with Kidney調査
第8回 当事者アンケート⑦ / 医療者アンケート② 外来診療に関する意識 調査結果
2024.7.29
― with Kidneyプロジェクト 開催中のアンケート ―
調査目的
慢性腎臓病(CKD)や糖尿病の外来診療の現場の実態を、腎臓病や糖尿病をもつ当事者の方(以下当事者と言う)、当事者と接する医療者の方(以下医療者と言う)、両側面からのアンケートを実施しました。
自由記述式の同趣旨の質問に関しては、当事者と医療者の回答の差異が視覚的にわかるようにワードクラウド※を作成しました。 回答ごとにその内容によって1〜3個程度のキーワードを割り振り、そのキーワードの出現頻度を集計したものです。
※ワードクラウドとは、文字列を出現頻度に比例した文字サイズで視覚化した図のことです。
調査概要
調査方法 | Webアンケート |
---|---|
調査対象 | 当事者:腎臓病・透析患者の方、糖尿病の方、腎臓移植経験者 医療者:腎臓病患者さんや糖尿病患者さんに接する医療者の方 |
調査期間 | 2023年12月1日(金)~ 2024年2月1日(木) |
有効回答数 | 当事者:146名 医療者:53名 |
当事者回答者の属性等
G1〜G2 | G3 | G4 (保存期腎不全) |
G5 (透析をしている) |
糖尿病 (1型・2型とも) |
計 | |
---|---|---|---|---|---|---|
~20代 | ― | 1 | ― | ― | 9 | 10 |
30代 | 2 | 2 | 2 | 1 | 3 | 10 |
40代 | 2 | 5 | 3 | 12 | 11 | 33 |
50代 | 1 | 9 | 11 | 31 | 11 | 63 |
60代 | 1 | 2 | 3 | 9 | 5 | 20 |
70代 | ― | ― | 4 | 4 | 2 | 10 |
6 | 19 | 23 | 57 | 41 | 146 |
回答者の年齢と腎臓病・糖尿病とのかかわり
医療者回答者の属性等
医師 | 11 |
---|---|
看護師 | 18 |
医療事務 | 2 |
管理栄養士 | 20 |
臨床工学技士 | 2 |
53 |
~20代 | 4 |
---|---|
30代 | 10 |
40代 | 17 |
50代 | 15 |
60代 | 6 |
70代 | 1 |
53 |
Q1:当事者のみ 診療(診察、指導など)時の医療者とのコミュニケーションの現状(複数回答)[n=146:回答数=401]
A | 伝えるべきことが漏れてしまったり、後で思い出したりすることがある | 74 |
B | 医療者からの説明において、口頭ではなく、紙や冊子を用いて説明してほしいと思ったことがある | 47 |
C | 治療のこと、体調の変化など気になることがあっても、「大したことではないかもしれない」「会話が億劫だ」などの理由で言わなかったことがある | 46 |
D | 日頃の病状・症状や経過を伝える努力はしているが、相手にうまく伝わっていないと感じたことがある | 44 |
E | 質問や言いたいことがあっても、「忙しそう」「話しかけづらい」などの理由で言えなかったことがある | 39 |
F | 痛みや症状を伝える場合、どう表現すればいいか分からないことがある | 38 |
G | 日頃の病状・症状や経過を記録しておけば良かった、と後悔したことがある | 32 |
H | 医療者からの説明において、質問する時間が少ないと感じたことがある | 32 |
I | 医療者からの説明において、分からない言葉や表現があったが、なんとなく分かったふりをしたことがある | 25 |
J | 特に当てはまるものはない | 24 |
Q2:外来診療での当事者からの情報提供の現状
当事者への質問:腎臓病や糖尿病の外来診療(診察後の指導なども含む)で、日頃の病状・症状や経過などを積極的に伝えていますか? [n=146]
A | うまく伝えるためにメモなどを準備している | 53 |
B | メモなどは持参しないが、うまく話して伝えている | 49 |
