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医療・社会保障政策を正しく理解するためのキーワード

2025.7.22

文:ndeco

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この記事が公開される2日前、7月20日は参議院選挙の投票日でした。皆さん投票には行きましたか?

今回の選挙では、物価高対策をはじめとするさまざまな政策や課題が争点となりましたが、中でも私たちの生活に深く関わる医療制度や社会保障制度は、そのあり方を根本から見直す時期に来ていることもあり、大きな注目を集めました。

各政党が掲げる公約を正しく理解するために、これらの制度にまつわる「勘違いされやすい用語や概念」を知っておくことはとても重要です。

そこで、選挙が終わったタイミングで恐縮ですが、皆さんがよく疑問に思ったり、誤解しがちな医療や社会保障のキーワードをピックアップし、その概要と「よくある誤解や勘違い」をまとめました。

これらの「よくある誤解や勘違い」は、X(旧Twitter)などのSNSでの皆さんの疑問や、ChatGPT、GeminiといったAIへの質問内容を参考にしています。

正しい知識で、私たちの暮らしや療養生活を支える制度について、一緒に考えましょう。


医療・社会保障政策を正しく理解するためのキーワード 一覧


アドバンス・ケア・プランニング(ACP)

よくある誤解や勘違い

延命治療をするかしないかを決めるだけのもの。

ACPとは、今後の治療・療養について本人・家族と医療者があらかじめ話し合い、共有するプロセス全体のことです。


医療DX

よくある誤解や勘違い

電子カルテを導入すること。

単なるIT化や電子カルテ導入に留まらず、デジタル技術を活用して、情報共有・業務改革・人材配置・患者中心のケアを含む医療提供体制全体の変革など、医療全体の質や効率を高めることを指します。


延命治療

よくある誤解や勘違い

生命をただ長引かせるだけの無意味な治療。

延命治療に明確な定義はなく、患者の死期を一時的に引き延ばす可能性のある医療行為全般を指します。人工呼吸器、人工栄養(胃ろう、点滴)、昇圧剤投与、心肺蘇生などが含まれます。
ただ生命維持装置をつなぐだけというネガティブなイメージが先行しがちですが、本人や家族の希望、病状などによって、その意味合いは大きく異なります。


介護保険

よくある誤解や勘違い

高齢者のためだけの制度、高齢者なら誰でも使える。

原則は65歳以上が対象ですが、40歳から64歳までの方で特定疾患(がんや難病など)の人も対象となります。原則として要介護(要支援)認定が必要です。 日常生活の支援や身体介護、リハビリテーションなど、自立支援のためのサービスが受けられます。


緩和ケア

よくある誤解や勘違い

末期がん患者が受けることができるもの。

緩和ケアとは「病気に伴う心と体の痛みを和らげること」です。
病気の初期段階から、治療と並行して行われる、さまざまな苦痛を和らげ、患者と家族のQOL(生活の質)を向上させることを目的としたケアです。
ただし、「緩和ケア病棟」は基本的にがん患者向けが中心であるため、がん以外の疾患に対する緩和ケアは、がん患者に比べて提供される機会が少ないという現状があります。


健康寿命

よくある誤解や勘違い

健康寿命とは病気になっていない期間を指し、健康寿命は個人の努力だけで決まる。

健康寿命とは健康上の問題で日常生活に制限なく、自立して生活できる期間を指します。完全に病気がない期間ではありません。
個人の努力に加えて、社会全体の取り組みも健康寿命の延伸には不可欠です。地域包括ケアシステムなどが、健康寿命の延伸を支える社会的な基盤となります。


高額療養費制度

よくある誤解や勘違い

大きな手術のときだけ使える制度。

医療機関や薬局の窓口で支払う医療費の自己負担額が、ひと月で上限額を超えた場合に、超えた額が払い戻される(または最初から支払い不要になる)制度です。 入院・通院問わず対象となりますが、入院時の食事代や差額ベッド代、先進医療にかかる費用などは対象外です。
所得に応じて自己負担の上限額が異なります。

