with Kidney調査

第4回 当事者アンケート社会保障に関するあなたの意識 調査結果

― with Kidneyプロジェクト 開催中のアンケート ―

じんラボ10周年企画 みんなでつくろう、これからの医療 with Kidneyプロジェクト アンケート実施中
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with Kidneyプロジェクト 透析をしていない腎臓病の方向けの情報がつまった「CKDシート」のセット 販売中
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調査目的

当プロジェクトにて慢性腎臓病(CKD:chronic kidney disease、以下 CKD)の治療と生活に関わるドキュメントや情報を全てマネージメントするための、カスタマイズして長期にわたって使える管理のしくみ(仮称「CKDとの上手な付き合い方のしくみ」)を構築するにあたって、社会保障に対する意識や知識、関心度などに関するアンケートを実施しました。
治療・通院、生活や仕事、社会復帰などさまざな側面で、支援や福祉に適切に繋がり活用するために啓発すべきポイントを考える材料とします。

調査概要

調査方法Webアンケート
調査対象腎臓病の方、透析をしている方、移植経験者など腎臓病当事者
調査期間2023年6月30日(金)~ 7月27日(木)
有効回答数107名

回答者の属性等

G1〜G2 G3 G4
(保存期腎不全)
G5
(透析をしている)
総計
女性 1 7 5 24 37
30代 3 3
40代 1 2 2 3 8
50代 4 2 12 18
60代 1 1 6 8
男性 6 7 57 70
40代 2 4 6
50代 3 33 36
60代 2 2 13 17
70代 1 3 7 11
総計 1 13 12 81 107
回答者の年齢とCKDステージ
Q1:社会保障に関する関心度[n=107]
A 積極的に情報収集し、可能な限り利用している 51
B 利用はしているが、特に積極的な情報収集はしていない 28
C 将来的に利用することを視野に入れて、積極的に情報収集している 7
D なるべく情報に目を通すようにしている 16
E 家族に任せているので、あまり理解していない 3
F あまり関心がない、何があるのか理解していない 1
G まったく関心がない 1
H どれも当てはまらない 1
Q2:社会保障を利用する際の意識[n=107]
A 生活の安心・安定や治療のために、積極的に利用することに抵抗がない 86
B 利用することに抵抗はないが、やむを得ないギリギリの状態になるまで、利用はしないつもりだ(利用しなかった) 9
C 障害年金、障害者手帳の取得や、障害者福祉、生活保護などを利用するのは、「自分よりもっと大変な人がいるのに」「怠けていると思われる」「公金に頼ることが後ろめたい」などの罪悪感を抱いてしまい、抵抗がある 5
D 障害者手帳の取得や、病気をもつ人のための社会保障を利用するのは、「普通の健康な人ではなくなる」気がして抵抗がある 2
E 利用すると、社会復帰ができなくなるのでは、という不安がある 0
F あまりよくわからない 4
G どれも当てはまらない 1
Q3:社会保障を利用するための準備[n=107]
A 腎臓病と診断された医療機関で、社会福祉士やソーシャルワーカー、社会保険労務士などの専門職の人を紹介された 21
B 医療機関での専門職の紹介はなかったが、市区町村の福祉課などに相談するように言われた 25
C 市区町村の介護保険担当窓口、地域包括支援センターや保健所などの相談先があることを知っているので、利用の際は相談する(予定、または相談した) 15
D 患者会で仲間やスタッフに相談する(予定、または相談した) 2
E インターネットで検索したり、書籍を読んで勉強する(予定、または勉強した) 31
F どこに相談すればよいか知らない 4
G どれも当てはまらない 9
Q4:社会保障に関して情報収集する際に感じた不満[n=107]
A どうやって情報収集したらよいか分からない 8
B 担当窓口や相談先がわからない 11
C 窓口に赴くのに手間がかかる 32
D インターネットで検索しても、求めている情報にたどり着けない。どんな書籍を読めばいいのか分からない 8
E 気軽に質問・相談できる場がない 21
F 特に情報収集していない 5
G どれも当てはまらない 22
Q5:社会保障の手続きや受給の際に感じた不満(複数回答)[n=107:回答数=291]
A 申請資料の記載項目が多い・難しいなど、手続きが複雑・煩雑に感じる 46
B 社会保障に関する情報が分かりにくい・難しい 42
C 制度によって、国や自治体など担当窓口が違うので、申請にかかる労力が大きい 38
D 利用できる制度について取りこぼしがないか、最大限の保障を受けられているか分からない 35
E 窓口に赴くのに手間がかかる 29
F 自分が何を利用できるのか分からない、誰に相談したら良いのかも分からない 21
G 認定審査の変更など、支給停止の可能性があるような運営に不安・不満がある 17
H 社会保障に関する情報が少なすぎる、何から調べたらいいのか分からない 16
I 申請や更新が難しくて社会保険労務士や行政書士に有償で代行を依頼したが、代行を使わざるを得ない程に複雑な制度はおかしい 16
J 受給する権利があったのに、制度を知らなかったため利用できなかったことがある 11
K 申請が通らなかったことがある 7
L 社会福祉士やソーシャルワーカー、社会保険労務士などに相談したが、思うような結果が得られなかった 3
M 特に不満はない 7
N 手続きをしたことがない 3
Q6:社会保障に関しての希望要望や、不安、不満に思うこと(自由記述)

