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生き活きナビ(サポート情報)

自分の「足」で歩くことの幸せ〜
足病変とフットケアについて
【第5回】体験レポート:「フットサポートセンター東京」でインソールを作りました〜靴選びのポイント〜

2014.2.18

文:よしいなをき
協力:フットサポートセンター東京

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今回はインソールと靴の話を伺いに東京・田町にある「フットサポートセンター東京外部サイトへ」を訪ねました。フットサポートセンター東京は数多くの医療施設と連携し医療用の装具(フットウェア)を提供している数少ない会社です。

フットサポートセンター東京

足専門の義肢装具会社が作るフットウェアとは?

フットウェアにはインソール(足底装具)、靴(セラピューティックシューズ)、靴下などがあります。インソールと言うと一般的にはクッション性や消臭効果のある靴の中敷と考えられていますが、ここで紹介するインソールは足専用の義肢装具会社であるフットサポートセンター東京が製作する装具(フットウェア)の1つで、一般的なイメージとはかなり違いました。インソールについてフットサポートセンター東京マネージャーの山田さんにお聴きしました。

「医療用のフットウェアを作成できる唯一の国家資格を持つ義肢装具士が、利用者の足の形や状態に合わせてフルオーダーメイドで提供させて頂きます。主に足を怪我や傷から保護し、歩きやすさや歩行改善を目的とした装具があります。利用者の中にはスポーツ競技のポテンシャルを引き上げたりする装具としてインソールを希望する方もいらっしゃいます」


義肢装具士との相談

今回は体験取材としてお話を聴きながら、早速、足の相談を受けることになりました。相談を受けてくれたのは義肢装具士の竹内さんです。

まずは足の裏にかかる荷重圧を足圧計(エイトレックス社「iStep」)で検査しました。

iStepに立つよしいなをき
iStepに立つよしいなをき
測定したよしいなをきの足
測定したよしいなをきの足

するとモニターに足の形が表示され、色でどこに圧力がかかっているかが分かります。赤く表示されている部分が立った時に圧力が高い個所です。

圧力が高いところにタコやウオノメができやすいと竹内さんが教えてくれました。言われてみれば確かにその通りです。普段から自分でも気にしていて角質が出来て硬くなっている部分です。

「こうしたタコやウオノメから傷ができて、油断すると足病変の原因になる場合があります」

竹内さんが足の指の動きなどをチェックします。足の歪みによって本来動く筋肉や関節が動きづらくなることがあるそうです。

足の動きを確認中
足の動きを確認中

指(足趾)には問題ありませんでしたが、足が内側に傾き、かなり歪みが出ていることが分かりました。これは私自身の長年の歩き方からくる変形だそうです。足の内側に力がかかるように歩いているので、この歪みを整えることで、本来のバランスが整い歩きやすくなるとのことでした。

よしい「ところで竹内さん、「義肢装具士」さんってどういったお仕事でしょうか」

竹内さん「医師の指示のもと、義肢、装具を製作するために検査から型取り、製作を行いその適合を行う仕事です」

「型取り」って何だろう?と思っていると、竹内さんがピンクの箱を取り出してくれました。

箱の上部がピンク色のスポンジのようになっていて、そこに足をあて、そのまま立ち上がるとずぶずぶと沈み私の足の形が採れます。その後、今度は本来理想とされる歪みを補正した足の型を採ります。この2つを比較すると足の変形がどの程度のものか視覚的に確認することができます。

左が理想の足の型、右が現状の足の型
左が理想の足の型、右が現状の足の型

足に歪みがあるとどうなる?

よしい「竹内さん、足が内側に傾き、歪みがあるとどうなるのですか?」

竹内さんが「前で手を組んでください」というので手を組みました。すると小柄な竹内さんがそこに拳を当て、勢い良く体重をかけてきます。小柄な女性であるにもかかわらず私は支えることができません。私は腰から崩れるような格好になってしまいました。つまり足に歪みがあることで踏ん張りが効かないのです。

踏ん張りが効かず腰から崩れる
踏ん張りが効かず腰から崩れる

竹内さんは、今度は靴に入れる専用のインソールを出してきて私の足の下に敷きました。 「現段階ではまだちゃんとよしいさんの足に合っているインソールではないのですが…」と言いながら、同じように体重を掛けてきます。すると今度は、インソールがしっかりと土台になって踏ん張りが効きます。

