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春はストレスに要注意! 腎臓とストレスの関係
2021.4.26
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環境の変化による緊張や不安定な天候などが原因で、春は気づかないうちにストレスが溜まりやすい季節です。ストレスが溜まると自律神経が乱れ、「体がだるい」「何に対してもやる気が起きない」などの心身の不調が表れやすくなります。腎臓病・透析患者さんは、体調を安定させるためのストレスの対処法を改めて見直してみましょう。
ストレスと腎臓の関係
ストレスとは外部から刺激を受けたときに生じる緊張状態を指します。ストレスを引き起こす刺激を「ストレッサー」と言い、主に以下の種類が挙げられます。
- 物理的・化学的ストレッサー
- 寒暖差、騒音、酸素や栄養素の欠乏、薬害など
- 生理的ストレッサー
- 睡眠不足や疲労、病気、ケガ、飢えなど
- 社会的・心理的ストレッサー
- 人間関係や経済状況の変化などによる不安・緊張・怒り・寂しさなど
ストレスはすべてが「悪」というわけではありません。適度なストレス(緊張感)は、モチベーションやパフォーマンスの向上、達成感などをもたらします。
しかし、過度または長期間かかるストレスは、うつ病などの精神症状をはじめ、自律神経失調症、高血圧、糖尿病などを含む生活習慣病を引き起こす可能性があります。
腎臓病・透析患者さんはストレスを溜めないことが重要です。ストレスは暴飲暴食や飲酒量、喫煙数の増加など腎臓の負担増加につながる行動に陥りやすくなるほか、ストレス下では免疫力が低下しやすく、感染症にかかるリスクが高くなるためです。
高血圧と腎臓の障害の悪循環
生活習慣病の中でも、高血圧はストレスや腎臓と特に深い関係があります。
ストレスなどによって腎臓への血流量が減ると、血圧の上昇をサポートするホルモン「レニン」が分泌されて血圧が上がります。血圧が高い状態が続くと腎臓の糸球体に負荷がかかって硬くなり、腎臓の機能を低下させます。
腎臓の働きが落ちると、体内の余分な塩分や水分がうまく排出されなくなるため、体液・血液量が増加して血圧が上昇します。このように、高血圧と腎臓の機能障害は相互に促進し合っています。
病気自体がストレッサー
腎臓病・透析患者さんは水分や食事制限をはじめ、通院や透析による拘束感、将来への不安、周囲の理解不足など、病気自体が強いストレス要因になります。
じんラボが行ったストレスに関するアンケートには、次のような意見が寄せられました。
- 周りの患者さんと自分を比べてしまいます。先生が回診で隣の患者さんに話している事が丸聞こえで、プライバシーは?といつも思ってしまいます。(50代女性/埼玉県/透析歴3~5年)
- 感染症で入院退院後に車の運転を止めたら、交通の便が悪いため市の助成金では足りない。移動手段は殆どタクシーという生活で金銭面でストレスが大きい。(50代女性/滋賀県/透析歴21~30年)
- 透析後に強い倦怠感が生じる。(50代男性/兵庫県/透析歴21~30年)
- 看護師が患者によって対応を大きく変えることがある。(60代男性/静岡県/透析歴6~10年)
アンケート全体を通じて、透析をしていない腎臓病患者さんは食事制限の厳しさや将来への不安、倦怠感/吐き気などの身体症状にストレスを感じ、透析患者さんは水分管理や自由時間の少なさなどに特に強いストレスを感じていることが分かりました。
透析患者さんを対象に行ったある調査によると、精神疾患の中でも特に抑うつが最も発症頻度が高く、さらに抑うつ症状が現れる人は一般人口と比べて多く見られたそうです。
じんラボが行ったアンケートでも、腎臓病・透析患者さんの70%以上がうつ病や抑うつ状態を経験していると回答を得ました。
- じんラボリサーチ【第9回】腎臓病・透析患者の70%以上がうつ病・抑うつ経験者!? 患者を取り巻くメンタルケア環境の実態
2017.12.4 文:じんラボスタッフ
自分に合ったストレスの発散方法
~コーピングリストを作ろう!
ストレス発散方法は、運動する、音楽を聴く、ゆっくり入浴する…などが一般的に挙げられます。しかし、ストレス発散方法は人それぞれです。
ストレスとうまく付き合うために、自分の気持ちや状況にあった対処法を多く挙げておく「コーピングリスト」の作成をおすすめします。
コーピング(coping)とは、ストレスにうまく対処することでストレス反応を和らげる手法です。英語のcope(うまく対処する、切り抜ける)という言葉が由来です。
コーピングには、ストレッサーを取り除くなど原因の根本解決を図る「問題焦点型」と、感情をうまくコントロールすることでストレス反応を和らげる「情動焦点型」の2種類あります。今回は気軽に行える情動焦点型の一例としてコーピングリスト作りを取り上げます。
コーピングリストの作り方
筆記用具やスマートフォンをお手元に用意しましょう。自分の気分がすっきりすることや、落ち着くことなどを、とにかくリストアップしメモを取ります。
リストアップには次の2点を意識しましょう。
1点目は、自分のためになる行動をすることです。やけ食いなどのように追々後悔する行動は、後のストレスになるため避けましょう。
2点目は行動をできるだけ細かくすることです。例えば「運動する」は、「景色を見ながらゆっくり散歩する」「エアロビクスをして思いっきり汗をかく」「アロマオイルをたいてゆったりヨガをする」などと詳細に書き出せます。細分化することで項目(選択肢)が多くなり、その日の気分や体調に合わせた対処法を選ぶことができます。
所長のコーピングリスト
- 70~80年代当時にヒットした歌を聴く(Youtubeで当時の映像を見ながら)
- 昔のプロレスなど格闘技の試合動画を見る
- ドライブ(できれば自然豊か場所)に行く
- カラオケに行く(現在はコロナ禍で行けてませんが…)
- 近くのお店で駄菓子を買う
- スイーツ(できれば好物のモンブラン)を食べる
- 本屋に行ってさまざまな本に触れる
- 雑貨屋・文房具屋に行く
【執筆後記】
不安が頭から離れなかったり、やる気や興味がわかなかったり…とストレスによる不調は人それぞれです。ストレスの原因も、受け止められる器も人によって大きく異なります。
「辛いのはあなただけではない」という言葉が励みになる方もいれば、反対に負担となり「だから自分も、もっと我慢しなければならない」などとより思いつめてしまう方もいます。あなたが辛いと感じたときは、他人と比べないことが大切なのです。ストレスを我慢しすぎず、コーピングリストを作成していつでも前向きな気持ちになれるよう準備してみてください。没頭するなどしてストレスを発散するか、誰かにその気持ちを話しても良いかもしれません。
コロナ禍による自粛生活の中で、ストレスが溜まり、うまく発散できていない方は多いと思います。
誰かに話を聞いてもらいたい、でも身近な方には相談しづらいときなどには、ぜひじんラボを活用してください。「しゃべルーム」には同じ腎臓病・透析仲間が集まり、「じんサポ」ではピアサポーターが悩みをあたたかく受け取ります。
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参考
- 厚生労働省「ストレスって何?」(2021/4 アクセス)
- SBS静岡健康管理センター「教えて!健康」(2021/4 アクセス)
- NHK「ストレス対策徹底解説 原因や解消法、注意したい病気」(2021/4 アクセス)
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