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看護師さんに聞く! 透析看護の現場【1】

2014.5.13

文:じんラボスタッフ

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透析医療の現場は、医師、看護師、臨床工学技士、管理栄養士等さまざまな専門家によって支えられています。 その中でも、患者さんにとって最も身近な透析看護師さんとは、いったいどのようなお仕事なのでしょうか?
透析看護のお仕事内容について、4人の看護師さんにお話をうかがいました。
1人目は、長い間透析看護に携わった経験を持つ、株式会社 Advance 代表の野田夕子さんです。


野田夕子

株式会社Advance
代表取締役
透析支援看護師

野田夕子さん

京都市、奈良市の医療現場にて22年間勤務(内科、外科、精神科急性期、認知症病棟、透析センター)。2013年7月、「透析支援看護師」としてより広く透析患者さんを支援するため任意団体Advance設立。看護介護講師事業を行いながら、透析患者支援看護師として関西・関東の患者会、透析関連施設・企業へのコンサルタント・アドバイザー契約を受託。2014年5月株式会社Advance設立。 保有スキルは医療安全管理者、認定看護管理者ファーストレベル、喀痰吸引教員。


新しいことにチャレンジしたい気持ちが強かった

私が出産した当時は育児休暇が取りにくかったので、産後すぐ復帰しました。その時、勤務先(病院)から夜勤のない透析室はどうか、と勧められました。 透析には看護師を何十年勤めていても、そこに飛びこまないと身につくことのないスキルがたくさんあります。当時の私は、新しいことにチャレンジしたい気持ちが強かったので進んで選びました。


透析歴が長い患者さんから学んだ、透析への真摯な態度

透析看護師になって最初の1〜2年は透析がどんなものかちゃんと分からずに無我夢中でした。 先輩に習ったというよりも、詳しく勉強されている透析歴が長い患者さんに、穿刺のポイントや機械の圧、血液データの見方まで優しく丁寧に教えてもらいました。 患者さんにとっては自分の命に係わることですから、人にもよりますが学ぶことへの本気度が高いです。透析看護師は、医師や技士がしっかりしていれば日常の仕事ができてしまうので、患者さんの心と体に本気で向き合い患者さんと共にもっと学ぶべきではないでしょうか。


透析への理解を得るために尽力した「透析室だより」

透析患者さんには、家族や同僚など周りの理解が非常に重要です。 見た目には元気そうに見えるので、「なんで働かない? 横になってばっかり!」と体調のことを理解されずにつらい目に合っているという話を良く耳にしました。 そこで、家族向けの透析新聞(透析室だより)を理事長に掛け合い、発行に踏み切りました。 患者さんの作った短歌や俳句、旅行などの楽しかったエピソードをインタビューして盛り込んだり、家族向けに透析の知識をやさしくまとめたりしました。 患者さんの賛同は多く、投稿やお話をしてくれる等、いろいろと協力してくださいました。 この「透析室だより」は、異動するまでの6年近く継続しました。


逃げ場がない環境だからこそ協力し合っての良い環境づくりが必要

透析室は基本的に見通しがきくワンフロアです。ワンフロアには良い面と辛い面があります。 一般病棟とは違い、患者さんに目が届きやすい反面、回診の声が筒抜けで患者さんのプライバシーが守られにくい。スタッフ同士の会話や行動が全部見えてしまう。 そんなことから細かいトラブルが起きやすいこともあります。 また、ずっと機械が回っているので緊張感があり、リラックスできず空気がピリピリしてしまいがちです。 そして、自分のコンディションが悪くても逃げ場がありません。 だからこそ協力し合って環境を良くしておく必要があります。


患者さんの人生に寄り添ってともに成長できる

週に3回患者さんと顔を合わせ、状態を看ているので例えば悪性腫瘍(がん)や心臓疾患等の病気に気づいたり、普通なら手遅れになりそうなことも早期に発見できたり、万全のケアができることが透析看護のいいところです。 付き合いが長くなればなるほど患者さんとのつながりが強くなり、いろんなことや思いを話してくれるようになります。患者さんの人生に寄り添える看護は、一般病棟にはない透析特有のものだと思います。 自分もずっといい恰好をしていられないですし、人として、看護師として自分をさらけ出す部分が大きいので、患者さんと共に成長できます。 幅広い知識が必要ですが、一般病棟では出来ない経験を積み、人間性という面でも自分を振り返りながら成長できるのが透析だと思います。


葛藤したり落ち込んだり、つらいこともあるけれど・・・

透析看護でつらかったことは2つあります。 1つ目は、他の病棟からの応援がもらえなかったことです。技術職みたいなものなので、私の場合は自分の家庭や子供に何かあっても代われる人がいませんでした。 自分のプライベートで何があっても行かなければいけないという責任は、一般病棟とはウェイトが違い、母親としての葛藤がありました。 2つ目は、リスクが高いことです。即命に関わるので、ミスがあった時の責任の重さ、落ち込みは半端ないものがありました。  


仕事とプライベートのメリハリがつけやすい勤務形態

一般病棟と比べて、勤務形態においてのメリットは、どんなに大変でも日曜日は必ずお休みで、家族との時間がとれることです。 さらに平日にも休みがあるので、仕事とプライベートのメリハリがつけられます。 また、オーバーナイト等を取り入れていない限り深夜勤がありません。 一般病棟のように周りに気を使いながら週末の休みを申請するようなことも少ないです。 デメリットは、事前準備がたくさんあるため、技士を含むスタッフの人数により、一般病棟より朝が早い(早出が多い)ことがあります。


患者さんの個性を見つめ、より人間らしい看護ができるように

外科病棟から透析室へ異動し6年、その後内科病棟に7年勤めた後、管理職として透析室に復帰し、積算すると長い間透析看護に携わりました。 その中で言えることは、患者さんのことをより人間らしく看られるようになったことです。 病状や医療的な視点でデータばかり診ていましたが、患者さんと関わりを深く持つようになり、まずその方自身をちゃんと看るようになりました。 慢性の病気は個性(人生)の一部です。その方の人生ありきで病気とどうやって付き合っていくのか、「あれあかん、これあかん」だけではなく、QOL(生活の質)を考えるようになりました。 医師が勧める治療だけでなく、看護師として患者さん自身の生き方はどうなのか、というところをちゃんと看なければいけないと思います。


支援看護師として、患者さんに寄り添った環境づくりを

高齢化に伴い一人で暮らせなくなった透析患者さんが介護施設に受け入れてもらえるような働き、啓蒙を進めるため、17年間勤務していた病院を退職し、独立しました。研修講師という立場で、透析患者さんの支援看護師として既に活動しています。 その一環として介護現場のスタッフや施設の運営者向けに、介護職が知っておくべき医療的学習会(医療的介護塾てらこ)を全国で開催し、患者さん本人が望んだ時に、施設に入れるような環境づくりを目指していきます。

これから透析看護師を目指す方へのメッセージ

看護師として仕事を続けるなら、絶対に一度チャレンジした方が良い領域です。強くお勧めします。 技術的にも人間性においても、疾患や全身の状態が「点と点」から「線」で見られるようになります。 腎臓は心臓はじめ全身に関与し、糖尿病にも関連しています。 深くいろいろな知識が学べ、トータルで看られるのでスキルが上がります。新しい自分へのチャレンジを心から応援しています。

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