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慢性腎臓病(CKD)の方に知ってほしい ―
医療ソーシャルワーカーという心強い味方
2025.10.20
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慢性腎臓病(CKD)の治療は、診断されてからも長く続く生活の一部になります。治療そのもの以外に、「仕事はどうしよう」「生活費や医療費は大丈夫かな?」「家族にどう伝えたら…」などと、心配ごとも多くなりがちです。
そんなときに力になってくれるのが医療ソーシャルワーカー(MSW)。
治療の“外側”にある生活の困りごとを一緒に考え、解決への道を探すサポーターです。
しかし、病院の規模や機能によって配置状況は異なる上、その専門的な支援内容が、医療スタッフや患者に十分伝わっていないという課題もあるようです。
そこで、CKDと診断されたばかりの方、相談・支援先を求めている方などに向けて、医療ソーシャルワーカーの主な役割と活用方法を分かりやすく解説します。
まず、「ソーシャルワーク」ってなんだろう?
「ソーシャルワーク」とは、生活に困っている人を社会全体で支えるしくみのことです。
病気、経済的な不安、仕事や家庭の問題など、人は誰でも「ひとりでは抱えきれない困りごと」に直面します。そんなときに、制度や支援をつなぎ、安心して生活できるように手助けする専門職が「ソーシャルワーカー」です。
高齢者を支える「介護ソーシャルワーカー」、子ども・家庭を支える「こども家庭ソーシャルワーカー」、ソーシャルワーカーにはさまざまな分野の専門家がいます。その中で、医療と生活をつなぐのが「医療ソーシャルワーカー」です。
医療ソーシャルワーカーとは?
病院では、医師をはじめとして看護師、薬剤師、管理栄養士、理学療法士など、さまざまな専門職が働いています。
病気や治療によって生活に影響が出た人をサポートする医療ソーシャルワーカー(Medical Social Worker:MSW)も病院の専門職の一人で、その中の多くが社会福祉士(相談援助の国家資格)の資格を持っています。
- 医療費や生活費、仕事、介護、家族のサポートなど、幅広い相談を受けています。
- 多くの病院には「医療相談室」や「地域医療連携室」があり、そこに医療ソーシャルワーカーが常駐しています。
- 相談は無料、当事者だけではなく、そのご家族も利用できます。
病気のことだけじゃなく、暮らしのことも相談できる福祉のスペシャリスト、それが医療ソーシャルワーカーです。
医療ソーシャルワーカーの業務内容
- 1)療養生活の悩みや不安の相談
- 治療や療養生活の中で感じる不安や悩みを一緒に整理します。家族や仕事、人間関係の調整、こころのケアなど、安心して治療を続けるためにサポートします。
- 2)退院の準備をサポート
- 医師や看護師と連携しながら、退院のタイミングや在宅療養に向けた準備をお手伝いします。在宅が難しい場合は、転院や施設の調整も行います。
- 3)社会復帰の支援
- 退院後、スムーズに職場や学校へ戻れるよう、関係先と調整しながら復職・復学をサポートします。
- 4)受診や医療の相談
- 症状や生活に合った医療を受けられるよう、医療施設の情報提供をします。受診に必要な情報を整理し、医療スタッフと共有することもあります。
- 5)経済的な支援制度の案内
- 医療費や生活費で困ったときに、利用できる制度や手続きを一緒に探します。高額療養費制度、障害年金、医療費助成などの活用をサポートします。
- 6)地域とのつながりづくり
- 地域の医療・福祉機関と連携しながら、必要な支援が届くように働きかけます。患者会や家族会、ボランティア活動の支援なども行います。
どんなときに相談できるの?
CKDの人が直面しやすい場面で、医療ソーシャルワーカーはさまざまな形で支援してくれます。
こんなときに | 相談できること |
---|---|
CKDと診断されたとき | 生活の見通しを立てたい、医療費のことを知りたい |
「そろそろ透析です」と言われたとき | 仕事との両立、家族への伝え方、生活設計 |
経済的に不安があるとき | 医療費助成制度や社会保障の利用について |
退院や転院を控えているとき | 退院後の生活、在宅医療や介護の準備 |
ひとりでの通院が難しいとき | 利用できる支援やサービスの紹介 |
相談できること
― 医療のことだけじゃない、生活まるごとサポート
医療ソーシャルワーカーは、あなたの暮らしの全体像を見て、支援方法を考えます。
たとえば、こんなことも相談できます
- 医療費・生活費の支援制度(高額療養費・自立支援医療・障害者医療証など)
- 障害者手帳・障害年金・介護保険の申請サポート
- 仕事と治療の両立に関する相談(勤務調整・復職支援など)
- 家族への説明のしかたや、気持ちの整理の手伝い
- 災害や緊急時・急変に備えた支援ルートの確認
「どうすればいいか」を一緒に整理してくれる人、それが医療ソーシャルワーカーです。
どこで相談できるの?
- 通院先の病院やクリニックの「医療相談室」「地域医療連携室」などで対応しています。
- 受付や看護師に「ソーシャルワーカーさんに相談したい」と伝えれば大丈夫です。
- 相談は無料、家族や代理の方でも利用できます。
- 通院が難しい場合は、電話やオンラインでの相談ができる場合もあります。
チェックしてみよう
- 通っている病院に「医療相談室」「地域医療連携室」「患者相談窓口」「患者支援センター」などはありますか?
- 受付や主治医・看護師に紹介してもらえますか?
- お住まいの地域の福祉事務所や障害福祉課、地域包括支援センターなどにも相談窓口があります。
相談の流れ(イメージ)
- 1)相談する
- 主治医・看護師や地域の福祉事務所や障害福祉課に紹介してもらう、または病院の受付などに自分から申し出る
- 2)話を整理する
- 困っていること、気になることを一緒にまとめる
- 3)制度・支援を紹介してもらう
- 利用可能な制度の案内や申請方法、必要書類について説明を受ける
- 4)必要に応じてフォローを受ける
- 生活の変化に合わせて継続して適宜相談
まとめ ― まず話すことから始まります
CKDの治療は“病院での治療”だけではなく、“生活”を整えることが大切です。医療ソーシャルワーカーは、その両方をつなぐ心強いパートナーなのです。
不安なこと、迷っていることがあれば、まず話してみてください。あなたの「これから」を一緒に考えてくれる人が、病院の中にいます。
― with Kidneyプロジェクト 開催中のアンケート ―
参考
- 公益社団法人 日本医療ソーシャルワーカー協会
(2025/10 アクセス)
- 厚生労働省「医療ソーシャルワーカー業務指針」
(2025/10 アクセス)
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