不均衡症候群
別名:透析平衡障害症候群、透析不均衡症候群
略号:
血液透析導入初期の、血液透析中や直後に起きる症状をいいます。一般的には全身的な症状と中枢神経症状が認められます。具体的には血圧の低下や全身のだるさ、不整脈、脱力感、足に起こるこむらがえりなどがあります。また、中枢神経症状では、頭痛、悪心、嘔吐、不安感、あせり、視力障害、筋痙攣、見当識障害、振顫、意識障害、譫妄、全身痙攣、昏睡などが生じます。
透析中には細胞内と外液の間にある程度の濃度差ができてしまいます。特に脳はこの濃度差が顕著に現れ、血液と脳組織の間で、尿毒素や電解質のアンバランス(不均衡)がおこり、一時的に脳に水が溜まったことが原因で、頭痛、悪心、嘔吐が発生します。また、透析により尿素が血液から除去されるにあたり、血中への物質移動速度に比べると脳から血中への物質移動速度が遅く、浸透圧較差が生じ脳浮腫を来たすことによって生じます。他に、アルカリ化に伴うヘモグロビンの酸素解離度の低下に伴う脳組織への酸素移行速度の低下や酸塩基平衡の較差なども要因と考えられています。透析導入時に緩徐な透析を繰り返し実施することによって防止可能です。