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【第2話】保存期腎不全の食事管理
2024.12.02
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40歳代に多発性嚢胞腎が見つかり、60歳でクレアチニン値が正常範囲を大きく超えるようになると、夫婦で栄養指導を受けるように主治医から言われました。生まれて初めて受けた「栄養指導」では、1日の摂取栄養素でたんぱく質37g、塩分6g以内(実際は5gで管理)、エネルギーは1,600kcal以上に収めるように指導がありました。しかし実際にやってみると、家庭の食事でこの数値を守っていくことはなかなか困難なものと分かりました。なぜなら食事を作ってくれる妻にとって、食事のたびに普通食と低たんぱく・低塩食の2種類を準備することが大きな負担になったからです。
そこで登場したのが、病院で紹介された医療用食材メーカーが提供している宅配食です。腎臓病向きの低たんぱく、低塩の食事メニューを豊富に取り扱っていて、当初は毎食に宅配弁当を手配していました。しかし毎月の費用がかさみ、途中から宅配は低たんぱくのご飯・食パンとたんぱくゼロの高カロリー飲料などに限り、おかずはすべて妻が栄養成分を考慮して作ってくれることになりました。この宅配食は、透析生活に入るまでの約18年間続きました。
保存期腎不全での毎日の食事は、私が作成した栄養成分表(資料A、資料B、資料C)のデータを見ながら、妻が栄養士のごとく毎食事の栄養を算出し、数値を書き記し(資料D、資料E)、1日の制限枠内に収まるようにしていました。これまで長く、毎食ごとに、この大変面倒な栄養管理をしてくれる妻に心から感謝しています。
カリウム、リン、たんぱく質、カロリーを
食材や食品ごとにまとめた
資料A、資料B、資料C
毎食の栄養を記入して使う
資料D、資料E
なお、これらの栄養成分表は文部科学省の「食品成分データベース 」に基づいて自作したものです。外食の際は、ファミリーレストランなどでは公式サイトに掲載されているメニュー毎の栄養成分を参考にしていました。
こうしたデータでの栄養管理は、保存期では毎日細かく紙に記録していましたが、透析に入った現在は、長年の経験から既に多くの情報が妻の頭に入っており、特に用紙に記録しなくても適切な食事ができるようになっています。
70歳代になると腎臓の機能もますます低下の一途となりましたが、こうした厳しい食事制限と共に降圧剤の増量もあり、血圧はなんとか正常の範囲近傍に収まっていました。30歳後半から健康診断で指摘があり、本態性と言われていた高血圧については、腎血管性高血圧と原因がハッキリしました。
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