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【第29回】
足の先から健康チェック! フットケア
2017.11.13
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秋も深くなり、あちこちの山や峡谷では紅葉の便りが届き始めてきました。私の住む街でもあちこちの街路樹が模様替えをして、秋から冬への準備を急いでいるようです。この時期はお散歩にはいい季節ですから、多くの方が散策やピクニックを楽しまれているかもしれません。私は日頃の運動不足のせいか、たくさん歩くと筋肉痛で夜中に悲鳴を上げることになるという体力の無さにため息が出てしまいます。
「歩く」ことは人類が類人猿からホモ・サピエンスへと進化するきっかけになったという説もありますし、それを支える「足」は私たちにとって大事なものです。今回はそんな足のチェックのお話です。
2〜3年前から、一部の透析室の日頃の風景に足指のチェックと爪切りが加わりました。糖尿病性腎症等の合併症は早期発見・早期治療が重要であるということで、前回2016年の診療報酬改定時に透析患者さんの下肢に対する指導管理加算「下肢末梢動脈疾患指導管理加算(下肢救済加算)」が新設され、さらにフットケアが注目されています。
ご存じの方も多いと思いますが、現在新規導入される透析患者の半数近くが糖尿病性腎症によるもので、この病気の怖いところは下肢虚血が進行し、手遅れになると足の切断となり歩行が困難になることです。
このような「足病」の悪化を防ぎ、自分の足で歩く生活を維持していくことはADL(日常生活動作)維持の面でも大変重要です。そのためそれぞれ透析施設では看護師を中心としたフットケアチームを結成したり、フットケア専用のカルテを作成して悪化防止のチェックを定期的に行ったり、足の傷を確認し歩きやすいように足の爪を切るなどの処置を行っています。
私の通う透析施設でも、外来患者と入院患者ともに分け隔てなく足指のチェックをして、怪しい場合は血管障害等で閉塞している部分がないか足の血流検査やエコー検査を行います。さらに毎回の透析時に傷口の処理や消毒・洗浄をチーム医療として行っています。この取り組みが功を奏して多くの方の傷や血行障害を見つけることができ、手遅れになる前に連携先の病院で処置が行えるようになってきました。
では、私たち透析患者が足病の悪化防止のために日頃からできることはなんでしょうか?
まずは「足の爪を切りすぎない!」こと。これは傷口を自分で作っているのと同じことですから、爪切りを深く入れて切断するのをやめて、爪やすりなどで先端を丸く整えると見栄えも良くなります。
ただし高齢になると自分の足の爪を切るのは思いのほかしんどいので、無理はせずご家族や病院にお願いして切ってもらうほうが安全です。
次の予防策としては、喫煙されている方は禁煙をした方が良いと思います。下肢の血行障害を悪化させる要因の1つに喫煙が含まれていますので、いきなりの禁煙は無理でも1本ずつ減らしていくなどの努力はご自身の将来のためにお勧めします。
この他にもさまざまな方法がありますが、まずは通われている透析施設で「フットケアってどんなことをするの?」と聞いてみてください。熱心な医療者は専門の資格を取っているぐらいに、看護や医療でも「足を守る」ということの重要性は広がっています。
これからの長い透析人生を安全で楽しく過ごしていくために、なによりも自分の足を守るためには、病院にただ任せているだけではいけません。私たち患者も今日から出来ることを始めましょう。
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