医療費イメージ


後期高齢者支援金

よくある誤解や勘違い

この支援金があるせいで、現役世代の医療費が高くなっている。

75歳以上の後期高齢者の医療費を賄うための財源の一部として、75歳未満の現役世代(国民健康保険や被用者保険の加入者)が負担する保険料のことです。
実際には後期高齢者本人も原則1割の医療費を自己負担しています。


主治医意見書

よくある誤解や勘違い

医師が介護サービスの必要性を決めるためのもの。

介護保険を利用する際に、市町村が要介護認定を行うために、患者の疾病や負傷の状況について主治医が記載する書類です。
医師の専門的な医学的見地からの情報提供という位置づけです。


終末期医療(ターミナルケア)

よくある誤解や勘違い

治療をあきらめること、積極的な治療は一切しないこと。

「延命治療の停止」ではなく、死期が迫っている方に対し、その人らしく最期まで尊厳を保ち、身体的・精神的な苦痛を最小限に抑えながら、患者と家族が穏やかに過ごせるように支える医療全般を指します。


セルフケア

よくある誤解や勘違い

自分で病気を治すこと、病院に行かずに済ませること。

セルフケアとは、医療専門家の支援も活用しながら、日常的に自分の健康管理を行うことです。病気の管理や予防、症状への対処、健康的な生活習慣の維持などが含まれます。
セルフメディケーションとはセルフケアの一部で、医薬品を使った軽度な不調への対処を指します。


地域包括ケアシステム

よくある誤解や勘違い

高齢者が地域で集まって暮らすこと。

高齢者が住み慣れた地域で、自分らしい生活を最期まで続けられるように、それぞれの市町村内で助け合う体制のことです。
医療・介護・予防・住まい・生活支援などを一体的に提供することにより、高齢者を地域で支えます。


看取り

よくある誤解や勘違い

何もしないこと。

看取りとは、死期が迫っている方が最期まで尊厳を持って過ごせるように、身体的苦痛や精神的苦痛を緩和しながら、家族と共に寄り添うケアのことです。


要介護認定

よくある誤解や勘違い

動けなければ誰でも認定される。

介護保険サービスを利用するために、介護の必要性や度合いを判断するプロセスです。身体の機能だけでなく、認知症や生活能力なども含めた総合評価を行います。


DNAR(心肺蘇生拒否)

よくある誤解や勘違い

何も治療しないこと。

DNARとは、本人または代理者の意思決定をうけて心肺蘇生法を行わないことです。日本では社会的合意や公的ガイドラインは未整備です。
DNARはあくまで心肺蘇生に限定であり、それ以外の医療ケアは継続されます。また、DNARの意思は変更可能です。


OTC類似薬/OTC医薬品

よくある誤解や勘違い

「OTC類似薬の保険給付見直し」で、OTC医薬品がすべて保険の対象外になる。

OTC医薬品(Over The Counter:店頭で購入できる医薬品)は、処方箋なしで購入できる市販薬全般を指します。このうち、OTC類似薬という用語には公式の定義はありませんが、医療用医薬品として処方されるもので、OTC医薬品と成分や効能がほぼ同じ薬を指します。
現在、保険給付の見直し議論の対象となっているのはOTC類似薬の一部とされています。しかし、患者の自己負担増が懸念されており、複数の団体から反対の声が上がっています。

皮膚病のOTC類似薬イメージ


QOL(生活の質)

よくある誤解や勘違い

ただ長く生きること、快適な生活を送ること。

QOL (Quality of Life)は、治療や療養生活において、身体的、精神的、社会的、経済的状況などといった側面から見て、どれだけ満足のいく生活を送れているか評価する尺度です。
心の安定、人とのつながり、生きがいなども含まれ、それぞれの価値観によって内容は異なります。

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参考

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ndeco

ndeco
じんラボの中の人。
こどもの頃よく尿検査にひっかかって、腎臓が悪い疑いありってことで定期的に超音波検査を受けていましたが、転院したら「そーゆー体質なんだろう」と言われて通院終了。あれは寛解なんだか完治なんだか。
基本的にずっと健康。2018年7月1日より禁煙継続中。
デザイン屋さん、はにかみ屋さん、てれ屋さん。

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