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エピソードからの学び

【第2話】大切な家族

2017.6.26

文:松岡由美子

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初夏の候、皆様お変わりなくお過ごしでしょうか。上野不忍池は、蓮の芽生えの時期を迎えています。7月中旬頃には大きなピンクの花を咲かせることでしょう。上野の山や弁天堂を背景に、たくさんの蓮の花が咲いている光景はとても幻想的で素敵です。お時間がありましたら是非いらしてみてください。早朝に開花し、午後には閉じてしまうので午前中が良いようです。

皆さんは毎月血液検査を受けていると思いますが、その結果をご家族にお伝えしているでしょうか。
血液検査は尿毒症や貧血、合併症や感染症などのほか、透析効率の評価、薬物療法や食事療法が上手くいっているかを知るために行われています。


随分前のことになりますが、普段からカリウムの値が高く毎回透析時に食事管理の説明を行っていた患者さん(Aさん)がいました。カリメート®が処方されていましたが「飲まなくても大丈夫だ」と服用していませんでした。

ある朝、いつものように奥様と食後のお茶を飲んでいたら急に動悸と不整脈が起こり、意識を失って倒れました。病院に運ばれ一命は取り留めましたが、かなり危険な状態だったそうです。奥様は「主人は透析を受けるようになってからは元気になり、仕事も復帰し前と同じような生活ができるようになりました。本人からは検査の結果も良いし、すべて良好だと聞いていました。いつもカリウムが高いと知っていたら、もっと食事に気を付けたのに」と自分の食事管理が不十分だったと悔やまれていました。
以前からAさんには、食事療法は調理者である奥様の協力が必要とご説明し、奥様とお話がしたいとお願いしていましたが「自分から話すので連絡しなくても大丈夫だ」と、直接連絡を取ることができないでいました。もし直接連絡が取れていたら、奥様にこんな思いをさせずにすんだかもしれないと私も悔やみました。


皆さんはご家族に「体のことでこれ以上心配をかけたくない」「食事療法で調理の負担をかけたくない」と思い、何か問題が起こってもご家族に伝えない、といったことはありませんか?
もし私が家族だったら、今の病状や治療の状況、検査結果などは良くても悪くても知らせて欲しいと思います。施設や医師、スタッフに不満がないか、などもです。それによって不安や負担が生じても、いつまでも元気でいて欲しいからこそ、分かっていたいと思います。
「家族に心配をかけたくないから伝えない」との配慮は、かえってご家族を悲しませる結果になってしまうこともあります。皆さんが思うようにご家族も皆さんのことを大切に思っていることでしょう。掛け替えのない大切な存在ですから。


血液検査の度に皆さんは、カリウムは高くないか、リンは高くないか、などと心配されているのではないでしょうか。管理目標値内であれば一安心ですが、高ければ一生懸命に自己管理しているのになぜ上手くいかないのか、何がいけなかったのかと一人で悩んでいませんか?

カリウムやリンの値は、透析療法や薬物療法にも影響されます。
シャントの状態が悪くて脱血不良だったり、血圧低下などで透析を途中で終了してしまったりすると透析効率が悪くなり、透析後の値がいつもより下がっていないことがあります。透析後の値がいつものように下がっていなければ、いつもと同じように注意して食事を摂っていてもカリウムやリンの値は高くなってします。
また、リン吸着薬の減量や種類の変更、活性型ビタミンD製剤の増量や種類の変更でリンの値が高くなることがあります。
いつもと同じように気を付けて食事をしているのに、きちんと薬を飲んでいるのに検査値が高くなってしまった時は、皆さんの管理が原因でないこともあります。一人で考えずにスタッフに相談してみてください。

またご家族の方は、どうか通院されている透析施設に連絡を取って、今の病状や治療方針、何に注意したほうが良いのか、透析室での様子など色々聞いてみてください。ご家族が今の状況を分かっていた方がご本人の負担は軽くなり、今よりも良い状態になると思います。

次回は「生活と透析」です。

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松岡由美子

松岡由美子
上野透析クリニックで看護師をしています。
患者さんとお話する機会が少ない手術室から、存分にお話ができる透析室に移動し28年が過ぎました。皆さんから怒られ、教えられ、支えられたお陰で今も続けることが出来ています。これからも皆さんと透析室で幸せの種をまき合い、一緒に良い時間を過ごしていきたいと思っています。

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