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糖尿病性腎症は超ハイリスク! 足を守ろう!
〜足の血管再生治療【後編】
2019.6.24
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足を守ろう! 〜足の血管再生治療【前編】では、末梢動脈疾患(PAD)の症状や検査方法について触れました。後編では治療法についてご紹介します。
現在の標準的な治療
薬物療法
末梢動脈疾患(PAD)は下肢に機能障害が起こる疾患としてだけでなく、全身の動脈硬化性疾患と捉える必要があるため、まずバランスの取れた食事や適度な運動を心がけ、動脈硬化の主な原因である喫煙、高血圧や糖尿病、脂質異常症などのコントロールをします。
それでも改善されない場合は、血液をさらさらにする抗血小板薬や血管を広げる血管拡張薬の内服や注射で、より血液の流れを良くします。これらの薬物療法は最も基本的な治療法で、足の症状を改善しつつ心臓や脳の血流もよくする作用があります。
運動療法
医師の指導のもと歩行や軽いジョギングなどの運動をすることにより、側副血行路(そくふくけっこうろ:詰まりつつある血管を補うよう自然に発達してくる別の血流路)を発達させ、足への血流を改善させる治療法です。保健適応が認められています。
血管内治療
血管内治療は、カテーテルによって血管の中で直接行われる治療です。狭くなったり詰まったりした血管を拡げ血流を改善させます。カテーテルによる治療は傷口も小さく、外科的手術に比べて体への負担は少なくて済みます。
1)バルーン血管形成術
風船の付いた細い管(バルーンカテーテル)を下肢の付け根から挿入し、風船を膨らませることで血管を拡げ、血液の流れを改善・維持させます。
2)ステント留置術
ステントと呼ばれる金属メッシュの管を血管に挿入して固定することで血管が狭くなるのを防ぎ、血流を改善・維持させます。
外科的バイパス手術
詰まった血管を迂回するため、人工血管や自分の静脈を使って血管をつなぎあわせて新しい血液の道(バイパス)を作り、血液の流れを保つ手術を行います。
狭くなったり詰まったりした動脈の先に血液が流れるように、人工血管や患者さん自身の血管を用いて詰まった場所を迂回する別の道(バイパス)を作ります。
血管再生治療
末梢動脈疾患(PAD)の治療法は目覚ましい進歩を遂げています。しかし既存の治療法では十分な効果が得られず、下肢切断をしなければならない重症患者もいます。このような重症下肢虚血患者に対しては第3の治療法として血管再生治療が検討されています。血管内に血管増殖因子を発現させ新しい血管を作る遺伝子治療、血管新生因子蛋白を直接投与する方法、血管内皮前駆細胞を患部に注射して新しい血管を作る細胞治療などが主に試みられています。
これらの治療の血管再生の効果で血行が改善されることにより、重症下肢虚血の症状の改善につながる可能性があります。
足を守るために
足の傷が治りにくい、ただれている、腐って黒く変色している(潰瘍、壊疽、組織欠損)状態になり、内科的治療や外科的治療を行なっても改善されない場合は、救命のため足を切断しなければなりません。しかし切断後のQOL(生活の質)低下は想像にたやすいですね。
腎不全患者はそもそもハイリスクです。腎不全に加えて以下に該当する方は特に留意が必要です。足の痛みが取れない、いつまでも傷が治らない等、些細だと思われる異常でも放置せず、主治医に伝え専門の診療科を受診し、早期の適切な治療と管理で下肢切断の回避をしましょう。
治療の選択も、あなたの「人生の選択」です
もし重症下肢虚血と診断された場合は、いかに早く適した治療を始められるかがポイントです。これまでの治療に加えて、新しい治療法として血管再生治療が検討され、注目を集め始めています。いくつかある選択肢の中からどの治療法を選択するかも、あなたの「人生の選択」です。
それぞれの治療のリスクも理解し、最終的には自分で納得した選択をすることがとても大切です。
繰り返しになりますが、日々の観察による自己管理が何より大切なことを改めて理解し、実践しましょう。
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参考サイト
- 科研製薬株式会社「“足”の動脈硬化 閉塞性動脈硬化症情報サイト」 (2019/5 アクセス)
- 一般社団法人 日本循環器学会「末梢閉塞性動脈疾患の治療ガイドライン(2015 年改訂版)」 (2019/5 アクセス)
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