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私は諦めない~障害と難病が教えてくれたこと~

【第1話】決断した矢先の出来事

2020.4.13

文:徳井希望

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皆様、はじめまして。

この度、ご縁がありましてこの「じんラボ」で体験談を連載することになりました。徳井希望(とくい のぞみ)、昭和57年生まれの37歳、現在は兵庫県在住です。
3年前の2月、34歳の時に発達障害が判明しました。知能と言語に異常が全くない自閉症の1つである、自閉症スペクトラム障害(旧名はアスペルガー症候群)と注意欠如・多動症の併発です。さらに昨夏には、厚労省指定の難病であるIgA腎症(初期の保存期)と診断されました。

現在は大手雑貨店の障害者枠で販売員をしながら、作家と公務員の夢を叶えるために通信で公務員採用試験の勉強を、加えてPCスクールに週2回、創作スクールに週1回通っています。

まずは、作家と公務員を目指すようになったいきさつと、病気と診断された経緯についてお話しします。


まさかの出来事

作家を目指すようになったのは、腎臓病の診断がつくずっと前。私が大学生で、同世代の女性作家の方が史上最年少で芥川賞を受賞したことが話題になっていた頃でした。
元々読書が好きで独学で小説を書き始めたものの、作家として食べていくのはとても難しいのが現実です。まずは社会経験を積もうと思い就活に励みましたが結果は全敗で、大学卒業後は非正規で働き始めました。

働き始めたものの、対人関係が上手く築けず転職を繰り返すばかり。特に女性特有の非言語コミュニケーションと会話について行けず、女性の同僚との関係に苦しみ、職場で浮くことが多かったのです。

こうした経験を繰り返すうちに心配になり、「対人関係 障害」とネットで検索するようになりました。すると、発達障害の特徴が多く当てはまったため精神科を受診。34歳で発達障害と診断されましたが、35歳の春に現在勤務する雑貨店に就職できました。

またこの年には、将来を考えるきっかけとなったあるドラマに出会いました。
そのドラマは、自閉症を持つ男性が主人公。テーマが発達障害だったことから興味を持ちましたが、“発達障害の性差”について、改めて考えさせられました。

男性の発達障害者の方は、幼い頃に障害の特性が出るため診断が早くにつきやすいとされています。対して、女性の発達障害者の方は男性よりも社交性が比較的高く、障害があると気付くのが遅れるケースが少なくありません。そのため、特に女性の発達障害の方は、大人になってから悩む人が多いのです。

最近は発達障害が広く知られるようになってきたため、現状は少しずつ変わってきています。しかし、発達障害をテーマにした日本のドラマには、女性が主人公の作品はほとんどないため、女性の発達障害の現実を知ってほしいと思い、作家を目指すようになりました。


自分自身で書いてみよう

35歳で作家になる道を再び決断し、物語のあらすじを作り始めました。
この頃、SNSで「作家になって、女性の発達障害の話を書きたい」「世間の人たちに性差があると知ってほしい」と呟いたことがあります。その発言に対し、以前からファンだったとある男性ダンスグループのメンバーさんから、「夢を叶えるためには、目標を持って自分自身がこうなりたいとイメージして、コツコツ行動することが大事です。あなたの本を読める日を楽しみにしています。頑張ってください」という返信をいただき、作家になる夢をさらに後押ししてもらいました。

しかし、全てが順調だと思っていた矢先、会社の健診結果で腎臓機能の異常が判明したのです。

診断結果で異常が分かったとはいえ、症状は全くありません。動揺を隠せないまま近所のクリニックに向かいました。
診断結果はIgA腎症の疑い。総合病院で腎生検を受けた結果、IgA腎症と診断されました。

診断が出てからも職場では明るく振る舞っていましたが、帰宅後は泣いてばかりいました。
これからどうしよう?
今の仕事を続けられるか?…と、不安で仕方がない毎日でした。

そんな時、心配した母が「障害者枠で正規の公務員目指したらいいやんか」と言ったのです。

公務員採用試験は簡単ではありません。以前の就活で市役所の採用試験に応募しましたが、一次試験で落ちています。

残業もあり、まとまった勉強時間を確保できるか不安でした。
さらに難治性の腎臓病と告げられ、そのうえSNSで返信をくださったメンバーさんの病気による休業発表があり、気持ちが深く沈み勉強どころではありませんでした。

IgA腎症の診断は、将来を見つめる大きなきっかけになったのと同時に、不安と戦う日々の始まりにもなったのです。

次回は、このように悩んでいた私がなぜ再び希望を持てたのかについてお話ししたいと思います。

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徳井希望

徳井希望
1982年11月生まれの37才、兵庫県在住。
34才で発達障害(自閉症スペクトラム障害、注意欠如・多動症)、36才の昨夏にIgA腎症(保存期)と診断される。
趣味は水泳、読書、ライブ&ドラマ鑑賞、ピアノ。特技はピアノ演奏。
現在は障害者雇用で雑貨店の販売員として働きながら、公務員と作家を目指して奮闘中の日々を送っている。

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