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管理栄養士の栄養サポート体験談~あるある話~

【第2話】医療者にも難しい…腎臓病食の栄養指導あるある話

2024.2.26

文:高山菜々子

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管理栄養士の栄養サポート体験談~あるある話~②

皆さん、栄養指導を受けたことはありますか?
正しくは「栄養食事指導」といい、管理栄養士が、食生活に不安のある人や病気によって食事制限のある患者さんの食事相談に乗ったり、食事療法を提案するものです。
今回はそんな栄養指導のあるある話を2つご紹介します。


腎臓病食の指導が苦手な管理栄養士が多い⁈

腎臓病食は栄養素や量に気をつけたいポイントが多いため、患者さんとご家族には、機会があればぜひ栄養指導を受けていただきたいと思っています。

私たち管理栄養士が腎臓病や透析の栄養指導をする際、以下のようなことを考えます。

  • 腎機能が低下すると、体の中で何が起こるのか
  • 気を付ける栄養のポイントがいくつもある
  • ②を料理に置きかえるとどうなるか
  • 患者さんに合わせてどう提案したら実践しやすいか

管理栄養士は検査結果を見て、患者さんのお話を聞きながら、同時に頭の中では食事療法の実践方法をいろいろ考えています。
そして考えた結果を整理して、患者さんにしっかりお伝えするべきなのですが……。
病院の栄養指導にはバラツキがあることがわかってきました。

現在、在宅訪問管理栄養士をしている私は、かかりつけ病院の治療方針や栄養指導とズレが生じないようにするため、食事サポートの前にいつもお客様に確認しています。
「病院でどんな栄養指導を受けましたか?」
そうすると、こんな返答があります。

  • パンフレットを渡されて、内容を読み上げた感じ
  • 特殊食品や宅配弁当のカタログをもらった
  • 集団指導を1回だけ受けた
  • 栄養指導を受けていない など

病院で栄養指導の機会があれば良い方で、栄養指導がない場合やほんの少しの説明だけ、ということもあるようです。

管理栄養士イメージ

少し管理栄養士のお話をしましょう。
医療の中で管理栄養士が関わる分野は多岐に渡ります。内分泌・消化器・緩和医療(がん)・チーム医療・摂食嚥下リハビリなど、腎臓内科以外にもさまざまあります。
医師や看護師と同じで、働くうちに専門的な知識や経験を積んで徐々に専門性を磨いていき、ゆくゆくは認定資格を取得する方もいます。逆に、自分の専門分野以外は知識や経験が浅く、簡単な栄養指導に留まってしまうこともあるのです。

私の場合は、病院勤務時代に透析センターと循環器科の担当になりました。正直、入職当初は腎臓病食についてはチンプンカンプンの状態でした。透析センターで毎月患者さんに関わり、勉強を続けてやっと腎臓病食がわかるようになったのです。栄養指導に自信が持てるようになるまで、丸2年かかりました。
初めのうちは透析患者さんに実際の食生活をお聞きして、教えてもらうことばかりです。透析歴15年の方にもなるとかなりのベテランで、管理栄養士1~2年目なんて足元にもおよびません。私は透析患者さんたちに育てていただいたようなものです。
病院で勤務するうちに、腎臓内科と循環器科の栄養指導に自信が持てるようになり、「私の専門分野はこれだな」と思うようになりました(もちろん他の分野も、ある程度はできます)。

独立後、フリーランスの管理栄養士Aさんとお会いしました。私が腎臓病食のサポート事業をしていることを話すと、すごく応援してくれました。Aさんも透析の栄養指導を多く経験しており、患者さんとご家族が腎臓病の食事療法を実践することの難しさをよく知っていたからです。その時に「腎臓病が苦手な管理栄養士は多いよね」という話題になり、私の中で確信に変わりました。


指導? 注意? その言葉の意味は…

かかりつけ医からの言われること

かかりつけ医から「●●の摂りすぎに注意してください」「食べすぎたらダメですよ」と言われたことはありませんか?
私からすると、「どのくらいオーバーしていますか?」と突っ込みたくなります。

『どのくらい摂りすぎていて、どのくらい減らさなきゃいけないのか?』

具体的な数量が明確にならないと、見えないゴールを闇雲に目指すことになります。チャレンジしても、「これであっているのか…?」「いつまで続けなきゃいけないのか…?」と不安になりますよね。

病院で「摂りすぎに注意してください」と言われ、不安になった方が私のもとに来られます。状況を確認すると、決して食べすぎてはいないことがよくあります。
それなら、あのかかりつけ医からの言葉は何でしょう?
もしかしたら、診察や栄養指導などの『締めの言葉』なのかもしれません。「お大事にしてください」のような、お決まりの挨拶です。
言葉を足すならば、「(引き続き●●の)摂りすぎに注意して(お過ごし)ください」という感じでしょうか。ただの言葉足らずで、今の食事が悪いわけではない可能性もあります。
もし不安になったら、『どのくらい摂りすぎていて、どのくらい減らさなきゃいけないのか?』を確認してみましょう。

以上、2つのあるある話をご紹介しました。


難しくて当たり前! 自分を責めないで

私に寄せられる多くの悩みについて、根本的な原因を考えていくと、実は病院側の「説明不足」や「言葉足らず」だったということが少なくありません。
医師が食事に対して曖昧な表現になりやすいのは仕方がないとしても、管理栄養士までも同じようなアドバイスをしている場合は、明らかな説明不足です。

もし、病院の栄養指導を受けても、「わかったような、わからんような…」と思った場合、もしかしたら腎臓病の指導が苦手な管理栄養士さんかもしれません。
もし、受診した時に「●●の摂りすぎに注意してください」と言われたら、具体的な量を確認してみてください。

管理栄養士でも腎臓病の食事療法は難しいと感じるのだから、患者さんやご家族が難しいと思うのは当たり前です。ご自身の理解力や努力不足だと、ご自分を責める必要はありません。わかるまで、納得できるまで確認してみましょう。

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高山菜々子

高山菜々子
在宅訪問管理栄養士。
特別養護老人ホーム、病院勤務を経て、現在は腎臓病食サポート事業をしています。
病院勤務時代に、循環器と透析センターの担当で3000件以上の栄養指導をさせていただきました。透析患者様のご家族とお話しした時に、食事療法の混乱と、毎日の食事作りで疲弊した姿を目の当たりにしました。実際に料理を作る家族を応援したいと思い、病院を退職・独立して、家族全体をみてサポートする在宅訪問管理栄養士になりました。

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