重症筋無力症
別名:
略号:
若い成人女性に多い難病の1つで、随意筋が疲れやすく反復動作を続けると脱力や麻痺に陥る疾患で、軽い運動でも骨格筋が容易に疲労し休息で回復するのが特徴です。眼瞼下垂、眼球運動の障害、複視、表情筋や口唇筋、頬筋の麻痺による筋無力症性顔貌、構音や嚥下、咀嚼、言語の障害があり、朝起床時は比較的良いが午後、特に夕方筋肉の脱力が強くなり、しばしば胸線種を伴い四肢の筋力低下や呼吸筋麻痺、球麻痺、筋委縮をきたすこともあり生命に関わることもあります。
脳からの指令を運動神経が筋肉に伝える時、神経筋接合部で神経の末端からアセチルコリンという神経伝達物質が分泌され、これを筋肉側にあるアセチルコリン受容体で受け取って筋肉の収縮運動が起こります。重症筋無力症はこの受容体に対する自己抗体(抗アセチルコリンレセプター抗体)ができ、アセチルコリン受容体が顕著に減少し神経から筋肉への指令伝達が円滑に行われなくなる自己免疫疾患です。外眼筋には神経筋接合部が多いので目の症状が主体となります。治療法には対症療法やステロイド薬、免疫抑制剤、吸着剤を用いて抗アセチルコリン受容体抗体を除去する血漿交換療法、胸腺摘除術などがあります。