細胞の研究など再生医療に対する研究推進や、助成強化を患者側から訴えることによって日本医療全体の発展に寄与できるのではないでしょうか。
かつて、多くの慢性腎臓病患者が金銭の問題や必要機材の不足など多くの問題のために望んでも得られなかった「明日」を、今を生きる私たち慢性腎臓病患者は、多くの医療関係者や関係機関の皆様のご支援により手に入れることが出来ました。そんな私たちが、次の世代、「未来」のためにできることを、今一度、考えてみませんか?
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