リン
別名:無機リン
略号:IP
腎臓の機能が低下すると血中にリンが溜まる高リン血症になり、その結果カルシウムがリンと結合して動脈に石灰化して溜まり、心筋梗塞や脳梗塞の危険性が高まります。また副甲状腺ホルモン(PTH)というホルモンが分泌されてリンやカルシウムが骨から溶け出て骨が弱くなったり、腎臓の機能がさらに悪化したりする原因になります。また、長い間透析をしていると骨強度や骨密度が低下することがありますが、その骨を守る筋肉を維持することも重要です。そのため、高リン血症の透析患者さんは、透析量の増加、リン吸着薬の使用、食事での制限が必要です。
リンは人体に必要なミネラルの一種で、骨や歯や筋肉を形成するほか体内のさまざまな細胞に存在し、カルシウムに次いで多く、成人の体重の約1%を占めています。その85%は骨や歯にリン酸カルシウム・リン酸マグネシウムとして存在しています。残りの15%は蛋白質や脂質と結合し細胞膜や核酸の構成要素として体内の細胞に存在するほか、エネルギーを発生させる化合物の構成成分ともなっています。また細胞のpHバランスや浸透圧を保つ働きをするなど、体内でのいろいろな重要な働きに関わっています。