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オレゴンの透析クリニックを訪ねて
2013.5.9
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日本人にオレゴン富士と親しまれるMt Hoodを展望できる小さな街、Greshamの透析施設の見学へ行って参りました。
Gresham Dialysis Center
2000年設立
患者数:73人
ベッド(椅子)数:12床
20%の看護士と80%の技師が患者の直接ケアにあたっています。
※通常どこの施設も看護士の割合が少ないそうです。
Fresenius 2008K
施設では機械はこの一種類のみで、全米のほとんどの施設がこの種のみ使われています。
平均透析時間:3時間半から4時間
「4時間未満の人がほとんどよね」との事。2人だけ5時間の方々がいて、理由を尋ねるとびっくりするくらいの巨漢だそうです。
4時間未満というのも、医療保険の適応が週3回の4時間が基本です。
USA TODAY の新聞記事には、"one-size-fits-all" treatment とありました。個々にあったケアができていないのが現状です。
透析導入時は、ほとんどがカテーテル(Central Venous Catheter)を使用。その後はグラフト(Graft) を作成、シャント(AV fistula)の患者さんの割合が大変低いです。透析時間が短いのに引き続き、感染症のリスクが高くなり、必然と他の国に比べて死亡率が高い結果になっています。シャントの患者が徐々に増えているという結果報告もあるのですが、施設見学、私自身働く病院での透析患者を観察してもシャント数は圧倒的に少ないです。シャントの手術をできる医者が少ないのが現実です。
血液検査は月に1度。透析前後の検査は行われておりません。クリニックには、血液検査機器がないので、検査結果を当日に患者自身が確認することはできません。
透析施設の質比較指標
透析室の紹介で、どこの透析室も掲げているのが、透析施設の質比較指標です。
★施設の5つ星が決定されます★
- ヘマトクリット値が33%もしくはそれ以上の比率。
- URR〈urea reduction ratio〉(尿素除去率)65%以上である患者の比率
- 患者生存率
※アメリカでの死亡率は、日本に比べ3倍強です。
栄養管理
栄養管理ですが、月に一度栄養士の方が指導をしてくださいます。主に塩分とリンを指導しています。その他にWalgreens, RITE AID といった大手の薬局があり、店頭又はオンラインでも透析患者にあった栄養素を含んだドリンク(Nepro)が販売されています。
クリニックの通院患者は自家用車での通院は一人もいません。透析患者に限らず、患者を送迎してくれるシステムが豊富にあります。
多民族国家・アメリカでの透析は通訳が充実しており、リクエストする事が可能です。言葉の面では不便さを感じる事はないかもしれません。※小さな街Greshamでも同様です。
Dialysis Patient Citizens(DPC)という、透析患者、透析導入前、その家族で構成されている団体があり、生活の質の向上に努めています。ある患者さんは透析導入時に抱えていた無力感が、この団体を通し、その学びの中で自分自身のケアだけでなく、他の人をもケアする心へと成長し、抱えていた無力感を感じる事なく生活しています。患者さんの声を聴いていると、言葉・習慣は違っても求めているものは同じだと共感している私自身でした。
Gresham Dialysis Center の訪問後、きれいな川と空気に包まれての帰路でした。透析後の疲れた身体を自然が癒してくれるといいなと思いながら家路に着きました。
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