C | 付き添いの家族などが話すため、自分では伝えていない | 6 |
D | 医療者に聞かれたことにのみ答えている | 29 |
E | 考えたこともない | 6 |
T | その他 | 3 |
その他の回答
- 気になる事は口頭で積極的に質問しているが、毎度思いが医師に伝わっていない実感がある。細かすぎると怒られた事もある。
- 痛みや体調不良の程度がどこまでが普通なのかわからない。
- 糖尿のドクターには伝えやすいが腎臓のドクターには話づらいので、温度差があり困っています。
当事者への付帯質問:病状・症状や経過などを伝えるために工夫していることがあれば具体的に教えてください。(自由記述)
回答(抜粋)
- ①前回受診からの推移を伝えるために、起床~就寝までに摂取した糖質量、インスリン単位数を朝食、昼食、間食、夕食、就寝前の区分けで集計した表(1日1行)を作成し、提出する→自分自身で変化点を把握する資料にもなっている。
②医師に伝えたいことをA4・1枚にまとめ、渡している。 - スマートフォンで健診結果を管理できるアプリ、PHR(健康情報を一元的に管理できるアプリなど)などを活用してる。
- インスリンは在庫だけでなく、廃棄した数も伝える。データは持参して特に見て欲しい日をピックアップしておく。
- どのように伝えるべきかをまず、看護師さんや療養指導員さんに相談したり、かなり工夫して気をつけていて、メンタル疲れています。
- 感じたり、思ったりした時にLINEのKeepメモに記録しておいて、伝える前に頭の中に入れて整理をしておく。
- 気になる事は口頭で積極的に聞いてはいるが、毎度思いが医師に伝わっていない実感がある。細かすぎる、考えすぎだと怒られた事もある。
- 次回の予約をとるときに必ずスケジュール帳を見るので、スケジュール帳に質問や疑問に思ったことを付箋で貼っている。
- 診察の前に受付の時点で「先生に質問したいことがある」と伝えておく。
- 通院用のノートを作っています。
前回の通院日から当日までの血圧などをまとめたものや、日々体調で気になったことなどメモして通院の時に持参しています。
先生の話を聞きながらその場でメモする時もあります - 目で見える症状が出たら、携帯で写真を撮って報告するようにしていた。
医療者への質問:腎臓病や糖尿病の外来診療(診察後の指導なども含む)で、患者さんや付き添いのご家族からの日頃の病状・症状や経過などの情報提供に関して具体的に教えてください。
なかなか聞き出せないなどの悩みでも結構ですし、比較的過不足なく聞けているなど、どんな内容でも結構です。(自由記述)
53名中10名程度の方からは「比較的過不足なく聞けている」と回答いただきましたが、それ以外の方からはさまざまな側面での課題が寄せられました。
ざっくり分類した結果は以下の通りです。
苦労している点や悩み | 回答数 |
---|---|
比較的問題なく聞き出せている | 10 |
聞き取りに苦労している | 12 |
時間やリソースが足りない | 10 |
正直に話してもらえていないかもと感じている | 4 |
患者さんごとの個性や事情の違いで苦労している | 5 |
高齢の方特有の難しさを感じている | 2 |
その他 | 9 |
回答(抜粋)
聞き取りに苦労している
- 医師:毎回の外来診察時に血圧、体重、服薬状況を聴いている。食生活などで不明なこと迷うことはないか聴いている。 病気の自然経過や年齢と共にeGFRが少しずつ悪化するのは仕方ないことを納得してもらうのに苦労することがある。 何を食べれば良いかと聞かれて「これが良い、これは悪いというものはない、量の問題はある」と答えるがたぶん理解してもらえてないと思う。
- 看護師:食事の内容や透析についての気持ちなどが聞き取りづらい。塩分摂取量なども個人差が大きく口頭で聞くのはむずかしい。
- 管理栄養士:家族構成や職業なども確認したいが、根掘り葉掘り聞くことが憚られる。
患者さんのキャラクターや初対面か継続相談かなどの信頼関係の構築状況により異なる。長期継続で理解しているつもりになり、近況の変化を聞き逃していることもある。
