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知っトク? こんな事〜患者・家族のお役立ち情報【第1回】
腎不全患者の災害対策とは
2014.10.17
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再び連載を書くことになりましたアスペクト比Pです。今回からは患者さんやそのご家族にとって有意義な情報などを紹介したいと思います。よろしくお願いたします。
日本はご存知のように非常に災害の多い国です。地震・台風などの大きな自然災害だけでなく、最近ではゲリラ豪雨などの今までの経験では考えられないような災害も増えてきました。実際に私の住む中国地方でも豪雨による土砂災害などで大きな被害が出ています。私達腎不全患者は生活をおくる上でさまざまな制約があります。それは災害発生時でも命にかかわることですからおろそかには出来ません。そこで今回は災害対策と実際に災害が発生した時の心構えなどを、患者会の資料などから抜粋して紹介します。
災害対策 事前の準備編
「災害に備えて事前に準備出来るもの」と言ってもなかなか思いつかないものです。一般的な災害対策の本やマニュアルを参照するのも有意義ですが、腎不全患者さんの場合は、人工透析や腹膜透析などの必ず受けなければならない生命に関わる治療への備えも必要です。全腎協が東日本大震災後にまとめた資料などによると以下のようなものがあると良いようです。
- 処方箋・保険証・身体障害者手帳のコピー(特に薬の情報は重要!)
- 予備の薬(インスリンなど定期的に使うもの)
- 清潔なタオルや着替え
- 災害用保存食(避難所で出される食事はリン・カリウムが高い事が多い)
- 厚底のブーツや長靴(足の怪我からの破傷風防止)
また、災害時には携帯電話や固定電話などが繋がりにくくなるということもあります。
NTTの災害用伝言ダイヤル171や各携帯電話会社が用意している携帯電話用の災害伝言サービスなどの使用方法を日頃から家族みんなで確認しておくのがよいでしょう。
※基礎知識「平常時の心得(災害時の対応)」もご覧ください。
腹膜透析や在宅血液透析を行っておられる患者さんなどは、災害発生時に備えて必要な薬剤や透析液などを、自宅の頑丈な場所や床上浸水しないような場所に日頃から置いておくと安心ですね。最近ではポケットサイズの災害対策グッズなどもありますし、通販サイトや量販店などにも災害発生時に便利なグッズも販売されています。意外なようですが全腎協も患者目線で必要だと思われるものを集めた避難袋の販売をしています。
災害発生! どう動く?
さて、準備が出来たとしても災害が発生した時にどう動くか? ここが問題ですね。実際の話、偉そうなことを書いている私でもいざ災害に遭遇すればパニックに陥ってしまうのではないかと思います。災害発生は地球のご機嫌次第ですので、いつどのように起こるかはわかりません。
東日本大震災の際、石巻赤十字病院などの地域医療の基幹となる病院には、近隣で被災した透析クリニックなどからの患者さんが透析や薬を求めて殺到しました。しかし、着の身着のままでようやくたどり着いたけれども、自分の透析条件や処方されている薬が分からないという問題があったそうです。日頃から自分の透析条件、処方薬の情報を身につけておくことの重要性が日本透析医学会の東日本大震災報告書などに報告されています。
また、避難所で出される食事の多くは「おにぎり」「カップ麺」「バナナ」といった高カリウムの食べ物や喉の乾くものなど、腎不全患者にとって食事制限との兼ね合いが難しい食事が多かったそうです。低蛋白食品や高カリウム血症改善剤などを保管しておくとよいかもしれません。
実際に「多くの皆さんが被災されているのに自分だけがわがままを言うわけには…。」という思いから支援の申し出を行わず、病気の症状が悪化してしまったという事例も数多く報告されています。ですが災害時だからこそ、自分のため、家族のためにも名乗り出る勇気を持つことは大切なことではないでしょうか? 実例としては段ボールに「私は透析患者です」と大きく書いて、避難所から自衛隊のヘリコプターで搬送され無事に透析を受けられたという事もあります。事前に家族みんなで災害時はどこへ避難するのか、近隣の親戚宅の近くにある病院の場所などを確認し、もしもの時に備えた話し合いを行うのも大切ですね。
参考
- 『透析患者さんのための日常生活と災害時の心得』中外製薬
- 石巻赤十字病院+由井りょう子(2011)『石巻赤十字病院の100日間』小学館
- 辰濃哲郎&医薬経済編集部(2011)『ドキュメント・東日本大震災「脇役」たちがつないだ震災医療』医療経済社
- ぜんじんきょう No245(2011年5月20日発行)全腎協
- ぜんじんきょう No265(2014年9月06日発行)全腎協
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