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【第6話】海外透析旅行での注意点
2014.7.3
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今年の梅雨は例年に増して豊かな雨量ですね。
皆さんの地域はいかがでしょうか?
さて、前回(「えがお」設立のきっかけ3)までは私ども「海外透析《えがお》」設立の経緯や特徴を書かせていただきました。
今回は、海外旅行透析における注意点をお話しします。
最初に、良くあるお問合せですが「土・日曜は透析が出来るか?」という点です。
土曜日については、各都市の施設によって異なります。
お休みの場所もあれば、午前中のみの場所、夕方までOKな場所と本当にまちまちです。
日曜日については、世界中休業日となります。
ですから旅行計画を立てる時点では、週末の透析予定を担当医やご同行の方とご相談される事をオススメしています。
次に「感染症などの検査は昔の検査結果で代用出来ないか?」と聞かれます。
これは出来ません。
各都市の施設毎に細かく決められた検査項目、検査期限があります。
その都市にご滞在の方や世界中誰でも同じ条件です。特に海外では移民などの受け入れが日本より盛んな国が多く、検査が厳しい施設もあります。
そうした中で自分だけは特別という訳にはいきませんよね。
ですから、弊社では検査の期限は厳しく設定しております。
さらに気になる点は「現地医療施設で日本語が通じるか?」という点だと思います。
こちらも都市によって異なります。
ハワイ・ホノルルとタイ・プーケット、インドネシア・バリでは日本人スタッフの在籍する施設をご案内しています (スタッフの都合上、お休みの日もあります) 。
台湾・台北では、日本語ボランティアを病院側が手配してくれます。ご自身の本業を休んで無償でサポートしていただいていますので、本当に助かっています。
ヨーロッパですと、フランス・パリ、イギリス・ロンドンでは日本語スタッフがいます。
ただ、こちらは総合病院のご案内となりますので、日本語スタッフはあくまで簡易的なサポートとなります。
その他の都市においては、ご出発前に英語の透析翻訳シートをお渡ししておいます。
次に、大切なのは旅行保険についてです。
私どもも経験がありますが、旅行保険に加入の際は必ず自分の既往症を申告する義務があります。
そこで、透析患者さんが「慢性腎不全」と書きますと、旅行保険に加入出来ません。
だからといって、既往症を秘密にするのは告知義務違反となってしまいます。
そこで調べたところ、既往症のある方でも加入出来る旅行保険があることが分かりました。こちらは、保険期間が31日までなら既往症の告知なしで加入できます。
既往症部分は保証対象になりませんが、他の旅行中のトラブルに対応出来るので大変ありがたいです。
弊社では、こちらの旅行保険に加入されてからのご出発をオススメしております。
ご興味ある方は、【海外透析《えがお》】までお問い合わせください。
さて、次はフライト準備です。
ここで疑問になるのは持ち物ですよね。
我が家では普段の服用薬は、機内用とスーツケースと2、3個の小分けにして管理します。
それぞれ多めにパッキングしますが、ここで大切なのは液状・クリーム状・ジェルのようなモノは透明なジッパーに入れなくてはいけません。かゆみ止めの軟膏や目薬などは忘れがちですがご注意ください。
詳細は成田国際空港セキュリティーガイド:液体物の持ち込みについて(国際線)
でご確認ください。
現地の透析病院へ着ていく服ですが、基本的に着替えません。
来院時の服装のまま透析を行います。
体重測定の際は、上着、靴、靴下を脱いで計測します。
ですから半袖に上着、靴下、タオル、バスタオルを持参します。
これらは海外の透析室はかなり寒いので、寒さ対策に必要です。
特にビーチにお出掛けの方や夏場のご旅行の方は、暑くても必ず上着を持参してください。寒すぎて足がツル方もいるくらいですから。
もちろん現地の透析病院の住所を書いた紙や、日本で担当医が書いてくれた書類一式も必ず持参しなければいけません。たまに現地の予約担当者が医療従事者に書類を渡し忘れて、透析条件が全く伝わってないなんてこともあります。
リスク回避の為に万全の準備をしたいですね。
さあ、いよいよフライトです!
飛行時間が長いほど機内食は沢山出るし、浮腫みは気になりますよね。
そんな時は事前に旅行会社や航空会社へスペシャルミールをお願いしておくのがオススメです。
今は減塩食や糖尿病食など充実しています。
機内ではお酒はなるべく控えていただきたいです。
高度が高いと早く酔いが回り、味覚も鈍感になります。
そこで飲酒するとノドが渇き、体重増加を引き起こしますからご注意ください。
そして逆のパターンで体重増加が怖いからと、水分補給をしない方がいらっしゃいます。しかし、機内は極度に乾燥しています。あまりガマンし過ぎずに上手な水分補給をしてください。
そして機内ではこまめに立ち上がって簡単なストレッチをしましょう。
特に足首をグルグル回したりして、エコノミー症候群対策をしっかりしましょう。(ちなみにビジネスクラス・ファーストクラスだからといってエコノミー症候群にならない訳ではありませんから飛行機に乗ったら皆さんやりましょう(笑)。)
現地に到着しました。
透析までは思いっきり楽しみましょう!
異国での透析病院はドキドキ緊張すると思います。
書類を片手に事務所の前をウロウロすると、相手側から声をかけてくれるかも知れません。
もし声をかけてもらえなかったら、勇気を出してスタッフに自分の名前を言ってみましょう。
必ず担当者が対応してくれます。
いよいよ透析開始です!
体重増加が予定より多かった場合に備えて、事前に日本で担当医と最大除水量を決めておきましょう。
その時の増加量で何キロの除水にするか、ご自分で指定していただいても良いかも知れません。
機械設定が済んだら穿刺です。よく海外のものは鉄針で大きいと思われる方がいらっしゃいますが、基本的な針のサイズは日本と変わりません。ただ、日本の針よりは伸縮性に欠けるようです。ですから透析中も穿刺側の腕には注意深くしていらした方がよいでしょう。
中でも注意するべきことは、血流量です。
海外では非常に早い血流量で回しています。女性でも500mL/minが普通のようです。
シャントを守るためにも、血流量は必ず確認しましょう!
万一透析中に気分が悪くなったり足がつりそうになったら、我慢せずにすぐに近くのスタッフを呼んでください。緊急事態を察知してすぐに対処してくれるはずです。
私どもの英語透析用語集にも、その際の会話例が収めてありますのでご安心ください。
ちなみに、「海外ではダイアライザを使いまわししているのではないか?」と問合せをいただきますが、これは絶対にありません。ご安心ください。
最後に一番大切なことは、領収書と健康保険所定の診療内容明細を現地で書いてもらう事です。
透析料金の支払いの際に必ず書いてもらいましょう。
書いてもらえない場合には何度もしつこく要求してください。
日本に帰国後に、翻訳した書類と共に健康保険窓口へ提出します。
弊社では、1枚500円にて英語書類の翻訳をお手伝いさせていただいております。
以上が海外透析における注意点です。
ご不明な点や詳細をご希望の場合には、お気軽に【海外透析《えがお》】までお問合せください。
次回は「門戸開放しよう!」です。
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