時間やリソースが足りない
- 医師:限られた診療時間の中で日常について聴取できる時間が限られている。
- 看護師:付き添いの方がいると、アイスブレイクが早く生活情報を聞ける会話に入るのが早いと思う。しかし、十分に聞こうと思うと時間が足りない。
- 管理栄養士:外来患者さんの場合、栄養指導で接する機会が多く、一定の時間(30分の予約制)と場所(栄養相談室)が確保されているので、情報提供の環境としてはある程度整っているように感じています。それでも患者さん・家族から聞きたい情報、こちらから伝えたい情報はたくさんあり、それらを十分に聞けていない・伝えられていないことは多いと感じています。
正直に話してもらえていないかもと感じている
- 医師:普段の自宅での生活、減塩がどの程度守れているのか、薬がどの程度飲めているのかなどを正直に話してもらえているのかはわからない。
- 管理栄養士:糖尿病の患者さんは菓子類やアルコールについて、正直に話すと注意を受ける、止められるなどのマイナスなイメージがあり、隠してしまう方が多いように思います。また、付添いの方がそれらについて話をすると患者さんが怒ってしまったり、言い争いになることもしばしばあります。
患者さんごとの個性や事情の違いで苦労している
- 医師:ご自身の言葉で食事療法の悩みを話せる方から「妻(親、その他家族)が用意しているから自分はよくわからない」と言う方まで、食事療法への取り組みの主体性の振れ幅が大きい。また、ストレスで過食や飲酒してしまう方にはトータルケアが必要だと感じるが、なかなか内科外来の診療で介入しきれない現状である。
高齢の方特有の難しさを感じている
- 看護師:高齢者でADLが徐々に落ちている場合、本人も家族も気づけておらず、久しぶりに会って、以前より歩けなくなっていて驚くことが増えました。
その他
- 医師:外来にて主にCKDから血液透析導入維持までを見ておりますと、導入前の慢性腎不全は『溢水(いっすい)』にでもならない限り、徐々に悪化するため症状が出づらく、そこを動脈血液ガス分析結果で説明し、導入を説得しているのが現状です。徐々の悪化は症状とならず難しいです。
- 看護師:家族の付き添いは重要だと思います。ご本人はなかなか本音や本当の事を話されません。家族からの情報を含めた内容が必要と思います。
- 管理栄養士:栄養指導にて食生活習慣や調理者などの食生活環境を聞いています。
看護師や医師に怒られるかもという気持ちもあることから、私が服薬のことなどを相談されたりします。
Q3:問診票(来院理由/症状/家族歴/内服薬/既往歴)以外の情報共有の状況
当事者への質問:問診票やチェックリスト、医療者からの質問以外で、伝えるようにしていることがあれば教えてください。(自由記述)
ワードクラウド
回答(抜粋)
- 薬に関しては問診表だけで終わらせず薬手帳をそのまま提出し必ず見せている。
- こちらの体調変化や他の病院にかかった内容。
- ちょっとした体の異変。他の病院で薬が変更になった時。
- 栄養士さんにはわかりやすく毎日の食事をノートに書いてます。でも時間に制限があっていつも聞き忘れがあります。
- 極端な高血糖低血糖があったかどうか。その原因がわかっていればそれも伝える。
- 前回の受診からの間での大きな病気やけがなど。
- 体調不良のときの日時を伝えている。生理期間などつたえ、糖尿病と関係があるのか聞く。
- 低血糖の頻度。使いたい新しい機器やその病院では扱っていない注射や測定器を導入しないかいつになるかの質問。
- 糖内科ではないところで、診察される時には、1型糖尿病だということを口に出して言う。書いていても「1型」を見逃される事も多い。
- 透析導入直前は、生活の中で出来ないことや諦めたことを伝えていた。
- 薬で副作用が出やすいこと。
医療者への質問:患者さんや付き添いのご家族から、問診票以上の情報で得られると良いもの、助かるもの、状況判断に役立つものがあれば具体的に教えてください。(自由記述)
ワードクラウド
回答(抜粋)
医師から
- 家庭血圧の季節ごとの変化。情報共有したい家族(情報共有しては困る家族)。
