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理学療法士ゆうぼーの じんラボ運動療法講座【第20回】
大殿筋の働きと運動療法
2017.9.11
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今回からは、数回に渡り部位別の筋肉とその運動療法をご紹介します。
まずはオシリの筋肉についてです。オシリの筋肉は「殿筋」と称され、この殿筋には大殿筋・中殿筋・小殿筋が存在します。それぞれの場所や作用(働き)が異なるため、今回は「大殿筋」について説明します。
「大殿筋」とは?
大殿筋とは、股関節の後側にある下半身の中で最も大きな筋肉です(図1参照)。この筋肉は腸骨・仙骨・尾骨からはじまり、腸脛靭帯(ちょうけいじんたい)・大腿骨に停止しています。
図1:大殿筋
「大殿筋」の役割は?
主に股関節の伸展(股関節伸展)と外旋(股関節外旋)をする時に働きます。
股関節伸展とは足を後ろ側に上げる運動(図2参照)で、股関節外旋は足を外側に向ける運動(図3参照)です。
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
「大殿筋」が弱くなってしまうと?
歩く際に前に進む力が無くなってしまいます。
また立ち上がる時や階段を昇り降りする等の大きな運動でも大殿筋は働くため、この筋力が低下するとこうした動作がしづらい、あるいは出来なくなってしまうこともあります。
更に大殿筋の筋力が伸縮性を失ってしまうと、骨盤が後傾位に変形してしまうことがあります(図4参照)。骨盤後傾とは読んで字の如くですが、骨盤が後方へ傾くことで脊椎もまるくなってしまう変形のことです。
図4:骨盤前傾と骨盤後傾
この状態で中腰姿勢や屈む(かがむ)動作を行うと、骨盤が前に傾けない分背骨の下の部分である腰椎に負荷がかかってしまいます。
細かく説明すると、骨盤が後方に傾いている状態を腰椎の動きで補おうとして、本来前方に彎曲している腰椎(図5参照)が更に前方へ彎曲してしまいます。この動きによって、腰椎への負担が増え、腰痛を招くこともあります。


また、大殿筋の筋肉が無くなってしまうと、骨盤の最も下の部分である坐骨結節(図6参照)という骨の部分が表層にむき出しになってしまいます。このむき出しになった部分が、椅子やベッドの座面に直に接触することになるので痛みがでます。深刻化すると褥瘡(床ずれ)が発症する恐れもあるので、注意が必要です。
腰痛や褥瘡の予防のためにも大殿筋を鍛えておくことは不可欠です。 そこで大殿筋を鍛える方法を紹介します。
①片足を前にして、前方の足に体重をのせていきます。→ 5秒間程度、前側の足に体重をのせたら、後方の足に体重を移します。
これを左右5〜10回ずつ行います。
〈注意〉この運動は、自分の体重が片側の足にかかる負荷の強い運動なので、手すり等を支えに使って行うことをおススメします。
②四つ這いの姿勢になり、足を上げる運動を左右5〜10回ずつ行います。
〈注意〉負荷が強い場合は、肘を床について実施してください。
③仰向けになり、上写真のようにオシリを突き上げます。
→上げたまま、1〜2秒間止めて、ゆっくり戻します。
→ これを、10〜20回行います。
④③の運動に慣れてきたら、片足を上げたまま、オシリ上げを行いましょう。
〈注意〉これは負荷の強い運動になるので、5〜10回を目安に行ってください。運動は負荷が強ければ良い訳ではありません。自分に適した運動をしましょう。
まとめ
筋力が弱くなってしまうことで姿勢が悪くなったり、変形してしまうこともあれば、逆に姿勢が悪いことや変形していることによって筋力を発揮しづらくなることもあります。
また、悪い姿勢や変形から二次的に筋力低下が起こることもあります。
筋力が弱いからといって、がむしゃらに筋力のトレーニングをするのではなく、筋力が弱い・力が発揮しづらい根本的な原因を究明し、その上で個々に適した運動をしていきましょう。
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