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じんラボ質問箱 〜鈴木先生にきいてみよう〜【前編】
2019.2.4
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腎不全を患われた方の大多数が施設で血液透析を行っています。そのため「透析と言えば施設血液透析」という認識の方が多いことでしょう。しかし腎代替療法には、施設血液透析以外にも腹膜透析や在宅血液透析や腎臓移植など、体調や生活に合わせた選択肢があります。
知っているようで知らないこの腎代替療法について、2018年1月より疑問・質問を募集しました。その疑問・質問には、より多くの患者さんに理解を深めて欲しいとお考えの南青山内科クリニック鈴木孝子院長にご回答いただき、同年4月よりメールマガジン「所長通信」で連載しました。
大変好評だったこの企画を、前後編に分けてご紹介します。
質問1【透析歴1年程度、上半身に吹出物】
質問者:ken さん
施設血液透析を週3回5時間行っています。
透析を始めて1年ぐらいですが、上半身(後頭部、首、顎、胸あたり)に吹出物がよく出来るようになった気がします。これは透析と何か関係があるのでしょうか?
もしあるようでしたら、対処方法など教えてもらいたいです。
鈴木孝子院長からの回答
吹き出物の外形がどのようなものであるかで、いろいろなことが考えられます。
透析を始めてから処方された内服薬や、透析中の抗凝固剤を含む注射薬などのアレルギーが考えられます。または、その吹き出物の外形によっては脂肪腫かもしれません。透析を導入されたことによる生活の変化や、運動や栄養状態からも影響を受けているかもしれませんので、ご自分の生活の変化についても検討してみてください。原因が分かれば、適切な外用薬の処方も対処方法の1つになります。
質問2【辛い痒みの改善方法は?】
質問者:せつこ さん
痒みが辛いです。
特に透析中に痒くなると片腕は針を刺しているので動かせず、かなり辛くなります。どうしたら改善するでしょうか。
鈴木孝子院長からの回答
まず、透析前のリンの値が5〜6mg/dLの範囲であるか確認してください。そのうえで、副甲状腺ホルモンの値とカルシウムの値も適切であるか確認してください。適切でないようであれば、主治医にご相談ください。これらの値がすべて適切な場合は、「レミッチ®」という内服薬があります。主治医に処方してもらい、内服していただきたいです。
質問3【透析中に足がつった場合の対処方法は?】
質問者:うめちゃ さん
透析歴3年半を経過した68才の男性です。毎週月・水・金の夜間、4時間透析を自宅近くのクリニックで行なっています。おかげさまで会社の配慮により、透析日は仕事を早く切り上げて透析を受けています。
透析後半に足がつることがあります。
つった場合の対処方法として、ホットパックの使用、透析を終了する等がありますが、最適な方法をご教示ください。
鈴木孝子院長からの回答
まずは現在のドライウェイト(DW)が適切であるか確認してください。適切なドライウェイト(DW)とは、心胸比を考慮したうえで透析終了時でも気分不快や血圧低下がなく、無理のない体調で透析を終了できる体重です。
水分の増加が多く、時間当たりの除水(水分を引く量)が多いとつりやすくなります。
また、ドライウェイト(DW)がきつい設定であると、下肢のつりが起こりやすくなります。つった時は温めること、芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)という漢方薬や時には透析中のカルチコール静注が良く効きます。また、なるべく透析時間を長くすることをお勧めします。
質問4【手の爪が柔らかくなった】
質問者:ken さん
透析を始めて3年目に入ります。
手の親指、人差し指、中指の爪がスプーン状になり柔らかくなった気がします。原因はどこにあるのでしょうか。
鈴木孝子院長からの回答
透析治療で、リン値が高くならないように蛋白質を制限しすぎますと、蛋白質不足になります。おそらく蛋白質や鉄分不足により爪全体が柔らかく、スプーン状になってしまったと思われます。蛋白質も十分摂取して、十分な透析治療をして、栄養状態を改善しましょう。透析中に鉄の補給も可能ですので、主治医に相談してみてください。また爪切り方についても、爪の側面を切りすぎないようにしていただきたいです。
質問5【喉の渇きが強く、氷の食べ過ぎを止めたい】
質問者:ガリガリくん さん
塩分には気を付けているつもりなのですが喉の渇きが強く、あまり飲み過ぎてもいけないと思い氷をガリガリ食べています。妻からは「氷の食べ過ぎでは…」と心配されるのですがやめられません…。どうしたら止められるのでしょうか。
鈴木孝子院長からの回答
口渇感は、やはり塩分摂取が多い可能性があるので、飲み物や食事での塩分量を見直してみましょう。さらにご自分の最も良い血圧と体調が保たれている時の心胸比を知り、その上でご自分のドライウェイト(DW)を知っておきましょう。心胸比や血圧の低下からドライウェイトがきつい時には主治医と相談し、適切な値にしていただくことをお勧めします。
質問6【カリウム値の変化の理由は?】
質問者:もぐもぐ さん
私は透析を始めて33年(CAPD(連続携行式腹膜透析)7年)になります。
15年前に潰瘍性大腸炎のため大腸を全摘し、ストーマを増設しました。その頃からカリウムがほとんど上がらなくなり、何も制限しないまま普通に果物や生野菜を食べています。大腸がないので、2日空きでも体重の増えはいつも1㎏以内です。ところが先月あたりから急にカリウムが6Eq/Lを超えるようになりました。カリウム値の変化の理由がわかりません。主治医も泌尿器科専門なので説明できないとのこと。今後の食生活をどうしたらいいのか戸惑っています。
鈴木孝子院長からの回答
栄養の吸収は主に小腸が行います。カリウムが上昇しなかったときには、下痢の症状があったのではないでしょうか? 先月から便の状況が下痢から普通便になり、小腸からカリウムの吸収が進んで、血中濃度が上昇したのではないかと推測されます。
もし便の形態の変化がない場合でも、小腸の状態が良好になったことで、食べ物の栄養吸収が良くなったと思われます。体重の増加があったのではないかと思われますが、いかがでしょうか?カリウムに対しては、カリウムを下げる薬を内服し、適切なカリウム値を保つよう心がけてください。
後半もお楽しみに!
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