- 塩分摂取量、残薬の程度、自宅血圧、他院で処方されている内服薬の名称。
- 生活全体(仕事、生活習慣、金銭面など)。
看護師から
- ご家族が困っていらっしゃることについて。家族のレスパイトケアの観点からも重要だと思っています。
- ご自宅での状況なら何でも助かります。服薬状況や食事の状況、日常生活活動レベルなど。
- 患者さんの望む生活スタイル。
- 患者さんやご家族の現状把握の程度や、満足度、生活上どんな工夫をしているか。
- 食事内容とその嗜好。食を楽しめているのかどうか。調理担当者。同居者の有無(配偶者以外の)。外食の頻度や目的。趣味や日課。生活目標。
管理栄養士から
- 高齢の方であれば口腔状態、肥満の方であれば最高体重や年齢。
- 私は栄養士なので、食事の準備する人や経済状況、買い物をしてくれる人、など食事にまつわる情報が得られると助かります
- 食事の用意の担当者、普段の食事パターン、配食、デイサービス利用時の食事内容、サプリメントや漢方薬の利用状況。
Q4:医療者からの情報提供の現状
当事者への質問:医療者からの役立つ情報提供や、助けになった言葉などがあれば具体的に教えてください。(自由記述)
ワードクラウド
回答(抜粋)
- 「大丈夫」「ちゃんと管理できてます」
- 「透析は人生を楽しむためにするもの」透析導入をマイナスイメージに思っていたけど、気が楽になれました。
- あなた自身が1番の主治医と思って治療していってくださいね。
- ゆくゆく透析の予定だったので、医師に先生が私ならどうすると質問した時、当時ではまだ少なかった長時間透析を薦められたこと。
- 一喜一憂しない。あなたは優秀な患者だから心配しなくてもよい。
- 学校生活の不安なども入学前に相談に乗ってくれたり、アドバイスをもらえた。
- 看護士さんから、何かわからないことがあったら、いつでも聞いてね! 何かあったら電話で私を指名して! と言われて本当に救われました。
- 管理をほぼ保護者(母である私)に任せてもらっているが、よく褒めてくれる。子どもにも声かけが優しい。
- 今の医師が「任せてください」と、言って下さった瞬間、腕が良い悪いは別としてコミュニケーションが叶ったと実感しました。
- 忙しいだろうけど、その素振りを全く見せない所は安心できて、こっちも訊ねやすい。
医療者への質問:患者さんの治療や生活、治療と仕事の両立などに役立つために積極的に伝えていることがあれば具体的に教えてください。(自由記述)
ワードクラウド
回答(抜粋)
医師から
- 「絶対に自分から仕事を手放さないでください。職場との調整が難しい場合、医療ソーシャルワーカー(MSW)にも相談するなどして、少しでも手がかりを探したいと思っています。」と伝えています。
- 基本的には「栄養をつけてください、運動してください」と指導している。血圧だけは130以下を死守しましょうと伝えている。
- 腎代替療法の選択、合併症の予防、サルコペニア・フレイル予防について。
看護師から
- とにかく外来受診を途絶えさせないよう、細やかに声かけをし、心配しているということを発信し続けます。未受診の時には電話かけを行い、事情を聞き取り、仕事時間が問題ならば、他の腎臓内科医師の外来をご案内したり、後どれくらいで来られるかなど時間を確認して対応するようにしています。
本人になかなか連絡が取れないようなら、家族に様子を伺って受診誘導につなげるようにしています。 - 自分は患者さんが元気に過ごしてもらうサポート役であるというメッセージを伝えている。
- 他の患者さんの工夫方法。治療のために生活しているのではなく、生活のために治療をしているということを意識してもらえるように声かけ。
管理栄養士から
- 食事療法としては、市販品の利用用法や宅配食、通販で購入できるものなど、生活の中で食事療法をできるだけ楽に実行できるような情報を伝えるように心がけています。
- 食事療法にしばられすぎないこと。
- 腎臓病の患者さんへは、自炊の方であれば調味量に含まれる塩分や減塩したときの調味の工夫の仕方、自炊が難しい患者さんには宅配弁当のパンフレットの配布や注文の仕方、中食や外食で注意すること、栄養表示の見方、よく食べるものに含まれるたんぱく質量について話をしています。
