2396

hako

with Kidney プロジェクト

[ 新規会員登録(無料)] または [ ログイン ]

腎臓病(慢性腎臓病:CKD)・透析と正しく向き合い、知って、共感して、支え合って、自立する。
基礎知識やQ&Aコミュニティ、透析管理ツールやサポート情報など、元気に生活するためのすべてがここに。

新規会員登録(無料)

4つのステージ〜笑顔と涙と闘いと〜

【第1話】暗闇の下り階段

2013.5.7

文:はこ

緑の文字の用語をクリックすると用語解説ページに移動するよ。

じんラボ をフォローして最新情報をチェック!

「次からは腎臓の専門の先生に診てもらったほうがいいと思います。この先、週3回もこちらまで通うのは大変でしょうからお近くの先生を紹介しますので。」

私の思いとは裏腹に、主治医はもう透析を視野に入れていました。

この言葉を聞いてからもう15年近く経つような気がします。蛋白尿を指摘され、食事指導を勧められたのに受け入れずに過ごしていたつけがとうとう来てしまった…私は見捨てられたんだ、という寂しさをひしひしと感じながら、通いなれた病院を後にしました。

腎機能が悪くなって透析になることはⅠ型糖尿病の私にとってダブルの衝撃でした。ひとつは透析になること、それ自体の強烈な絶望的なショック。もうひとつは糖尿病患者としてのこれ以上ない敗北感…コントロールが良好な人はたくさんいるのに「自分のせいで」こんなことになって「しまった」最大級の自己嫌悪。

「あの時、先生の言うとおりにしていたら…」「あの時、血糖値や食事にもっと気を使っていれば…」こうなってからでは遅すぎる、たらればの後悔ばかりが頭の中をぐるぐるしていました。

体調はどんどん悪くなっていき、朝起きて鏡の中にいるのは浮腫みきった別人の自分。夜になれば自分の脚は象のよう。起きていても横になっても息が苦しくてたまらない。どこまで地獄への階段は続くのか、夢も希望もない日々の繰り返し。

診察室で笑った記憶はなく、必ず涙で顔がくしゃくしゃ。

そんな日がどれくらい続いたのか、覚えていません。そしてある日の診察で先生はこう言いました。

「これまでよく頑張って来られましたね。」いたわりの言葉にただ涙、涙、涙…とうとう、透析を導入することになったのです。

次の はなし▶

この記事はどうでしたか?


  • 記事のクリップ機能を使うには会員登録が必要です
はこ

はこ
治らない病気の存在をまだ知らなかった10歳でIDDMを発症し、30年近く経って透析を導入しました。ひそかにインスリン50年賞を狙っていたのですが、ある日突然膵腎同時移植の順番が…11年の透析生活では透析条件でかなり苦悩しましたが、人に恵まれてなんとか過ごすことができました。
今は移植した臓器と末永く歩いて行けるように頑張っています。

    こんな体験談が読みたい、私も体験談を書きたいなど、「研究員のはなし」にご意見をお寄せください!

    ご意見をお寄せください

    PR

    透析ライフガイドブック「患者がつくった透析のほん」

    →透析ライフガイドブック「患者がつくった透析のほん」 とは

    この"ほん"をご希望の方

    以下のボタンから申込フォームにお進みください。
    【New!】個人の方向けにkindle(電子書籍)版をご用意しました。
    冊子版をご希望の方はかかりつけの医療施設にお問合せください。


    申込フォームに移動します


    Amazonに移動します

    この"ほん"を手にされた方

    ご感想やご要望をお寄せください!!
    続編の希望などもあれば教えてください。

    じんラボを応援してください!