リンパ球交差試験
別名:クロスマッチ
略号:
臓器移植の術前検査としてドナーのリンパ球(とくにTリンパ球)に対する抗体がレシピエントの血中にないことを確認する試験のことです。臓器移植にかかわるHLA検査の中でも重要な検査です。小さなプラスティックトレイを使って標的のドナーのリンパ球をT細胞とB細胞に分離し、レシピエントの血清とさらに厳選したウサギ血清補体を添加し、37℃あるいは室温(20℃)で免疫学的細胞障害試験を行ってリンパ球の傷害の有無を調べます。検査結果が陽性の場合、移植後早期に激しい抗体関連型拒絶反応を発症するので移植は行わない方が無難とされています。抗体の中でもIgGクラスの抗体が多量にある場合には超急性の拒絶反応が起こります。
近年では術前検査が進んだことや、腎不全患者の貧血に対する治療が輸血ではなくエリスロポエチンなどに変わったために輸血での抗HLA抗体が産生されにくくなりました。また近年はリンパ球交差試験で陽性であっても、脾臓を摘出し薬剤を用いて抗体産生を抑制したり、移植前に抗ドナー抗体を血漿交換にて除去しあらかじめ免疫抑制剤を内服したりすることによって移植が可能となりました。