現行制度への疑問や格差への不満のほか、申請手続きの分かりづらさや煩雑さ、制度そのものの情報提供もなく申請の際はどこに相談したら良いかも分からないなど、利用に際してのハードルの高さが大きな負担となっているという声が多く寄せられました。

※回答の中には、各制度の受給要件を正しく理解していない可能性があるものもありますが、そのまま掲載します。

受給要件による格差、実態にそぐわない給付内容
  • CKDのステージ3だと何も貰えないけど、体調不良はあるので、何らかの社会保障が必要だと思います。
  • 現在、IgA腎症で「難病疾病手帳」をもらっているだけです。腎臓病の場合、透析が必要になるとさまざまな保障があるのでしょうが、それ以前の段階ではほとんど何も保障がありません。精神疾患のある方(うつ病、統合失調症、発達障害など)を見ると、障害手帳を持ち障害年金ももらっています。私からすると、優雅?な生活を送っています。障害年金は「精神疾患」には甘く、「内部疾患」には冷たいの? と思わざるを得ません。
  • CKDのステージG4とG5のギャップが大きすぎる。G4末期には軽度の身障者として認めて欲しい。
  • 例えばCKDは、透析にならないと保障制度は何も無い。
    透析導入前でも体は辛く合併症も少なくないのに、透析導入前の体調や状態への理解が弱いように思う。
  • 働いている透析患者はお金の面で恵まれすぎていると感じる。
  • 病状は変わらないのに国の都合で障害年金受給の階級が下げられて年金受給が止められて11年以上経ち金銭的に困窮している。
制度設計への疑問・不満
  • 障害者年金支給に自分が該当していると知るのが、大変分かりにくかった。
    また、手続きが大変でかなり時間がかかった。
  • 腎臓病のきっかけの初診日認定。もっと簡単に申請させて欲しい。
  • 障害年金の申請で、初診時の診断書が必要だが、インターネットがまだ普及していない頃の分を手に入れるのは、大変な労力がかかり過ぎだと思う。
  • 糖尿病性腎症ですが、腎臓が悪いと診断された日が必ずしも初診日にあたるとは限らない、という現行制度は納得がいかないです。
    勝手に関連づけられ、糖尿病をもちながらも働いてきて、何年もたってから透析になったのに、初診は糖尿病と診断された日、というのは、なんのために厚生年金を納めてきたのか虚しくなりました。
  • 初診日の認定に関して不満を感じる。
障害年金の制度設計への疑問・不満
  • 障害年金は複雑過ぎて分かりにくい上、自身で手続きしたため、とても大変だった。腎臓病だとわかった瞬間のこの世の終わり的な絶望感から、治療開始以降、社会保障的には経済的な保障も含め、かなり充実しているものだと感じられていることが、唯一の救いのような気がする。
  • 障害年金の申請条件が厳しすぎる。診断書が取れない場合、3人の方に証明してもらうなどの点。
  • 障害年金の受給手続きが煩雑で時間がかかり過ぎる。
  • 障害年金の認定をもうすこし簡素化してほしい。
現行制度への希望・要望
  • 全般的に、給与所得者、低所得者に給付が偏っており、自営業者、一定の所得がある人への支援策が少ないと感じる。自営業者、一定の所得がある人も、病気によって苦労や機会損失があるので、こういうところは、選別主義でなく普遍主義でやってほしい。
    また、保存期においては食事療法の重要性が説かれ、具体的に主食の低蛋白質商品を勧められることも多いと思われるが、低蛋白質商品は通常の主食よりも高価格、かつ治療の一環とされているにもかかわらず医療費控除等の対象にならないため、活用する場合は患者の自己負担となる。治療以外の目的であえて味覚の劣る蛋白質制限商品を利用することは考えにくいので、助成の対象または定額の医療費控除を認めるべきではないだろうか。
  • CKDステージ4の後半から食事療法に関する税制上の補助などがあるとよい。
  • 無職の透析患者が対象で10万円/月のベーシックインカムがあるとよい。
申請主義への疑問・不満
  • マイナカードと連動して必要な情報がすぐに担当部署に届くようにしてほしい。申請主義の日本で申請が必要なことを知らない人達にとっては、制度が存在しないのと同様です。
申請手続きへの疑問・不満
  • マイナンバーなどでもっと簡便化して欲しいです。マイナンバーカードと番号の手書きが意味不明と思います。情報も各自治体まかせなので、自治体によってマチマチで移動すら困難だと思います。
  • ワンストップではなく同じような書類を何枚も書かなくてはならない。
  • 申請フォーマットが自治体によって異なる、統一して欲しい。
