被嚢性腹膜硬化症
別名:
略号:EPS
腹膜硬化症ともいい、腹膜透析において生命にかかわる最も重篤な合併症です。長期間腹膜透析を続けていた患者、または過去に腹膜透析を行っていた患者に起こります。腹膜がびまん性に白濁肥厚し腸管に部分的な癒着が生じ、のり付けされたように塊状に硬くなったものが広がって腸管を包み込み、反復または持続的に腸閉塞(イレウス)症状を生じ、壊死性病変から出血や感染を起こす合併症です。腹部画像検査で発見できます。
原因は明らかになっておらず、高濃度のブドウ糖透析薬や酢酸を含む透析液の問題が疑われており、腹膜透析の5年以上の長期継続や頻回の腹膜炎など腹膜を傷害する要因が積み重なって起こるとされています。症状は、嘔気、嘔吐、蠕動低下、腹痛、食欲低下、微熱、痩せ、低栄養などがあります。肥厚や硬化が激しいので手術でも剥離は難しく有効な治療法が確立されていないので、できるだけ回避、予防、早期発見すべきです。イレウスや通過障害からの栄養不良などから予後はよくなく、全身衰弱、感染症、出血によって死に至ります。腹膜の透析膜としての効果には限界があるので腹膜透析は7年くらいまでで中止し、血液透析への変更を検討します。