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慢性腎臓病(CKD)と飲酒とカタカナ語と自分をアゲる方法と
2024.9.9
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今年(2024年)の2月に厚生労働省が「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」を公表しました。そして、あえてお酒を飲まない選択をする「ソバーキュリアス」という言葉も広がりつつあります。
そんな流れに呼応するかのように、大手メーカーなどはストロング系※と呼ばれるアルコール飲料から撤退するなど、市場縮小の動きがあるそうです。
※低価格で甘い口当たりの良い、アルコール度数が7〜9%のチューハイ。ストロング系の市場は2020年頃がピークで、一時期は販売金額で40%以上のシェアを占めていた。コストパフォーマンス良く酔えることから一定数のニーズがあるが、飲みやすさから適量を超えやすいことや、アルコール依存症になるリスクの高さなどを問題視する声もある。
あえてお酒を飲まない選択、ソバーキュリアス
ソバーキュリアスとは、ソバー(Sober:しらふ)とキュリアス(Curious:好奇心がある、興味がある)を組み合わせた造語です。略してソバキュリ、お酒に関してひとつでも疑問を感じたことがあるなら立派な「ソバキュリアン」だそうです。
健康志向、経済的不安、依存症問題、多様性、さまざまな背景から欧米のZ世代(1990年代後半から2000年代に生まれた世代)を中心に火が付き、世界に浸透しつつあるライフスタイルです。
ソバーキュリアスの生みの親ルビー・ウォリントンさんの『飲まない生き方 ソバーキュリアス Sober Curious』では、断酒のメリット(ソバキュリデビューを乗りきるモチベーション)を以下の通り挙げています。
- 睡眠のリズムが整い、ぐっすり眠れて疲れがとれる
- 胃の調子が良くなる
- 肌のトラブルが解消する
- 自信がみなぎる
- 生産性がアップする
- 不安が軽くなる
- 人生に希望、活力、ときめきを感じる
- 慢性病を抱えるリスクが大幅に減る
- 人助けがしたくなる
- お金がたまる
- 寝たくもない相手と寝ることがなくなる
せっかく(?)だから流行りに乗ってみよう
CKD診断ガイド2024の生活習慣指導では「節度ある適度な飲酒」としては純アルコールで1日あたり約20g未満、女性や65歳以上の高齢者ではより少ない量を推奨しています。ざっくりしていますね。
飲酒自体は腎臓をいじめませんが、過度な飲酒や常習飲酒は慢性腎臓病(CKD)だけではなく、高血圧、肥満、メタボリックシンドロームの原因となります。
もし減酒・断酒を検討しているのであれば、「減酒・断酒をするんだ」と考えるよりも、「ソバキュリアンになる」、流行りのスタイルを自分の生活に取り入れるんだ、と考え方の角度をちょっと変えてみると取り組みやすいかもしれません。
で、何が言いたいのかというと
ヴィーガン(完全菜食主義者)、ベジタリアン(菜食主義者)、マクロビアン(マクロビオティックを実践する)、サステナブル(持続可能を目指す概念)、オーガニック、ファスティング、ローフードなど、特定のライフスタイル(生活様式)やそれを実践する人を表すカタカナ語は多いですよね。今回紹介したソバーキュリアス、ソバキュリアンなどもその仲間だと言えるでしょう。
ミーはカタカナ語を多用されると「けっ」と思ってしまうタイプの比較的オールドスタイルなニンゲンですが、そんなシニカルなイデオロギーをキープし続けてもベネフィットはナッシングかもしれないなあ、と思い始めています(←せいいっぱいのカタカナ語)。
なぜなら、これらの特定のライフスタイルを表すカタカナ語を強引にセルフケア・セルフマネジメントなどに取り入れると面白いのでは、と思い始めたからです。
例を考えてみました。
お酒をひかえる場合
健康のために自己管理をする場合
このように、かっこよさげなカタカナ語をあえて使ってみることで、自分をアゲて楽しく暮らしてみるのはどうでしょうか。
以上、じんラボの中の人からの提案でした。
話を戻して、お酒をやめたい方におすすめの書籍
飲まない生き方 ソバーキュリアス Sober Curious
出版社:方丈社(2021/10/29)
ルビー・ウォリントン 著
永井 二菜 訳
定価:1,760円
SBN-10:490892578X
ISBN-13:978-4908925788
行動変容を促すタイプの翻訳本ならではの独特の読書感はありますが、長いことお酒と仲良しの(アルコール中毒ではありません)私にはあるある話も多く、4章の『スピリットをもってスプリッツを制す』などは「ダジャレやないかーい」と突っ込みどころがあったりと、比較的すいすい読めます。
お酒と自分の関係と、自分に合う飲み方を見直したい方におすすめです。
しらふで生きる 大酒飲みの決断
出版社:幻冬舎(2021/12/9)
町田康 著
定価:737円(文庫版)
ISBN-10 : 4344431464
ISBN-13 : 978-4344431461
パンクと詩にまみれた町田康(かつての町田町蔵)が断酒本? なんの冗談? 酩酊感と狂気と爆発が売りではなかったのか? と訝がりつつ読んでみたら、常に正気で(断酒前より)健康でいることによってあらゆることを覚えていて、それを冷静に突き詰める「狂気」は健在でした。
断酒している自分を受け止めていく過程の描写は、禁酒・断酒文学として楽しめます。
「そろそろ、お酒やめようかな」と思ったときに読む本
出版社:青春出版社(2020/12/8)
垣渕洋一 著
定価:1,540円
ISBN-10 : 4413231813
ISBN-13 : 978-4413231817
ライトな書名とさわやかな装丁からは想像しがたい、まあまあ怖い内容の本です。飲酒はしなければしない程良い、お酒はとにかく体に悪い、と畳み掛けてきます。完全に断酒したい方、アルコールの健康被害をしっかり学びたい方におすすめです。お酒を怖くなりたいのであれば、お酒とのラブリーな日々を描いた吾妻ひでおの『失踪日記』『失踪日記2 アル中病棟』もいいですね。
AUDIT(オーディット)で依存度をチェックしてみよう
AUDIT(オーディット)とは、1990年代初めに世界保健機関(WHO)が開発した飲酒量や飲酒習慣に関するスクリーニングテストです。
この記事をご覧の皆さんは、アルコール依存症を心配するほどではないと思いますが、お酒との関係を考える材料としてチェックしてみてはいかがでしょうか。
厚生労働省によると、日本のカットオフ値(正常とみなす範囲を決めるとき、その範囲を区切る値)は15点だそうです。わたしは7点でした。世界的には危険な飲酒のカットオフ値は8点だそうです。
大塚製薬の減酒.jp ではウェブページ上でチェックできるので便利ですよ。
e-ヘルスネット(厚生労働省)「AUDIT(おーでぃっと)」
― with Kidneyプロジェクト 開催中のアンケート ―
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