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冬の新型コロナウイルス対策【第1回】
イベントが多い年末年始の注意点

2020.12.21

文:s.yuri

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新型コロナウイルス感染症の第3波が到来しています。基礎疾患のある方は重症化しやすいため、腎臓病患者さんや透析患者さんは細心の注意が必要です。
皆さんの新型コロナウイルスの感染リスクを少しでも下げるため、冬を過ごす中で気をつけるべき点ついて連載します。今回は、年末年始の注意点とその解説です。


通常の会話より飛沫量が10倍超!
会食で気をつけるべきこと

年末年始は、仕事関係や親戚、友人などとの会食の機会が増えます。飲酒すると、気が緩んで声が大きくなり人との距離が近くなりやすいため、飛沫感染のリスクが高まります。飲食店は客同士の距離が近く、換気が十分ではない場合も考えられるため、できるだけ自粛するか空いている時期に会食日をずらすといった対策をとりましょう。

豊橋技術科学大学は、場面ごとの飛沫量などを測定した研究結果を2020年10月に発表しました。
研究によると、大声での会話やカラオケは、通常の会話と比べて飛沫量は10倍に、飛沫が飛び出す勢いは1.5~2倍になることが分かりました。さらに、飲食を伴うと飛沫量がさらに3~4割程度増え、飛沫量は14倍程度になります。飲食を伴う大声での会話やカラオケは、感染リスクが非常に高いということが非常によくわかる結果となりました。

また同月、理化学研究所は飲食店における飛沫シミュレーション結果を公表しています。感染者がそれぞれ「正面」「はす向かい」「隣」に座った人に対し顔を向けて話した場合、方向によって飛沫到達量がどれだけ変わるか予測し、隣が元も高リスクという結果でした。最も飛沫到達量が多かったのは感染者の隣で、正面の約5倍に上ったのです。一方で、飛沫到達量が最も少なかったのははす向かいで、正面の4分の1程度でした。

飛沫感染リスク評価

会食や宴会の二次会はカラオケというパターンは多いと思いますが、感染状況が落ち着くまでできる限り避けた方がいいでしょう。行く場合は、換気や消毒を行っている店舗を選んで、できる限り少人数で利用するほか、隣の人と十分な距離を保ち間隔をあけて座るなどの対策をとりましょう。

以下は会食時に注意するポイントです。

  • 飲酒をするのであれば、
  • ①少人数・短時間で、
  • ②なるべく普段一緒にいる人と、
  • ③深酒・はしご酒などはひかえ、適度な酒量で。
  • 箸やコップは使い回わさず、一人ひとりで。
  • 座の配置は斜め向かいに。
  • (正面や真横はなるべく避ける)
  • (食事の際に、正面や真横に座った場合には感染したが、斜め向かいに座った場合には感染しなかった報告事例あり。)
  • 会話する時はなるべくマスク着用。
  • (フェイスシールド・マウスシールドはマスクに比べ効果が弱いことに留意が必要。)
  • 換気が適切になされているなどの工夫をしているお店で。
  • 体調が悪い人は参加しない。

新型コロナウイルス感染症対策推進室(内閣官房)外部サイトへより引用して改変

会食は人と人との距離が近く(1m以下)なりがちなので、そもそも感染リスクが高いそうです。


人が密集しやすい年始のイベントはオンラインを活用して

年末年始のイベントの中で、特に人が密集しやすく感染リスクが高いと考えられるのは初詣や初売りですね。


「密」を避けた新様式の初詣いろいろ

初詣は概ね屋外で「感染リスクは高くない」という意見もありますが、参拝、授与所、おみくじなど、人が集中しやすいスポットがある上に会話や飲食する人が多いため、感染リスクは低いとはいえません。

感染対策として、御師(おし/おんし)に新年の初祈祷を受けてもらう「代参祈祷」をはじめ、境内の様子のライブ配信を見たり、おみくじや記帳を行ったりできる「オンライン参拝」、祈祷したお札などを郵送してくれる神社もあります。
以下はそんな「バーチャル初詣」が可能なサービスの一例です。今年は一味違った初詣として、参拝してみたかった神社をオンラインで訪れてみてはいかがでしょうか?