糖尿病の患者さんには治療の目的と合併症について、菓子類や清涼飲料水に含まれる炭水化物量について、アルコールが血糖コントロールに及ぼす影響などについて話をしています。 - 生活に役立ちはしないが、栄養指導が嫌なら無理して受けなくていいから、とにかく通院の自己中断だけはしないでと伝えています。
- 糖尿病から腎臓病への移行、また保存期から透析期への移行の際、どのような状態になるのか、生活がどうなるかなど早めに情報を提供している。
- 買い物担当、調理担当、1日の大まかな食事状況、食欲の有無、活動量
- 薬物療法、食事療法などの治療方法は個々にアレンジすることが可能で、主治医が示す方法のみではない、状況を伝えてより良い方法への変更を相談できる、と伝えている。
臨床工学技士から
- 皆さん導入時にひととおりの説明・教育を受けていると思いますが、だいぶたってから治療や食事について尋ねられることがあります。
一回で全部理解できる方はいないこと、疑問に思ったときが覚えるとき、何回でも聞いてくださいね、とお答えしています。
できるだけ忙しくなさそうに装って声を掛けてもらいやすく努めています。
Q5:診療(診察、指導など)時にそれぞれ相手に望むこと
当事者への質問:医療者に対する希望などがあれば具体的に教えてください。(自由記述)
ワードクラウド
回答(抜粋)
- 1型の低血糖が危険だということを、他の課の看護師に広めてほしい。通院時や入院中に訴えても、軽んじられ倒れてから対応される。1型糖尿病の難病指定への働きかけをもっと。病気でも働けるとのアピール大事ですが、実際の社会では普通に働くの無理です。会社から雇ってもらえません、契約切られました。
- ステージが高くないので定期的に診察を受ける必要がなく、日頃の健康管理についてアドバイスを受ける機会が全くなくなってしまった。保険診療でなくても良いが、日々実践できる何らかの指針が欲しい。また、次回診察や検査を受けるタイミングをはっきりと指示して欲しい。
- もっと早くから腎臓を守ることをちゃんと教えて欲しかった。かなり進行してからいきなりこれまでと真逆に近い食事療法といわれても、わけが分からなかった。
- 具体的な治療法をいくつか教えていただきたかったのと、このまま病気が進むとどうなるか、を教えてもらっていたらもっと病気に前向きに取り組んでいたかもしれません。
- 検尿、採血、2時間ほど、待って、5分くらいの診察。たくさんの患者さんが、待っているので、忙しいのもわかるのでなんとなく、薬もらいに行ってる感じがします。
- 分からない(医学名薬の名前)言葉が多いので、その物の名称呼ばず、◯◯が良くなる薬とか、◯◯がこうしてこうなるとか、とにかくこちらがズバリとわかる説明で話してくださると助かります。
- 腎臓病が悪化すると大変なことになる具体例や症状などを、事前に説明してほしかった。発症した時若かったので、病気に関してどこか他人事のような気持ちでいました。
- 透析導入前の透析についての説明で、腹膜透析と血液透析で日常生活がどう変わってくるとか、透析で収入が大幅に下がる場合、他の患者さんはどうやって生活を維持しているのか等の説明が欲しかったです。
- 例えば食事など、食事記録を見せた時に「これなら具体的な指示は必要ないです」などと放り投げずに、「もっとここを工夫した方が良いよ」など、積極的なアドバイスが欲しい。アミノ酸スコアなども「そんな事まで知らなくていい」と言われたことがあるが、こういう事こそ、栄養についてじっくり教えて欲しい。外食の仕方なども具体例をもって教えて欲しかった。
医療者への質問:患者さんや付き添いのご家族に対する希望などがあれば具体的に教えてください。(自由記述)
ワードクラウド
回答(抜粋)
医師から
- 「何が悪くて病気になったのか」とくよくよ考えずに「病気と同伴して残りの人生を楽しもう」と考えてもらいたい。
- 慢性腎不全においては 症状の有無が中心ではないことを 理解して頂きたいです。
