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透析予防の腎臓内科医の記録【前編】
〜腎臓病で気をつけるべき食事のこと
2020.3.2
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腎臓病で悩みが多いのは食事に関することです。 塩分、蛋白質、野菜・果物の制限など、何かと気をつけることが多い腎臓の食事療法について今回は触れようと思います。
失った腎臓の機能を元に戻すことは難しいのですが、正しい食事療法を行うことで病気の進行を抑えることは可能です。
腎臓病が重症化すると、週3日、1回4時間程度の透析が必要になります。身体だけでなく、精神的、社会的に負担になるので、なるべく先送りにできると良いと思います。
塩分
塩分を減らすことで腎臓の障害を抑えます。具体的には1日6g以下にすると良いと考えられています。
日本人は塩分好きの国民であり、平均的には1日10g〜11gぐらいの塩分を摂っています。さらに腎臓病だと味覚が鈍感になるので、平均以上に塩分を摂っている可能性があります。
塩分を減らすと血圧が下がります。血圧を下げることは腎臓病の治療で最も大切な治療の内の1つです。
塩分を減らすコツは、ダシを使ったり酢や香辛料を使うことです。単純に味を薄くするだけだとなかなか長続きしないのでこのような工夫が必要です。塩分を減らすコツは、管理栄養士に1度相談してみると良いでしょう。
蛋白質
蛋白質を減らすと、腎臓にかかる圧力や尿毒素が減ることで腎臓を守る効果が期待されます。
蛋白質を減らす際の注意点は、蛋白質を減らした分だけ脂質や炭水化物で適宜カロリーを補い、合計のカロリーを減らさないようにすることです。ご高齢の方が過剰に蛋白質を減すと、筋肉が衰え活動が低下する状態の「フレイル」を引き起こすことがあり問題視されています。管理栄養士や主治医と相談しながらコントロールするのが望ましいです。
野菜・果物
腎臓が悪くなると、野菜や果物などに含まれるカリウムというミネラルが体に溜まりやすくなります。溜まったカリウムが心臓の脈の乱れを生み、最悪は死に至るような病気になることもあります。
定期的な採血でカリウムの値をみて、必要であれば野菜・果物を制限します。
腎臓病でも初期の場合は野菜・果物を制限する必要がないこともあるので、主治医と相談すると良いでしょう。
リン
腎臓病ではリンというミネラルも体に溜まりやすくなります。リンが溜まると動脈硬化が進み、心臓の病気や脳の病気になりやすくなります。
リンは乳製品や肉などを多く含まれています。また添加物に多く含まれており、ソーセージ・ハムなどの加工食品にも多く含まれています。特に添加物に含まれるリンは腸で吸収されやすく、身体に溜まりやすいのが特徴です。
カルシウム
腎臓は骨を作るビタミンの作用に関わっており、腎臓病になるとカルシウムの値が下がります。すると、副甲状腺という臓器から出るホルモンが骨を溶かしてカルシウムを補おうとします。そのため骨がもろくなったり、動脈硬化が強くなったりします。
カルシウムは高すぎても、低すぎても良くないです。定期的に採血をしてチェックすると良いでしょう。
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