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冬の新型コロナウイルス対策【第3回】
乾燥は大敵! 適切な湿度を保つ方法と工夫
2021.1.25
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冬の新型コロナウイルスの感染防止対策ついての連載・第3話です。最終回となる今回はウイルスの拡散に大きく関係する「湿度」に着目し、加湿の重要性と保持するための工夫をご紹介します。
湿度が低い冬にウイルス感染症が流行る理由
インフルエンザのような冬に蔓延する季節性のウイルスは、低温かつ乾燥した空間で増殖・飛散しやすいのが特徴です。温度や湿度を変えてウイルスの生存率を見た実験で、インフルエンザウイルスは室温20℃以上かつ湿度が約50~60%で感染力が大きく下がり、さらに同じ室温でも湿度が高いほど下がることが分かっています。また、空気が乾燥するとのどの粘膜にある繊毛(線毛)や免疫細胞の働きが弱くなり、菌やウイルスが体内に侵入しやすくなります。
新型コロナウイルスの寿命と湿度の関係はまだ十分明らかになっていませんが、厚生労働省は現時点で判っていることから、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のためには室温を18℃以上かつ湿度40%以上に維持することを推奨しています。
理化学研究所が2020年10月に公表した飲食時の飛沫の拡散などを計算したシミュレーション結果で、乾燥した空気により急激に飛沫が小さくなり、特に湿度30%未満の環境下ではウイルスが特に拡散しやすくなることが分かりました。
この結果から、飛沫が小さく拡散しやすい「エアロゾル」への対策である換気とともに、湿度コントロールの重要性が示されました。
この冬は感染対策で定期的な換気も呼びかけられていますが、換気は外気の乾燥した空気を取り込み、室内で加湿した空気が排出されてしまうため温度も湿度も低下します。今年は例年以上に暖房と加湿を意識しましょう。
湿度がウイルス拡散にここまで影響するとは驚きです。いかに加湿が重要なのか、恥ずかしながら初めて知りました。
今、事務所の温度と湿度を見たら、温度19.8℃ 湿度28%でした! 加湿しなければ!
加湿方法と湿度を高く保つポイント
加湿器の置き場所
室内の最適な湿度を保つには、加湿器が手軽でおすすめです。しかし置き場所によって加湿能力が十分に発揮されないことがあるため、効率よく加湿できる場所も知っておきましょう。
加湿器を置く場所としておすすめなのが、「部屋の中央」「エアコンの吸入口近く」「エアコンの風の通り道」の3カ所です。
部屋の中央に置くことで水蒸気が行き渡りやすくなります。またエアコンの吸入口近くやエアコンの風の通り道に置くと、加湿した空気を循環させることができます。
しかし、部屋の中央に置くと邪魔にですよね。その場合は、次の場所を避けましょう。
加湿器を置かない方が良い場所
窓際 | 外の冷気の影響で湿度センサーが誤作動する可能性があります。また、冷気で窓が結露しやすくなります。 |
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壁際 | 壁に水蒸気が当たりカビの発生につながります。 |
床の直置きなど低い位置 | 蒸気吹き出し口が低い位置にあると加湿効果が下がります。また、暖かい空気は上に、冷たい空気は下にとどまるため、水蒸気が冷やされて結露しやすくなります。 |
換気扇や部屋の出入り口付近 | 空気の入れ替えが激しいため、加湿された空気が部屋の外に排出されやすくなります。 |
エアコンの風が直接当たる場所 | エアコンの風が直接当たる場所では湿度センサーが誤作動する可能性があります。 |
この他、水に弱いテレビなどの電化製品の近くに置くのもやめましょう。加湿器を置かない方が良い場所をまとめると、「温度が低く結露しやすい場所」または「直接水蒸気が当たって何かしら影響が出る場所」の2つと言えます。
効率よく加湿するには、サーキュレーターの併用もおすすめです。加湿した空気を室内に循環させ、暖かい空気を上下入れ替えて加湿のムラを軽減させることが可能です。
加湿器の選び方 〜新調するなら1クラスアップがおすすめ
換気が推奨されるこの冬は、部屋の広さにピッタリの性能のものよりも1クラス加湿量が大きなものがおすすめです。加湿量は「mL/h」で表示され、この数値が大きいほど加湿量が多いためより広い部屋で使えるということになります。
以下の「適用床面積目安表」や、ダイニチ工業株式会社の「必要加湿量計算フォーム」などを参考に、適切な性能の加湿器を選びましょう。
適用床面積目安表
使用している空気清浄機に加湿機能があるので、それを利用しようと思います。皆さんもご自宅の空気清浄機やエアコンなどに加湿機能の有無やその加湿量を確認してみてはいかがでしょうか?
加湿器を使わずに湿度を保つには
加湿器ほどの即効性・持続性はないものの、日常生活で手軽に加湿する手段として以下の方法も挙げられます。
洗濯物の室内干し | 洗濯物がない時は代わりに濡れタオルを数枚干しましょう。 |
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やかんの蓋を開けてお湯を沸かす | やかんまたは電気ケトルの蓋を開けておくのがコツです。ストーブの天板に水を入れたやかんを置いておくと、ストーブが稼働する間は気軽に加湿できます。 |
霧吹きを利用する | 空中に吹きかけてもいいですが、カーテンやソファーなどの布製品を適度に湿らせておくと、その少しずつ蒸発して加湿器の代わりになります。 |
水拭き掃除をする | 床や窓についた水分が蒸発するため加湿効果が期待できます。まずは乾いた布で一方向にから拭きして、埃に付着したウイルスを取り除きましょう。その後同じく一方向へ水拭きしてください。 |
入浴後に換気扇を回さず浴室のドアを開けておく | 手っ取り早い加湿方法ですが、脱衣所など浴室に近い場所を加湿しすぎてしまう可能性があります。湿度計を確認しつつ調節しましょう。 |
暖房には石油ストーブやガスファンヒーターを使う | 石油やガスが燃焼する際に水蒸気が発生します。 |
湿度60%以上でカビやダニが発生しやすくなるため、60%未満に抑えましょう。
【執筆後記】
湿度が高くなると、飛沫が重くなり落下しやすくなります。適切な湿度を保持しつつ、手で触れやすい机などをこまめに拭く・消毒するなどの対策も心掛けましょう。
新型コロナウイルスが日本で初めて確認されてから今月で1年です。長い間、外出時のマスク着用やこまめな消毒、ソーシャル・ディスタンス(フィジカル・ディスタンス)の意識などの対策を続けてきたにもかかわらず、第3波の到来で気が滅入ってしまっている方が多いと思います。それでも、さらなる感染拡大を防ぐためにも、一人一人が無理のない範囲で対策し続けることが大切です。
参考
- 厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)」(2021/1 アクセス)
- 日本経済新聞「乾燥すると飛沫拡散、スパコン『富岳』で模擬実験」2020年10月13日(2021/1 アクセス)
- 理化学研究所「室内環境におけるウイルス飛沫感染の予測とその対策」(2021/1 アクセス)
- ELECOM「加湿器の効果は位置によって変わる?正しい置き場所について」(2021/1 アクセス)
- ダイニチ工業株式会社「【2020年~2021年冬版】その置き場所で大丈夫? 加湿器の「本当に効果的な使い方」を完全ガイド!」(2021/1 アクセス)
- 一般社団法人 日本電機工業会(JEMA)「加湿器ってなに?」(2021/1 アクセス)
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