参拝もオンラインで距離を越えて行えるのですね。オンライン参拝自体、特に間違った行為ではないそうです。初詣「三が日以外」「オンライン」でご利益は 神田明神と出雲大社埼玉分院に聞く(J-CASTニュース)

実際に初詣に行く方は、まずは三が日にとらわれず混雑する場所や日時を避ける「分散参拝」を検討しましょう。“幸先詣”として12月から縁起物の授与を前倒しで行う神社や、初詣期間を節分までとする神社もあります。また、混雑状況予想や現在の境内や周辺の様子のリアルタイム配信などの情報を活用するのも一つの手です。

感染対策として、露店の中止や鈴緒などの撤去を決めた神社も数多くありますが、何より参拝者一人一人が感染しないよう意識した行動をとることが大切です。マスクの着用、こまめな消毒、大声での会話を避け、不特定多数の人が触れる柄杓や鈴緒などの利用は控えましょう。

スマートフォンを活用したおみくじや、賽銭を電子決済できるシステムを導入した神社もあります。賽銭の電子決済は、境内などに設置されているQRコードを読み込み、金額を入力して決済することで賽銭を入れることができる仕組みです。電子決済の活用は、賽銭箱に人が集中しにくくなるほか、不特定多数の人が使った現金に触わる機会が減り感染予防に有効です。


年末年始の準備は、不要不急の外出を避けて計画的に

初売りも、初詣同様に例年と違った様子になるところが多いようです。
福袋については、年内予約に切り替えて店頭販売を取りやめたり、密を回避するため取り扱いを前倒しする店舗、営業日を見直して元旦や年始数日の休業を決めたり、休業期間を拡大した店舗もあります。

店舗が密になりやすい年末ギリギリと初売りの人混みを避けるため、できるだけ余裕をもって少しずつ年始の準備をしましょう。普段ネット通販を使わない方は、今年の初売りをきっかけに活用してみるのもひとつの手です。


人と会うときは飛沫の飛散防止効果が高い
「不織布マスク」の着用を

2020年6月ごろ、世界保健機関(WHO)は、公共の場でのマスク着用を推奨すると発表しました。マスクなどで顔を覆うことは「お互いの感染リスクを減らす」ことができるため、日常生活の感染症対策として世界的に推奨されています。
不織布のサージカルマスク、手作りマスク、マウスシールドなどさまざまな選択肢がありますが、どんな場面で、どのマスクを選べばいいのでしょうか。

理化学研究所などの研究チームがスーパーコンピュータ「富岳」を使用し、素材別のマスクなどのフィルター性能と通気性を計測しました。その結果、不織布マスクが最も咳をした際に生じる飛散を防ぐ効果があることが分かりました。

マスクなどの効果

マスクなし

不織布マスク

布マスク

ウレタンマスク

フェイスシールド

マウスシールド

スーパーコンピュータ「富岳」によるシュミレーション結果と豊橋科学技術大学による実験値から
(有)中野文様研究所が作成

シミュレーションの結果、不織布マスクは通気性が悪く息がしづらい反面約8割の飛散抑制効果があり、最もフィルター性能が高いことが示されました。
布やウレタンのマスクは息がしやすいものの、性能は不織布には劣ります。一口に不織布と言っても性能はさまざまですので、「息のしにくさ(通気性が悪さ)=性能の良さ」と覚えておきましょう。

この結果によって、改めて飛沫感染防止にはマスクが有効であることが示されました。散歩など一人で外出する場合は息がしやすく何度も使えるマスクを使い、人と会う場合や人が集まる場所に行く場合は、不織布マスクを使うなどといった工夫をするといいでしょう。

マスクは場面によって使い分けが有効なのですね!

【執筆後記】

冬になると風邪やインフルエンザにかかりやすくなることから、「冬は免疫力が落ちやすい」と思われがちですが、実は冬より夏の方が免疫力は低下しやすいのです。

厳しい寒さに備えるため、多くの生き物は秋に栄養を体にため込み、さらに活動レベルを抑え体力の温存を図ることで、冬は比較的体力・免疫力が高い状態を保つことができるそうです。しかし、現代人は寒い時期に関わらず活動するため体力を消耗しています。そこに、空気の乾燥などで拡散したウイルスが体内に侵入し、感染してしまうといわれているのです。

年末年始は、仕事や大掃除、買出し、新年の準備に各方面への挨拶などバタつきやすい時期ですが、感染を防ぐためにマスクの着用や年末年始イベントの過ごし方を改めて見直してみましょう。

私たち自身の感染防止対策はもちろんのこと、医療の現場を守るためにも、新しい年末年始の過ごし方を改めて考え、きたる2021年を元気に迎えましょう!

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s.yuri

s.yuri
じんラボのライター。大学卒業後、地元紙で主に教育や警察、司法、スポーツ、地域ネタを追いかける社会部記者として働き、その後夫の転勤に伴いゆるいフリーランスでライター・編集者として活動してきました。
学生時代から医療福祉に関する執筆に関わりたいと思っていたのが、十数年の時を経てじんラボでご縁をいただました。透析や腎臓病の勉強を重ね、少しでも元気の出る情報をお届けします。

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