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透析から移植、そしてオストメイトになった私の体験談

【第3話】腎臓移植と術後のトラブル、そして“普通”のありがたさ

2022.12.5

文:K.F

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腎臓移植を受けるまで

専門学校を卒業してから2日後、私は定期外来で近い将来腎臓移植を受ける意志があることを主治医へ伝えました。
ドナーについては、中学で腹膜透析を導入した時点で家族全員の組織適合性検査を受けており、結果として母がドナーを引き受けてくれることになりましたが、当時、通院先の病院では腎臓移植を実施していませんでした。実績豊富な他の病院への転院も考えていたものの、体調は悪くなかったので、私も両親も急いで決める必要はないという意見で一致していました。

それから5カ月ほど経過した定期外来で、主治医から「うちの病院でも本格的に腎臓移植を行うようになったので、一度泌尿器科の先生に会ってみてはどうでしょう」と言われました。詳しく話を聞くと、私が専門学校を卒業し移植の意志を伝えた頃とほぼ同時期に、腎臓移植の専門医を招いて準備をしていたとのことでした。
移植を託す医師がどのような人なのか不安を抱きましたが、実際に会ってみると人柄の良さにその不安はすぐに解消されました。両親も同感だったようで、この日以来移植の準備はトントン拍子に進みました。

そして、専門学校卒業から約9カ月後の12月9日、母からの生体腎臓移植を受けました。手術前日は、APD(自動腹膜透析)の機械を横目に「やっと透析から解放される」という思いのみで、手術に対する緊張感はありませんでした。

手術は無事成功。クレアチニンの数値もほぼ正常値まで落ち着き、私も家族も喜んでいましたが、主治医はある懸念を抱いていました。懸念とは、私の膀胱の組織が脆かったため、膀胱と尿管の繋ぎ目から尿が体内に漏れてしまうのではないか、とのことでした。


腎臓移植後の最悪の状態を乗り越えて

その症状は手術から1週間ほど経過してから起こりました。栄養状態が良好であれば漏れた部分が自然に塞がるのですが、当時は急性拒絶反応を抑えるための点滴の副作用で、食事がほとんど摂れず栄養状態は最悪でした。
12月21日、再度繋ぎ目の縫合手術を試みたものの失敗に終わり、私は移植前の期待とのギャップから軽い鬱のような状態となり、年末年始を迎えることになったのです。

年末年始は辛うじて外泊できましたが、外泊中も食事が摂れなかったので体力はどん底まで落ちてしまいました。そして1月下旬、再々手術も検討される中リハビリが開始されたのです。
しかし、このリハビリをきっかけに食欲と体力は順調に回復しました。2月上旬には尿が漏れていないことが確認され、2月下旬にようやく退院できました。
退院後もリハビリはしばらく続きましたが、リハビリが終わる頃には自分でも透析をしていた時期との違いが分かるようになりました。全身がスッキリして軽くなった感じがし、食欲旺盛で主治医から「これ以上太らないように」と釘を刺されたこともありました。

そして何より腹膜透析を全く気にすることの無い日常生活に喜びを感じました。特に入浴と睡眠時はカテーテルの位置を気にする必要がないので「これが普通なんだ」と実感する日々でした。
こうして腎臓移植のありがたさを実感をしながら1年が経過し、年明けから少しずつ社会復帰に向けて準備を進めることになりました。

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K.F

K.F
10歳で腎不全と診断され、13歳から約8年の腹膜透析の後、21歳で母親から生体腎移植を受けました。腎移植後のトラブル(膀胱直腸瘻)によりオストメイトでもあります。2021年3月、移植腎の機能が低下して血液透析をスタートしましたが、テレワークでの仕事と透析の生活にも慣れ、精神的・体力的にも余裕が出てきたのを機会に、体験談を寄せる決意をしました。

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