- 自分が飲んでる薬の名前ぐらいは覚えていただくか、覚えきれないならお薬手帳と血圧手帳を必ず持参してください、
看護師から
- どのようなことでも良いので、気がかりがあれば教えていただきたい。
- 主治医との話しでは聞きにくいことなど、なんでも話してくれるように説明している。
- 食事を摂ったり、嗜好を楽しむことは全く悪いことではないので、友達に話すようなフラットな雰囲気作りをしているし、患者さんやご家族の方もなんでも話をしてほしい。
- 腎不全末期の状態でも心配かけたくないからと、透析になるかもしれないことをギリギリまで家族に話していない人がとても多い。しかし、患者本人一人で療法選択の意思表示をした後に、ご家族は急に腎不全と知らされ驚かれる上に、まったく違う意見なことが少なくない。家族がいる方は常日頃から、出来るだけ早めに家族間で療法選択に向けた話し合いをして欲しいと思います。
- 普段の様子をよく知っている人に外来に付き添って欲しい。外来と外来の間に1回でもいいので疾患や生活について考える時間を作って欲しい。
- 患者さん自身の意見と家族の意見の違う場合、なぜそう思うのかを知りたい。
管理栄養士から
- 1回だけの栄養相談ではなく、診察の機会を利用してどんどん管理栄養士と食事内容をチェックをしてください。食べたいのに何を食べてよいか分からない以外に、食欲がない、嚥下機能低下から低栄養へ直結することを防ぐことも重要な目的。
- 患者さん自身に語ってほしい場面で、家族が何でも代弁してしまわないように配慮してほしい。独居の方などは雑談がかなり多くなり(雑談も大切であるが)タイムコントロールが難しいことがある。
- 本などで勉強したことに縛られ過ぎないで、自分にあった方法を考えて欲しい。病態、食事療法とも流動的であることを理解してほしい。患者さん、家族、医療者ともに柔軟性が大切。
Q6:医療者のみ 診療(診察、指導など)に関して問題意識を持っていること、苦労している点(複数回答)[n=53:回答数=175]
A | 診察や指導にあたる時間が短くて満足に対応できない | 25 |
B | 患者さんへの診断や指導がうまく伝わっているかわからない | 25 |
C | アドヒアランスがうまくいっているか把握できない | 24 |
D | チーム医療に取り組むにはリソースが不足している(例:健康運動指導士の不在など) | 22 |
E | 人手不足などで常に忙しい | 18 |
F | 他科や、他の医療者との連携が難しい | 17 |
G | オンライン診療がない | 12 |
H | 患者さんから必要な情報が思うように引き出せない | 11 |
I | 診療の効果の検証ができていない | 10 |
J | オンライン診療をうまく活かせない | 6 |
K | その他 | 5 |
選択肢にない問題意識や苦労している点
- 自由に対応できる時間、臨機応変にできる看護外来があればもっと対応できる。
- 腎不全末期の状態が無症状である方は病識が乏しいことから、透析になる事までなかなか自分の問題として向き合うまでかなりの時間を要する。この逃げたい気持ちから、治療選択まで向き合わせる看護介入の対応が、透析経験のない外来看護師には難しい。忙しい外来の流れのなかで、いかに患者さんに病識をもってもらえるような関わりをしていくか、外来スタッフの育成とともに日々奮闘しています。
- 外来には最小限のスタッフしか配属されておらず、人手不足で有資格者が外来の看護にあたることができない。
- 腎臓内科診察時に看護師が不在であること。
- 医師が、コメディカルを雑務処理、指示に従う職種とみなしており、パフォーマンスや可能性を引き出せる環境に無い。
- 腎臓の機能が低下しはじめている時点で、医師から栄養指導の指示をしてもらいたいが、実際は透析間近になってから指示が来るか、指示が来ない。
- 当院のように、医師が栄養士に臨床を教育してくれる施設が増えることを期待しています。
- それぞれが個々に介入しチーム制が成立していない。他のスタッフとの熱量の差がある。
- 近隣の腎臓内科での栄養指導が機能していない。透析を待っているだけの気がする。