つまり、長年の私の歩き方や体重の掛け方で足への歪みが生じ、体全体へのバランスがとれなくなってきているのです。この歪みを補うためにインソールを入れると過剰な動きをする範囲を制限し、歩く負担を軽減してくれるのです。

インソールが土台になって踏ん張りが効く
インソールが土台になって踏ん張りが効く

靴選びのポイント・負担のかからない靴の選び方

私自身、実は散歩が大好きなのですが、体重もそれなりにあり膝やふくらはぎの筋肉がすぐに痛くなってしまいます。そこで竹内さんに質問しました。

よしい「普段、靴を選ぶ時は、足のサイズやデザインだけを見て買うこと多いのですが、義肢装具士さんの目からみたらどういう基準で選んだら良いのでしょうか?負担のかからない靴とはどんな靴ですか?」

竹内さん「縦方向の長さも大事ですが同様に横幅も大事です。縦の長さは親指一本分くらいの余裕(7mm〜15mm)があると足先に負担がかかりません。履いた状態で指先がしっかり動かせるといいです。また、踵の部分の硬さがしっかりしていて、歩くときに踏み返しの関節と同じ部分が曲がるものですね。紐やベルクロテープ(着脱が容易な面ファスナー)でしっかりと止められるものがお勧めです」

踏み返しの関節と同じ部分が曲がる靴を
踏み返しの関節と同じ部分が曲がる靴を

【靴選びのポイント】

  • 長さは親指一本分位の余裕(7mm〜15mm)を(履いた状態で指先がしっかり動かせる)
  • 踵の硬さがしっかりしている
  • 踏み返しの関節の部分が曲がるもの(真ん中から曲がるようなものはダメ)
  • 紐やベルクロテープでしっかりと止められる

なるほど、今まで幅なんか測ったことが無かったですと言うと、専用の器具を使って計ってくれました。

足の縦・横を計る器具
足の縦・横を計る器具
足の横幅を計っているところ
足の横幅を計っているところ

竹内さん「足病変の心配のある人は、靴の素材の縫い目が足の皮膚に当たらないようなものを選んだ方が良いと思います。靴下の縫い目もそうですが、歩くときに指先に当たるようなものは小さな傷の原因になります。実際に足病変を患っている方には専用のソフトな靴下も用意しています」

足の状態、個々の機能に合わせた靴選びが必要ですね。

マネージャーの山田さんは、こう語ります。

山田さん「あまり日本では、靴を買うのにここまで丁寧に足の形や動きを調べたりすることはないと思いますが、アメリカやヨーロッパでは、ごく当たり前のことで、眼鏡を作るのに眼科で診てもらうのと同じ位、普通のことです。インソールがレンズならば靴は眼鏡の縁ですね」

よしい「では、ヨーロッパなどでは子供の時から足の形を調べたりして靴を買うのですか?」

山田さん「はい、そうです。放っておくと足の骨の配列(アライメント)が狂ってしまいます。子供の頃から靴にインソールを入れて骨が過剰に動かないようにします。足の歪みは、ふくらはぎや膝、腰にまで影響が出てしまいますから」


足に合ったインソールを作って頂きました

山田さん、竹内さんの話を聴いて、足の大切さ、靴選びの大切さが分かりました。そこでフットサポート東京さんに自分専用のインソールの製作をお願いすることにしました。今回測定した型などから、自分の足の形、動きに合ったものを作って頂きます。

お願いしてから2週間で完成です。

足の形、動きに合わせて作られたインソール
足の形、動きに合わせて作られたインソール
靴選びのポイントに合った靴
靴選びのポイントに合った靴

実際にインソールを装着した靴を履いてみます。土踏まずの膨らみから体全体が持ち上げられたような感じがします。立ち上がると自然に背筋が伸びて気持ちがいいです。

センターの中を少し歩いてみます。竹内さんに歩き方についてレクチャーして頂きました。

竹内さん「靴を履く時は踵で合わせ、紐をしっかりと結んでください。また、透析を受けられている方はアキレス腱が硬い人が多いと聞きます。歩く時は踵から着き、親指で蹴り出すように歩きましょう。それから、よしいさんは歩くときに手の動きのバランスが良くないですね。左腕だけ振って右腕が振れていないので、両方バランスよく振ってください。」

