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腎臓病・透析をしている方が夏に気を付けたい冷房病とは

2022.8.22

文:s.yuri

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2022年も全国各地で最高気温が35℃以上を記録する厳しい暑さが続いています。
腎臓病・透析をしている方は体温調節能力の低下や水分・塩分制限などが原因で熱中症に陥りやすいことから、じんラボでも複数回注意喚起してきましたが、今回は夏場にもう一つ注意していただきたい「冷房病(クーラー病)」について取り上げます。
熱中症予防にエアコンは欠かせませんが、冷房にあたって頭痛やだるさなどの症状が出たことはありませんか? 体温を調節する機能がうまく働きにくい慢性腎臓病(CKD:chronic kidney disease、以下 CKD)の方で思い当たる場合は、冷房病に注意していただきたいのです。


冷房病とは?

冷房病とは、冷房による体の冷えや、冷房が効いた室内と暑い屋外をひんぱんに行き来したりすることによって引き起こされる体の不調の俗称です。主な症状には、頭痛や吐き気、食欲不振、疲労感、下痢、神経痛、肩こり、腰やひざの痛みなどがあります。

人の体は、暑くなると汗をかいて体温を下げ、反対に寒いときは血管を収縮させて体温が下がるのを防ぐ、自律神経の働きによる「体温調節機能」が備わっています。
しかし、その調整機能が対応できる温度変化は「5℃以内」といわれています。そのため、冷房が効いた室内(25~28℃)から5℃以上暑い屋外を行き来すると、 急激な気温差 に自律神経が乱れてしまい、涼しくても血管が収縮しづらくなり体の熱が必要以上に逃げてしまうのです。この結果、さまざまな不調が現れやすくなります。


CKDの方はなぜ冷房病に注意したほうがいいの?

CKDの方は尿毒素の影響で自律神経が障害を受けやすく、体温調節機能が低下しています。 特に年配の方の場合は加齢によって体温調節機能が低下するほか、筋肉量が少ないため熱を生み出しづらく、体が冷えやすくなります。

透析を受けている方の場合、透析室は業務で動き回る医療者に合わせた温度設定になっていることが多く、場所によってはエアコンの効きが強い場合もあるため、より冷房による体調不良に注意が必要です。


冷房病への5つの対策

エアコンなしでは熱中症を引き起こすリスクが高まるのでうまく活用し、日常生活でのさまざまな工夫で上手に夏を乗り切りましょう。
冷房病への主な対策には以下の5つが挙げられます。


エアコンの温度や風向きなどを調節する

外気温との差が大きくなりすぎないよう、エアコンの設定温度は25~28℃に設定しましょう。「寒い」と感じない温度にすることが大切です。ただし、暑いと感じているのに無理をして設定温度を上げたままだと、熱中症になる恐れがあるため無理は禁物です。
吹き出し口に近いほど温度は低くなるので、エアコンのすぐ近くにい続けるのは避けましょう。また、冷房の風が体に直接当たり続けるとより体が冷えてしまうため、エアコンの風向き設定を変更しましょう。

体感温度には湿度も大きく関係しており、温度が同じでも湿度を下げると涼しく快適に感じます。エアコンの除湿モードをうまく使って暑さ対策を行いましょう。


肌を露出する服装は控えて羽織物などをうまく活用する

透析室や会社のようにエアコンの調節が難しい場面では、以下のようなすぐ羽織れるものや暖をとれるものを用意して、ご自身で寒さ対策を行うことが重要です。

  • 薄手のカーディガン
  • ひざ掛けやタオルケット
  • 靴下やレッグウォーマー
  • 腹巻
  • ネックウォーマーやスカーフ(タオルでの代用も可)
  • アームウォーマー
  • カイロ

体を冷やす食材や飲み物は避ける

夏場は喉越しがよく冷たい食べ物や飲み物が欲しくなりますが、エアコンで体が冷えている上に冷たいものばかり摂ると、さらに冷えを助長させます。冷たいものばかり摂るのは避け、温かいものや常温のものも意識的に摂りましょう。


適度に体を動かす

体を動かすことで血行が促進され、体が温まりやすくなります。また、筋肉は人体で最も熱を生み出す器官です。体を動かすとエネルギーを消費して熱が作られます。女性は筋肉が少ないために筋肉からの発熱量が少なく、男性よりも冷房病になりやすいといわれているため、こまめに体を動かすといいでしょう。
下半身には大きな筋肉があるので、無理のない範囲でウォーキングやスクワットなどを取り入れてみると効率よく体を温めることができます。


入浴はシャワーで済ませず湯船につかる

夏はシャワーで済ませる人は多いと思いますが、夏でも湯船につかるのがおすすめです。
次のような理由で冷えの改善に効果的です。

  • お湯による温熱作用で体が温まる
  • 体にかかる水圧で血液の流れが改善する 
  • 38~40℃ほどのぬるま湯につかると、副交感神経が優位になって血行が促進される
  • 発汗作用が働いて体温調節機能の回復に役立つ

所長の透析中の冷房病対策

  • 脚元にヒーターマットを敷いています。
  • エアコンの風が直接当たる際には、弱めるまたは消していただきたい旨をスタッフさんに伝えます(我慢し過ぎると脚のつりにも繋がります)。

透析室における空調の問題は「永遠の課題」といえるでしょう。前提として暑がりな方と寒がりな方とでの個人差がありますが、医療者は動いているから暑く、透析者は床に近い場所(温度が低い)に動かずに長時間いるので寒くなりやすいのです。
空調についての要望は医療者に伝えづらいことと思いますが、週3日決して短くない時間の滞在で、毎回我慢し続けるのはとてもストレスとなります。自分で可能な対策をできる限り取りつつも、我慢しすぎず医療者と適切にコミュニケーションをとりながら体調管理を心掛けたいですね。

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s.yuri

s.yuri
じんラボのライター。大学卒業後、地元紙で主に教育や警察、司法、スポーツ、地域ネタを追いかける社会部記者として働き、その後夫の転勤に伴いゆるいフリーランスでライター・編集者として活動してきました。
学生時代から医療福祉に関する執筆に関わりたいと思っていたのが、十数年の時を経てじんラボでご縁をいただました。透析や腎臓病の勉強を重ね、少しでも元気の出る情報をお届けします。

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