悪性高血圧
別名:高血圧緊急症
略号:
脳・心臓・腎臓・眼底に高血圧性変化を伴う非常に重症の高血圧です。治療をしないと半年から1年ほどで死に至る病気です。悪性高血圧は1)最低血圧が130mmHg以上、2)眼底の乳頭浮腫、3)急速に進行する腎不全、4)運動失調、知覚障害、眩暈、呼吸困難、不整脈など全身状態の急激悪化の4症状が現れる症候群と定義されています。高血圧症患者の約200人に一人がかかります。
一般的な高血圧は慢性の長い経過をたどって合併症を引き起こしますが、悪性高血圧は短期間で急速な経過をたどって腎臓や脳、心臓などの臓器に合併症を引き起こし、腎臓や網膜の小動脈壁の壊死や出血をもたらす高血圧の中で最も怖い症候群で、死に至る場合は尿毒症または脳血管出血が原因となります。悪性高血圧による腎障害を悪性腎硬化症といいます。現在は有用性の高い降圧薬、強力な血管拡張薬を使用して治療しており、患者数は減ってきています。原因疾患には、本態性高血圧症(腎硬化症)、慢性糸球体腎炎、慢性腎盂腎炎、糖尿病性腎症、褐色細胞腫、クッシング症候群、腎血管性高血圧症、レニン産生腫瘍、原発性アルドステロン症などがあります。