生き活きナビ(サポート情報)腎臓病・透析に関わるすべての人の幸せのための じんラボ
自分の「足」で歩くことの幸せ〜
足病変とフットケアについて
【第4回】体験レポート:フットケア外来
「ベテル南新宿診療所」を受診しました
2013.12.27
緑の文字の用語をクリックすると用語解説ページに移動するよ。
じんラボ をフォローして最新情報をチェック!
- 【第1回】「足」について考える
- 【第2回】あなたの足は大丈夫?
- 【第3回】早期発見、早期治療がカギ! 足病変の治療方法
- 【第5回】体験レポート:「フットサポートセンター東京」でインソールを作りました〜靴選びのポイント〜
今回は足に悩みを抱える透析患者さんと共に、今年4月に開院したフットケア外来のある「ベテル南新宿診療所」を受診した体験レポートをお届けします。
去る8月末、沖縄県宮古島から出張でいらした株式会社旅行透析の代表取締役社長、池間真吾さんと共に新宿にある「ベテル南新宿診療所」を伺いました。
こちらの診療所では、足の治療や検査を行う医師のいない透析、糖尿病、皮膚科等の施設から患者さんを受け入れています。
立地は新宿駅南口からほど近く、交通アクセスの良いところです。
池間さんは長らく白癬症(水虫)に悩まされていました。透析患者ということで、地元の皮膚科ではなかなか薬を処方してもらえなかったそうです。
そこで今回、東京出張のタイミングで初めて足の専門である「フットケア外来」を受診していただくことになりました。
まずは木下幹雄先生の問診です。
足の症状についてはもちろん、透析の状況、日常生活についてもやさしく丁寧に聞いていただき、診察していきます。
続いて別室に移動して検査です。
1.血流の状態をチェックします(SPP値の測定)。
SPPとはSkin Perfusion Pressure(皮膚還流圧)の略で、血圧を測るようにして皮膚の毛細血管レベルの血流をレーザーで測定します。
創傷が治るにはSPPの値が少なくとも40mmHgは必要と言われており、30mmHg以下では、血流を改善しない限り、傷は治りません。
2.血管の流れそのものをチェックします(ABI値の測定)。
ABI値とは、足首と上腕の血圧を測定し、その比率を計算したものです。
動脈硬化が進んでいない場合は、横になった状態で両腕と両足の血圧を測ると足首のほうがやや高い値を示します。また、ABIの測定値が0.9以下の場合は、症状の有無にかかわらず動脈硬化が疑われます。
3.アキレス腱に電極を付け感覚のテストをします。
セットした電極から通す電流を徐々に増していき、はじめて刺激を感じたところでハンドスイッチを押します。
これは「ペインビジョン」という機械で、感じる痛みを数値化し、客観的な痛みを測定可能としています。
4.足底圧測定です。
足の裏のどの部分にどれだけの圧がかかっているかを計測します。
靴が合っているか、足のどの部分に足病変発生のリスクが高いかがわかります。
参考
所長と我々研究員が株式会社フットサポートジャパン様へお邪魔した時の足底圧測定の画像です。足の形がきれいに現われ、均一に圧がかかっている状態(全体に黄色い状態)が理想的です。
指の付け根が赤い状態というのは、足の内側(親指側)に重心がかかっていることを示します。このタイプは扁平足になりやすく、また過度に重心のかかっている赤い部分にはウオノメやタコができやすくなります。
ここまでの検査では、池間さんの足の異常は見つかりませんでした。
一安心したところで、装具士の大平さんによるチェックに移ります。
触診しながら足の変形や関節の動きなどを調べ、詳しい説明をしていただきました。
- 判明した池間さんの足の問題点
-
- アキレス腱が非常に硬い(特に左足)
そのため足が内側に倒れO脚気味になっている - 過度の扁平足である
将来的に足病変発症のリスクが高い
- アキレス腱が非常に硬い(特に左足)
- 池間さんが足を守るために必要なこと
-
- ストレッチやマッサージを行い、アキレス腱をやわらかくする
- かかとの硬い靴でしっかりと足を安定させる
この症状、実は池間さんだけではなく透析患者さん、特に糖尿病性の方には多くみられる症状で、健常者に比べ透析のため寝ている姿勢の時間が極度に長いことが原因のひとつだそうです。
最後に、宮古島でも靴の製作が可能なところまでご紹介いただき、白癬症(水虫)のお薬を処方して頂いて診察と検査は終了しました。
診察を終えて〜池間さんのコメント
アキレス腱に関しては以前指摘されたことがありましたが、扁平足に関しては全く自覚がなく驚きました。
糖尿病性ではないし、まだ比較的若いので足には注意もしていませんでした。
これからは、足病変の予防のためにも自分に合ったインソール(中敷き)や靴を作ってみることも検討してみます。
医師の指示により治療に必要な装具を製作する場合は、保険者(国保・社保)に認められれば保険の適用となる場合があると聞き安心しました。
今回の受診は良い経験となり、本当に良かったです。
担当の木下幹雄先生より
〜じんラボユーザーの皆さまへメッセージ
日常は気づかないけれど自分の足で歩けることはとても幸せなことです。
ある日突然、足が失われてしまう危険があります。それが透析や糖尿病の恐ろしさです。
足に異常が現われる前に、出来るだけ早く足を守る意識を持って、楽しい人生を歩んでいきましょう。
木下先生が透析施設を訪問し診察すると、大体1割ほどの患者さんに足の異常が見つかるそうです。しかし、ご本人は気づいていないか関心がないことがほとんどのようです。
第1回から書き続けていますが、足病変は早期発見、早期治療が一番重要です。
ちょっとした傷や痛みでも、「ベテル南新宿診療所」のような足専門外来を受診されることをお勧めします。
医療法人社団 ベテル南新宿診療所 フットケア外来
日本では数少ない足の専門外来です。足の専門医師・看護師・義肢装具士による診断・治療だけでなく 症状に応じて他の総合病院の足(創傷・フットケア)外来と連動して治療に取り組みます。
住所:東京都渋谷区代々木二丁目6番8号 中島ビル2階
電話:03-5333-8482
診療時間:火曜日 10:30〜13:30 14:30〜19:00
足病外来の初診は原則火曜日ですが、ケースにより随時ご相談に応じさせていただきます。
なお、受診のご予約やご質問は直接お電話でお願いします。 メールでの対応はしておりません。
お電話受付は 月曜日〜金曜日 10:00〜18:30
出来るだけスムースなご対応を心がけます。
この記事はどうでしたか?
生き活きナビ内検索
- 腎臓病全般
- ご家族の方