  • 申請手続きはワンストップにして。
  • 窓口に赴くのに手間がかかる。
  • 申請手続きのために仕事を休んで窓口等に行かなければいけない。
  • 申請手続きに関して、そもそもフルタイムで仕事をしていると、時間的にどの窓口にも行けない。
  • 申請手続きに関して、やたらと時間と手間がかかる。
  • 病院変更や引越し、転職の度に同じような変更手続きを何種類もしなければならないことが大変。
    仕事をしてると役所に行くことが難しいので全て郵送で手続き可能にして欲しい。
  • 窓口に行っても一回で済まず何回も赴いた。なぜもう少し簡素化できないのか。わざと難しくしているとしか思えなかった。
  • 申請手続きを簡便にして欲しい。
  • 制度や仕組み、そして申請等をもっと簡便でわかり易くして欲しいと感じている。
  • 役所言葉で書かれても一般人には分かりにくい。理解しにくい。もっと分かりやすく書けないものかいつも疑問に思う。
  • もう少しわかりやすくなればいいのに。各窓口の担当者は使い慣れた単語でも初めて申請する当事者にはわかりにくい説明が多すぎます。私は医療関係者だったので制度については一般の人よりは困りませんでしたが、何も知らない人が申請するには各手続きが難しく感じます。
  • 必要書類が多すぎる(特に過去の既往歴)。
  • 申請期限がタイトで申請却下された。
自治体による対応の違い
  • 障害福祉課にて手続きをして受けられる保障を聞いたにもかかわらず、その時は適用外だと言われ、その後、何かの手続きにいったら受けられたことを知ったという経験があります。
    自治体によってあまりにも保障の差があり4年前に今居住している場所に来ましたが、保障がかなり少なくなり不安が募りました。
  • 在宅透析をしているが、水道代や電気代が高額になり、継続できるか心配になる。自治体によって補助に差があることに不平等を感じる。
情報提供の状況や相談先
  • 障害年金の申請は自力で行いましたが、相談するところがあればなぁ…と思いました。
  • 病院との連携が必要だと思います。
  • どんな人がどんな社会保障を受けられるのかが明確でなかったり、窓口対応がいい加減でミスが多いというところはどの自治体も共通していそうです。また自治体職員ごとの法律・法令解釈の違いや、法律のたてつけの不合理から生じる問題も絶えません。
    私は以前、障害年金の認定について、治らない病気に対して数年置きの再認定をするという制度がおかしいと思ったので、医師意見書を書いてもらう先生に、「永続認定」のところにチェックを入れてくれと言ったことがあります。
    どのような結果になるかは結局、医師意見書、ケアマネや相談支援員の力量が大きいような気がします。
  • 同じ透析患者でも、社会保障の情報を知らない患者が多い。仕事をしながら手続きに行って一回で終わることがない、窓口の説明がわかりづらい。今は本人がやっているができなくなった時、だれがやってくれるか不安。車がないと不便だけど、高齢になって送迎になったら、家族も経済的にも困る。タクシーで片道3000円なのに月5000円ほどの自治体からの補助では、不安だらけです。
  • 病気の治療で頭がいっぱいで、社会保障に関してまで考えが及ばなかった。
生活への不安
  • 自分は無職だが世帯の収入で月の医療費が決まるので医療費がかさむのがつらい。
  • 将来年金を、どうするべきか?(※おそらく受給開始年齢に関する悩み)
  • 仕事をしているがいつ職を失うか、生活が行き届かなくなるのではという不安がある。
満足している
  • 今のところは自分が受けられている社会保障に対しての不満はあまりありません。
  • 私は恵まれていると思う。役場の方に細かく丁寧に説明していただいた。最初にかかった病院でも細かく申請の仕方を教えていただいた。
その他
  • 今日の充実した医療制度が先輩透析患者の努力により実現されたことに対する感謝の気持ちを持たない患者が多すぎる。理解があれば患者会に入って、医療制度の継続の意思表示をするべきだ。このままでは社会保障制度は簡単に後退するという認識を経済的に恵まれた透析患者はしっかり意識すべきだ。

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第15回:腎臓病や糖尿病に対する周囲の理解について
腎臓病・透析、糖尿病の方、腎臓移植経験者、そのご家族
~2025年1月9日

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