2824

mina_second

with Kidney プロジェクト

[ 新規会員登録(無料)] または [ ログイン ]

腎臓病(慢性腎臓病:CKD)・透析と正しく向き合い、知って、共感して、支え合って、自立する。
基礎知識やQ&Aコミュニティ、透析管理ツールやサポート情報など、元気に生活するためのすべてがここに。

新規会員登録(無料)

透析と視覚障害

【第1回】はじめに~目を使わない透析生活~

2021.2.15

文:ミーナ

緑の文字の用語をクリックすると用語解説ページに移動するよ。

じんラボ をフォローして最新情報をチェック!

image

皆さまこんにちは。今回2度目の新しい連載(前回の連載:「重複障害者からの福祉サービスへの願い」)をさせていただくこととなりました、ミーナです。よろしくお願いします。


自己紹介と、新しい連載を始めようと思った理由

簡単に自己紹介をします。
私は1990年生まれの30歳で、透析は3年目(2021年2月現在)です。腎臓が悪くなった原因については、はっきりとしたことはよくわかっていません。おそらく薬の影響だったのではないかと言われています。この点については次回に触れたいと思います。

私は腎臓が悪くなる前から緑内障という目の病気を持っており、生まれつき弱視でした。緑内障は進行性の病気のためだんだん視力は落ち、現在右目は完全失明で左目は明暗と物陰がわかる程度です。

2回目の連載体験談で「透析と視覚障害」をテーマに選んだ理由は、最近はひとくくりに障害者といっても、その内容や程度は多様で複雑になってきていると感じたからです。前回の連載の最終回でもお話ししたとおり、「重複障害者」が増えても、日本の障害者施策は「単一障害者」を想定して作られたものがほとんどです。

視覚障害者の集まりでも透析室でも、糖尿病の方を中心に目と腎臓どちらも患っている方は大勢います。しかし、透析に関する情報は視力を必要とする方法でしか提供されていません。世の中の大多数の人は目が見えているためなのか、医師や看護師からも視力があることが前提のアドバイスしかしてもらえず、私自身が不便を感じています。そこで私の体験談に加え、母校である盲学校の同窓生で透析をしている友達のエピソードなどを織り交ぜながら、「目を使わない透析生活」について執筆してみようと思ったのです。

糖尿病網膜症のように失明する可能性がある眼疾をお持ちの方や、加齢に伴う緑内障や白内障により目が見えにくくなっている方のお役に立てば思っています。


この記事をどうやって書いているのか

それでは、ほとんど目が見えていない私がどうやって記事を執筆しているのか…。まずはその方法から説明いたします。

私は「じんラボ」を含め、自宅のパソコンからホームページなどを閲覧しています。使用しているのは一般的なデスクトップやノートパソコンですが、画面の文字を音声で読み上げてくれる「スクリーンリーダー」という画面読み上げソフトを入れています。スクリーンリーダーのインストールやセットアップだけは目の見える人にやってもらわなければなりませんが、一度インストールしてしまえば、パソコンの故障などがない限り、誰かの手を借りることなく一人で使えます。 私の場合はスクリーンリーダーをインストールして使っていますが、ほとんどのパソコンやスマートフォン・タブレットにスクリーンリーダーが標準装備されています。

パソコンの画面を音声で読み上げさせることにより、ホームページの閲覧はもちろん、視覚に障害がない方との普通文字でのメールのやり取り、アマゾンや楽天での買い物、動画の視聴やコミュニティなどへのコメントの投稿、自分のブログやホームページ作成など、さまざまなことができるようになります。

またインターネットで遊ぶこと以外にも、ビジネス文書作成ソフトや簡単な表計算ソフトも扱えるので、仕事でパソコンを使っている視覚障害者は大勢います。その他、スマートフォンやタブレットでも音声読み上げアプリを利用したり、Siriのように声で操作できるアシスタント機能を活用したりして、ICT機器(情報機器)使いこなしている視覚障害者も大勢います。

Windowsには「ナレーター」、MacOSとiPhone・iPad(iOS)には「VoiceOver(ボイスオーバー)」、Android搭載のスマートフォン・タブレットには「TalkBack(トークバック)」、FireタブレットやAmazon Fire TVなどには「VoiceView(ボイスビュー)」というスクリーンリーダーが標準装備です。このように、年齢や身体障害の有無に関係なく誰でも必要とする情報にアクセスし利用できることを「アクセシビリティ」と言い、障害者権利条約や障害者差別解消法を背景にアクセシビリティ機能の標準装備は広がっています。


ICT機器の利用と「じんラボ」へのアクセス方法

視覚障害というのは、文字通り目が不自由な障害のことであり、長らく“情報障害者”とされてきました。確かに、人間は外界の情報の約80%を視覚から得ている と言われており、視覚がちゃんと機能しなくなることで、必要な情報が得られにくくなり、世の中から取り残されてしまうようなことがあります。

そんな中で、パソコンやスマートフォン、タブレットなどに代表されるICT機器の発明と発展は、視覚障害者の情報環境を飛躍的に向上させてくれたと思います。もしも、パソコンやスマートフォンがない時代に生まれていたら、透析に関する疑問は病院で先生や看護師に聞く以外に調べようがなかったことでしょう。
本を読もうとしても点訳か音訳されていないと読めませんし、新聞や雑誌などに最新の医療研究情報や患者の体験談などが載っていたとしても、誰かに読んでもらわなければならないのです。このように、自分で好きな時に知りたい情報にたどり着くまでには、かなりのバリアがあるのです。

透析導入入院から退院後、私はおもむろにパソコンを立ち上げて、「透析」や「腎臓病」などの言葉で検索して「じんラボ」のホームページを見つけました。会員登録はちょっと手間取ってしまったので事務局にやっていただいたのですが、お陰で病院で教えられる一般論とはまた別な情報や、自分の知りたいことを質問して医療従事者の方や他の患者さんからコメントがもらえる「しゃべルーム」というコミュニティなどにたどり着くことができました。ICT機器とスクリーンリーダーに代表される補助ソフトの発明と発展がなければ、こうやって独力で情報を探すことなどできなかったと思います。

次回は、「視覚障害とはどんな状態か」です。一言で「目が悪い」と言ってもその原疾患や見え方はさまざまなので、腎臓病との関係とともにお伝えしたいと思います。

次の はなし▶

この記事はどうでしたか?


  • 記事のクリップ機能を使うには会員登録が必要です
ミーナ

ミーナ
1990年9月生まれです。生まれつき、先天性緑内障という目の病を持っており、幼い頃から弱視で現在はほとんど見えていません。腎臓は2017年に急な体調不良から緊急透析導入となり、今に至ります。原因は不明です。視覚と腎臓の重複障害ですが、日々楽しく生活しています。
趣味は読書で、4時間の透析中に1〜3冊くらいは読んでしまうかなりヘビーな読書家です。

    こんな体験談が読みたい、私も体験談を書きたいなど、「研究員のはなし」にご意見をお寄せください!

    ご意見をお寄せください

    PR

    透析ライフガイドブック「患者がつくった透析のほん」

    →透析ライフガイドブック「患者がつくった透析のほん」 とは

    この"ほん"をご希望の方

    以下のボタンから申込フォームにお進みください。
    【New!】個人の方向けにkindle(電子書籍)版をご用意しました。
    冊子版をご希望の方はかかりつけの医療施設にお問合せください。


    申込フォームに移動します


    Amazonに移動します

    この"ほん"を手にされた方

    ご感想やご要望をお寄せください!!
    続編の希望などもあれば教えてください。

    じんラボを応援してください!