腎膿瘍
別名:
略号:
腎臓の組織(腎実質)内に多発性の膿瘍が形成され、腎実質でもとくに外側の皮質あたりに膿のかたまりができる病気です。外傷、尿鬱血、血行障害などで腎臓の抵抗力が落ちている時や、感染を起こす細菌の毒力が強力な場合に、身体のほかの部分にある感染巣から血行にのって細菌が運ばれてきます。腎皮質に多発する粟粒性腎皮質膿瘍が多いですが、髄質や腎乳頭にできることもあります。小さな膿のかたまりが多数集合し周囲に炎症性結合組織を増殖する腎カルブンケルの場合は感染巣のブドウ球菌が原因となることが多いです。腎皮質および髄質を中心としたものは、尿路閉塞や膀胱尿管逆流など尿路に何らかの異常があり、腸内細菌群などのグラム陰性桿菌が原因となることが多いです。腎実質のほとんどが膿で占められ腎臓をおおっている膜を破って外の組織にも感染すると、腎周囲膿瘍になります。
主な症状としては腰痛、腹痛、高熱、悪寒戦慄、全身倦怠感があり、腎盂腎炎の症状に似ています。小さければ強力な抗生物質で治癒させることができ、症状が強く大きくなっている場合は外科的に切開して膿を除去します。敗血症のおそれがある場合は腎臓を摘出することもあります。