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東京ネクスト内科・透析クリニック 第3回在宅血液透析患者会参加レポート Part3
2015.7.9
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- 東京ネクスト内科・透析クリニック 第3回在宅血液透析患者会参加レポート Part1
- 東京ネクスト内科・透析クリニック 第3回在宅血液透析患者会参加レポート Part2
- 機械の操作パネルは患者にとっては難しいです。アニメーションを使って分かりやすく表示してもらえたら嬉しいです。
- トラブルがあった時に、画面にメッセージではなく、イラスト表示にしてトラブルが起こっている箇所が赤く表示されると便利だと思います。
- 普段はリクライニングシートで透析をしているのですが、画面の表示が角度によって全然見えません。
また、横になっていても操作のしやすい画面作りをしてもらえたらありがたいです。 - 操作パネル情報をタブレット端末に映して欲しいです。座っていると見えないので、血圧とか静脈圧とかのモニタリングだけでも見えるようになると助かります。
- 在宅血液透析向けのコンソールは立っている人用なので、ベッドから操作ができるとか、あとは片手が使えない状態なので片手でも操作できるものができるとありがたいです。
- メーカーさんには頑張ってもらって、持ち運べるようなコンパクトな機械にして欲しいです。故障した時などまるまる交換できるようになれば、透析を中断することなく継続することができます。
- なるべく小さく、ポータブルなものを開発して欲しいです。
- 機械内部で電圧を計り、電圧の変化のデータを蓄積しそこから故障がいつ、どのタイミングで出てくるのか分かるようなシステムを開発してください。
「東京ネクスト内科・透析クリニック 第3回在宅血液透析患者会参加レポート Part1」では、東京ネクスト内科・透析クリニックでの在宅血液透析とオーバーナイト透析への取り組みなどについて、前回のPart2ではクリニック院長の陣内彦博先生による講演内容としてなぜ在宅血液透析は増えないのか、そして在宅血液透析の今後の課題と会場より寄せられた質問とその回答についてお伝えしました。
Part3では、その後の勉強会と意見交換会の様子をお伝えします。
講演後の勉強会と意見交換会
1)在宅血液透析の同意書についての説明
講演終了後、新半蔵門法律事務所・弁護士の嵯峨清喜さんと、東京ネクスト内科・透析クリニック・院長補佐の川畑勝さんから、在宅血液透析の同意書作成の経緯についての説明がありました。
2010年頃から少しずつ増えてきたとはいえ、在宅血液透析の実施を躊躇する医療機関は少なくありませんでした。その理由は、医療機関と患者との責任の分配が明示されていなかったからだそうです。そこで弁護士の嵯峨さんは、患者の自己決定権を守る位置づけで医療機関と患者双方の責任を明確に分ける形で在宅血液透析のための同意書を作成しました。この同意書は患者にとっては厳しい一面もありますが、患者の自由な時間と治療を守るため、また患者の社会復帰のためには在宅血液透析の普及が必要であり、そのためには同意書が必要と考えたそうです。嵯峨さんと川畑さんは、この在宅血液透析のための同意書が統一フォーマットとして普及すれば、在宅血液透析に取り組む医療機関も増えるのではないかと主張されました。
2)メーカーを交えての意見交換会
今回の勉強会には血液透析装置の開発をされているメーカーのエンジニアの方も参加されました。実際に在宅血液透析に取り組んでいる患者さんや介助を行っている家族の方が参加しているため、多くの意見収集をしたいとのことでした。陣内先生が講演の中でも触れていましたが、在宅血液透析で使われている透析装置は透析施設で使われているものと同じものです。本来は医療者だけが使う特別な機能も含まれており、これをこのまま患者が使うのにはさまざまな負担があるようです。そうしたことを踏まえて、患者さんや家族の方々からはさまざまな意見が寄せられました。
操作パネルの表示に関する要望
操作パネルの形式・形状に関する要望
装置の大きさに関する要望
その他
この勉強会には舞台演出を手がける中村龍史さんも参加されていました。中村さんは長い間腹膜透析をしながら舞台活動を行っていましたが、現在は在宅血液透析に取り組まれています。中村さんは在宅血液透析向けの機器として次のような要望を述べられました。
「僕は今、在宅血液透析を行うことできちんと健康維持ができているので、クリニック
の先生にもメーカーの人にもとても感謝しています。ただ、海外や地方に行った時でも今の状態をキープできればと思います。海外に行った時には透析施設で週3回のような形でしか透析が受けられないので…。
また今はプライミングなどの技術は難しく感じませんが、これからだんだんと年齢を重ねていった時に集中力を持って作業できるのかという不安はあります。やはり回路などがパッケージされていて、簡単にセットできるようになるといいですね」
また、ある患者さんからは在宅血液透析に対する思いについても発言がありました。
「自己責任で行わなければなりませんが、自分の命に関わることですからいろいろな意味で真剣に取り組ませていただいています。1つ1つ確認しながら自分で透析をしていますが、仕事も透析も現状を楽しく満喫しています」
【よしいなをき所感】
在宅血液透析に取り組むためには、自己穿刺や透析装置の操作、関連機器の設置などいくつものハードルが存在します。しかしこうしたハードルを乗り越え、在宅血液透析に取り組まれる患者さんの存在は大きいと思います。自分の手技を鍛えながら取り組む理由は、在宅血液透析が患者の健康と就労などの社会活動を守っていることに他なりません。陣内先生は講演の最後で「今後は大きな改革が必要になる」と述べられましたが、この勉強会に患者と家族、医療者、弁護士、メーカーのエンジニアの方など多くの人が関わっていることを目の当たりにして、「改革」は確実に進んでいると実感しました。何より主体的に治療に向き合う患者さんが多いのです。また情熱を持ってサポートする人たちも大勢います。この情熱が必ず実を結び、将来在宅血液透析の普及につながる筈だと私は感じました。
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