手根管症候群
別名:
略号:CTS
手のひらの手首中央部には、骨と靭帯に包まれて、正中神経、指を曲げる屈筋腱、指根横靭帯などが通る手根管があります。正中神経が慢性的な圧迫を受けて、小指以外の指に痺れなどの感覚が生じるのを手根管症候群といいます。手指の痺れのほか、特に就寝時に強くなる指や、肩、前腕の疼痛、ばね指、拇指球筋の委縮が起こります。進行すると神経麻痺が生じ拇指球筋の委縮が加わると、親指、人差し指、中指を曲げにくくなるので、握力が低下し、物をつまむ動作が不可能になります。手のひらを繰り返し機械的に圧迫する職業などによる手の過度の使用、屈筋腱の炎症、妊娠によるむくみ、骨折後の変形や腫瘤による手根管の圧迫、長期血液透析、粘液水腫、アミロイド―シス、末端肥大症などが原因になります。
中年以降の女性に多く起こります。腎不全では、β2-ミクログロブリンが分解・排泄できず、透析でも通常除去できないため体内に貯留し、手根管にアミロイドが蓄積し正中神経を圧迫するので、長期透析患者によく見られる合併症です。治療はステロイド剤の局所注入や手術で蓄積したものを除去するか、高性能膜を使った透析濾過法や吸着療法などもあります。