腎性糖尿
別名:
略号:
高血糖を伴わずに糖尿が認められる疾患です。血糖値は正常なのに継続して尿中にブドウ糖がおりる状態で糖尿病ではありません。正常では腎臓の糸球体で濾過されたブドウ糖の90%が腎近位尿細管で、残りはそれ以降で再吸収され、ほとんど尿中には排泄されません。血糖値がある程度以上高くなると、濾過される糖が多くなりすぎ再吸収が追いつかなくなり、尿に糖が漏れてきます。
尿に糖が漏れ出る値を腎の血糖排泄閾値といい、通常1dLあたり160mg前後です。腎性糖尿は血糖排泄閾値が低く、ネフロンにおける糖担体の欠損によって糸球体濾過後腎近位尿細管のブドウ糖再吸入の機能不全が起こるため血糖値が高くないのに尿中に糖が出てくるわけです。血糖排泄閾値が普通より低く、その後どれだけ血糖を上昇させてもそれ以上には糖を再吸収できないA型と、糖尿を呈しながらも最大再吸収は普通にできるB型があり、B型には常染色体優性遺伝が多いです。50〜60gの糖が尿に排泄されるが特に治療は必要ありません。腎性糖尿の人が将来糖尿病になりやすいわけではありません。健康診断で尿糖が確認されたら、血糖値も検査して糖尿病でないか確認するのが安全です。