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慢性腎臓病(CKD)と飲酒

2013.4.1

文:りんご

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年末年始から卒業・入学、お花見等これから宴会目白押しなシーズンですが、慢性腎臓病(CKD)患者さんから飲酒について「飲んではいけないのではないか?」「アルコール摂取は不安がある」という意見がちらほら聞かれます。初回から飲酒の話でビックリされる方もいらっしゃるかと思いますが、楽しみを減らしたくないという思いからこの話題からお話しさせていただきます。どうぞお付き合いください。

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CKDの食事療法において飲酒は決して禁忌ではありません(勿論、アルコールが禁忌である他疾患を合併している場合や適切な量を守られない場合は除きます)。 アルコール摂取時に注意すべき点は3点です。

一つ目はアルコールを飲水量として換算することです。水分制限のある方がほとんどであるかと思いますが、何杯飲んだかわからなくなってしまうのは問題です。飲酒量の上限を最初から決めて飲むようにしましょう。

二つ目はエネルギー・蛋白摂取量に気を付けるということです。例えば私が良く飲むビールの成分では350mlあたり141kcalで蛋白質は1.1gです。お酒の種類によってエネルギー量や蛋白質量はことなりますが、これらもきちんとカウントして摂取量の上限を決めましょう。

三つ目は飲酒に伴う食欲増進作用によりご飯やおつまみを食べ過ぎてしまうことです。これはいわずもがな、蛋白質や塩分の摂取過剰になりかねません。

こんなに細かく書いていると「めんどうくさい。結局、今まで通りに楽しく飲めないんじゃないか?」という疑問が飛んできそうですが、最初に気を付けて飲むようにして、血液透析時の血液検査の結果をみて除水量の変化や電解質バランスの崩れがないか、もしあれば医師や看護師に食事についてアドバイスをもらい、「あのときのおつまみを半分にしておけばよかったかな?」などと改善点を見出していけばOKです。最初から完璧に管理するのは難しいので調整しながら自分の適量を見つけていってください。

かくいうわたくしも(そして所長も)、お酒は好きで、何よりもお酒の席でみんなで楽しくワイワイするのが大好きです。それが頑張ろうっていう原動力になりますので、同じようにお酒と宴を愛するCKD患者さんにも楽しみを続けていただくために是非以上三点の「一手間」をお願いしたいと思います。

参考:主なアルコールの成分

エネルギー 蛋白質 カリウム リン 水分
日本酒(清酒・純米酒) 1合 180g 185kcal 0.7g 9mg 16mg 150.7g
日本酒(清酒・吟醸酒) 1合 180g 187kcal 0.5g 13mg 13mg 150.5g
ビール(淡色) 350ml缶 353g 141kcal 1.1g 120mg 53mg 327.6g
ビール(黒) 350ml缶 354g 163kcal 1.4g 195mg 117mg 324.3g
発泡酒 350ml缶 353g 159kcal 0.4g 46mg 28mg 324.8g
ワイン(白) グラス1杯 110g 80kcal 0.1g 66mg 13mg 97.5g
ワイン(赤) グラス1杯 110g 80kcal 0.2g 121mg 14mg 97.6g
焼酎(甲類) 1合 172g 354kcal 0g 0mg 0mg 122.1g
焼酎(乙類) 1合 175g 256kcal 0g 0mg 0mg 139.1g
ウイスキー シングル1杯 29g 69kcal 0g 0mg 0mg 19.3g
ブランデー シングル1杯 29g 69kcal 0g 0mg 0mg 19.3g
紹興酒 小グラス1杯 50g 64kcal 0.9g 28mg 19mg 39.4g
出典:腎臓病の人のための早わかり食品成分表—知りたいことがすぐわかり、食事療法にすぐに役立つ (主婦の友ベストBOOKS)

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りんご

りんご
大学病院→中規模地域中核病院を経て現在透析看護に本格的に携わることを夢見て奔走中。趣味はマラソンと俳句とアート鑑賞。
所長との出会いから腎臓疾患には何かと御縁があり、看護を続けるなら「腎」だなと感じるようになりました。
人とのつながりを大切にし、疾患とともに歩む患者さんの透析ライフを応援したいと考えています。
まだまだ勉強中の身ですが、どうぞよろしくお願いいたします。

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