異所性石灰化
別名:異所性石灰沈着、転移性石灰化
略号:
骨以外の正常組織に非生理的な石灰化が生じることです。特にカルシウムとリンの積が70以上になり、血液などの体液のpHが正常値よりも高いアルカローシスの傾向があるとリン酸カルシウムが析出されやすいため、二次的にカルシウム塩が沈着する状態です。全身の間質組織に生じますが、特に血管壁、肺胞壁、腎、胃粘膜の間質によく見られ、時には腫瘤化することもあります。一般的に臓器の機能障害は起きませんが、極めて高度な沈着になると、稀に呼吸障害や腎機能障害を起こします。
腎不全にみられる二次性副甲状腺機能亢進症と関係が深く、透析患者では、本来石灰化が認められない血管壁、軟部組織、関節周囲などに石灰化、石灰の沈着を来たし、X線撮影で明らかに見られます。初期は無症状ですが、腫大化すると血流障害や機能障害を生じ疼痛や運動制限を生じます。また、血液透析後の一過生のアルカローシスは石灰化を助長します。対策として、高カルシウムに対してはカルシウム製剤や活性型ビタミンD製剤の調整、透析液のカルシウムを下げる事など、高リンに対してはリン摂取の制限、透析効率を上げる事、リン吸着剤の投与が考えられます。