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【第3話】維持透析のための病院選び
2019.3.11
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透析導入のため入院した大学病院をいよいよ退院する時がやってきました。 そして、私の地元で透析を行っている6か所ほどの病院の中から家から一番近い病院を選びました。
家から一番近い病院を選んだものの…
まず、大学病院の担当医から当該病院に電話連絡してもらいました。腎臓のこと、目のことなどをすべて話して、受け入れ可能かどうかを聞くためです。電話での回答はOKでした。
その病院を以下A病院とします。A病院は地元の大きな総合病院で、内科系、外科系の診療科が15ほどあります。入院病床は200床、透析ベッドは40床で夜間の救急外来もあります。透析患者の中で希望者には無料送迎や給食もあります。
ところが実際に行ってみると、病院職員の対応、その他全体的に最悪な環境でした。というのも、その病院で1回目の透析を行った日に、透析室の看護師さんからこんなことを言われたのです。
「患者を誘導したり、車いす押してあげたりしているとキリがなくなっちゃうから、うちはそんなことやらないよ」
A病院の対応
患者の誘導や介助をやらないのなら、どうして初回問い合わせの時にその旨を言ってくれなかったんだろうか。たとえば、夜間透析を行っているクリニック等で夜間帯は送迎がない場合などは、病院のパンフレットやホームページに案内として記載があったり、患者さんからの問い合わせがあった時に説明したりと、どこかで何かしらの情報提供はあるはずだと思います。それを転院後の初回通院時まで黙っているというのは迷惑千万な話です。
そして、やはり病院というところは具合の悪い人が来るところです。足の不自由なお年寄りや、目や耳の不自由な人、その他いろいろな患者さんが来るのは当たり前だし、A病院の場合その規模からも、それらの患者さんが負担になるようなほどの零細医院ではないはずです。
実際、A病院にも高齢の透析患者さんはたくさんいます。介助が必要と思われる高齢者はどうしていたのかというと、透析室スタッフが何もしないので、受付職員や送迎のドライバー、他部署の看護師さんなどが介助していたり、毎回家族が透析室まで伴っていました。
しかし、他部署の看護師さんたちは自分のところでの仕事があるわけです。そして、週3回の透析の付き添いは患者本人にとっても家族にとっても大きな負担となります。
患者を受け入れたにもかかわらず、無責任な言動
介助などはしない代わりに他院を紹介してくれたりするのかと言うと、そのような動きも一切ありませんでした。常識的に考えれば、透析に限らず自院で手に負えないような患者は他の病院を紹介して転院してもらったりすると思います。
その辺りを透析室スタッフに突っ込んで聞いてみると、こんな答えが返ってきました。
「うちは職員数が少ないんです。防犯カメラもありません。何かあっても責任とれませんので、毎回ご家族の方と来てください」
この言葉にはもう本当に呆れるしかありませんでした。
家族が伴っていようといまいと、透析中やその前後に具合が悪くなることもあります。透析前後の不調も家族に丸投げしてしまうのは無責任だとしか言いようがありません。
たしかに大学病院や研究所附属病院と違って、民間病院は職員数も限られ、設備面も劣ることは仕方ないとは思います。しかし、患者の前での開き直りは良識を欠いた態度です。
施設の怠慢さにただ呆れる
今時は公共性の高い施設では障害者や高齢者の利用を制限しないサービスや、環境づくりが当然という潮流です。
病院の他、市役所、鉄道駅、バスターミナル、郵便局、銀行、図書館、公民館、公園、ホールなどの施設では、「障害」を理由に入館や利用を断ったりしたら、それだけで問題になります。障害者差別解消法を盾にして民事で訴えられないとも限らないし、インターネット上で施設名や個人名などをあげて誹謗中傷されることだって考えられます。
その病院に通院した数か月、透析室スタッフが何もしてくれない分、他部署の看護師さん、受付職員、守衛さん、ドライバー、果ては掃除のおばさんまでが移動を手伝ってくれました。
私はこの状況を怒りよりも呆れた気持ちで受け止めていました。確かに、民間病院や福祉施設等はどこも人手不足で大変なのは理解しています。それでも患者を受け入れたからには、何らかの努力はすべきです。そういうところは一切ありませんでした。
次回は、その後の転院に関するお話です。
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