尿崩症
別名:
略号:
抗利尿ホルモン(バソプレシン)の不足または作用障害により腎臓の水分再吸収機能が低下して、多尿、口渇、多飲を主徴とする疾患です。淡色で比重の低い低浸透圧の尿を慢性的に多量に排泄し、体内の水分がどんどん尿として排泄されて脱水状態となり、喉が激しく渇いて頻繁に飲料を飲みます。皮膚は乾燥し、痩せて疲労しやすくなり、睡眠中も排尿と飲料を飲むのに何回も起きることになり不眠に苦しみます。健康な人の1日の尿量は1.2〜1.5Lですが、尿崩症では8〜12Lにもおよびます。
原因は、視床下部・下垂体後葉系の排泄する尿量を減らすように調節する抗利尿ホルモンの分泌のなんらかの障害によって発生します。これらを中枢性尿崩症と呼びます。一方、抗利尿ホルモンの分泌は正常なのに、抗利尿ホルモンが作用する腎集合尿細管細胞の抗利尿ホルモン受容体、およびその作用機構に異常があってホルモンが働かないために起こる尿崩症もあります。また抗利尿ホルモン受容体の形成にかかわる遺伝子の異常によって起こることもあります。これらの腎臓に問題のある尿崩症を腎性尿崩症といいます。治療には抗利尿ホルモン剤やサイアザイド系利尿剤などが用いられます。