歩きながら竹内さんにインタビューをしてみました。

よしい「竹内さんって、義肢装具士になられたきっかけは?どういうことから勉強されたのですか?」

竹内さん「モノを作るのが好きで、人に喜んでもらえる物が作れる仕事がしたいと思いました。勉強は義肢装具士になるための専門学校でしました」

よしい「足病変の重い方の靴も作られたと聞きましたが、そのとき大変だったこととかありましたか?」

竹内さん「患者さんの思う装具とこちら側の思う装具が違うことがあります。患者さんは軽いものを希望したのですが、病変を進ませない、足の機能を損なわないためには外せないデザインがあります。擦り合わせは難しいですね」

よしい「義肢装具士をされていて嬉しかったことは?」

竹内さん「足の痛みが軽減したとか、この靴しか履けない、遠くまで歩けるようになりましたと言って頂いた時は、嬉しかったです」


インソール付きの靴で外を歩いてみる

フットサポートセンター東京から少し歩けば東京タワー、増上寺、芝公園があります。少し長めの散歩コースです。

実際に、歩いてみた感触ですが、普段履いているスニーカーよりもずっと長く歩いていけるような感じです。いつもならば少し歩いただけでもすぐに疲れてしまい、踵、くるぶし、ふくらはぎ、膝、腰の順番で痛くなるのですがインソールがサポートしてくれているので痛みが出ることはありませんでした。

靴は足を包むようにぴったりフィットしています。ですが足先にはしっかり余裕があり、靴の中で指先を動かしてもどこにも当たらす、長く歩いても足先が痛くなることはありません。

東京タワーに向かう途中で春日神社に寄りました。試しに石段を登ってみましたが、硬い石段でも気持ちよく登れます。下りの時もインソールが石段の衝撃を吸収しているようです。私の場合、普段、石段を降りる時は足を挫きそうになって不安定なのですが、足の歪みが補整され支えられていることから、しっかり踏みしめることができます。

インソールが足の過剰な動きを抑え、足への負担をしっかりと軽減していることが分かりました。この日は札の辻から春日神社、東京タワー、増上寺、芝公園とずっと歩いていましたが、足が痛むことは全くありませんでした。子供の頃から歩くとすぐに疲れてしまい、もっとたくさん歩けたら、とずっと思っていましたが、作って頂いたインソールのお陰で長年のコンプレックスから解放されました。


最後に

取材をする前、私は靴の選び方やインソールについて何も知りませんでした。実際インソールが入った靴を履いてみて、インソールは自分の歩行をサポートし、歩くことを楽しくしてくれるということを実感しました。また、これまでの連載記事を読み、さらに自身の体験レポートを通じて、足病変やその治療、様々な検査や足のための装具、それらに携わる人たちがいて私たちを支えてくださっていることが分かりました。
(今年の2月10日(フットの日)に、「下肢(足)の切断を減らすために行動を起こそう!」と足病変に関わる各医療領域からメンバーが集い「Act Against Amputation」(略称「AAA」)が発足しました。http://www.dm-net.co.jp/footcare/aaa/外部サイトへで情報発信しています。こちらもご覧ください)

フットサポートセンター東京では足や靴の悩みに対して相談に応じてくださる専門家の方々がいます。今回のレポート前半で紹介した足の状態の確認については無料体験できるとのことです。

装具を作る際、費用がかかりますが、医師の指示の下、治療に必要で保険者(国保・社保)に認められれば保険適用となる場合があるそうです。

またフットサポートセンター東京では作成後の装具のアフターケアにつきましても、しっかり対応してくださるとのことです。

足のこと、靴のこと、歩き方のことなどでお悩みの方は、フットサポートセンター東京に気軽に足を運んでみてはいかがでしょうか?

フットサポートセンター東京・連絡先

・電話 0800-100-3410(フリーコール)
・受付 月・火・木・金(祝祭日を除く)
・時間 10:00〜19:00
詳細はhttp://footsupport.jp/17.html外部サイトへでご確認ください。

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よしいなをき

よしいなをき
透析はしていますが普段はスポーツ自転車に乗って 体を鍛えています。
仕事は、平凡なサラリーマンですが、透析の時間を利用して、ブログを書いたり、小説を書いたりしています。

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