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第3回ピアサポーター養成講座開催レポート
〜新しい仲間が増えました〜

2017.1.23

文:所長

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2016年12月18日(日)、第3回ピアサポーター養成講座を開催し8名の方に受講いただきました。
今回よりクリアコミュニケーションの藤田菜穂子さんに講師を務めていただき、「傾聴」に留まらない「話をただ聴くセンス(クリアリング)」と「相手が思いを整理して、考え行動し始める会話法」を、温かい雰囲気の中で丁寧にご指導いただきました。

藤田菜穂子さん

これまでは「ひとりで悩む患者仲間をなくしたい」「前向きに、生きがい・やりがいを持って患者さんに生活してほしい」という願いから、「そんな人達のサポーターになりたい」と立ちあがり、仲間と共にチーム☆スカイとして活動してきました。しかし、ピアサポートの定石とされる「傾聴」だけでは相手(他者)が感情を横に置いて自ら前向きな気持ちとなること、互いに支えあうことは起こりにくいのではないか、と悩み続けていました。
また、透析治療は週3回、1回4〜5時間拘束される特殊な治療なため、医療者や周りの患者との良好なコミュニケーションは、関わる誰もが健やかな心身を保つためにとても重要なことです。
そこで「傾聴」に留まらない「コミュニケーションスキル」を学び、それを活用してピアサポート活動を広げていくことにしました。

コミュニケーションスキル=サポーター自身が相手の話に聴き疲れたり、負の感情を背負ってしまうことなく、さらには話し手が思いを整理して、考え行動し始める会話法(発想を狭め行動を阻むパラダイムにシフトをつくるコミュニケーションスキル)


話をただ聴くセンス「クリアリング」

さて、今回から新たなプログラムとなった本講座。
懇親会を兼ねた昼食を挟んで朝から夕方までびっちり学びます。

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午前中のプログラムでは、人の前進を止める「パラダイム(価値観の枠組み)」と話をただ聴くセンスである「クリアリング」について学びます。

パラダイム=人や組織が本来そこへ行けるだけのものが全てそろっていても、それを止めてしまう、自然に知らないうちにブレーキをかけてできなくしてしまう、または違う結果を出させてしまう「見えない価値観の枠組み」
詳しくは「医療現場・医学教育におけるパラダイムシフトコーチング外部サイトへ」をご覧ください。

ピアサポートでは、まず相手の話と思いを受け取ることが大切です。そのためには自分自身が受け取れる状態になる必要があるため、その「受け取り方」の理論と方法を教えていただき、ロールプレイも行いました。
受講者の皆さんにとっては恐らく想像していなかった体験だったため、最初はとまどいが見受けられましたが、実際に体験するとどんどん引き込まれ、変化していく様子が印象的でした。
この私も初めて体験した時は目から鱗でした。

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自発性と行動を引き出す「インテンショナルメッセージ」

あっという間に午前のプログラムが終了し、懇親会を兼ねたランチの時間です。

それぞれ持参したランチを広げ、自己紹介から始まり色々な話で盛り上がりました。
Aさんから出た質問にみんなで一斉に答えていたところ、講師の藤田さんから「今の皆さんはAさんの話を『ただ聴いて』いないかも。もしAさんが構わなければ、この話を午後のケーススタディにしてみましょう」という提案をいただきました。
「その場(受講者自身)の話題をそのまま活かした講座?」と、その機転に驚きを隠せないまま午後の部が始まりました。

まず、午前中に受けた「人の前進を止めるパラダイム(価値観の枠組み)」をはずすことに有効な、相手の話を「インテンショナルメッセージ」の形にまとめ直して話す方法について学びました。
この理論は、まさに「なるほど!」という感じで、ピアサポートだけでなく仕事にも活かせるのではないかと、メモにも力が入りました。

インテンショナルメッセージ(意図的なメッセージ)=相手の自発性や行動を引き出すメッセージ

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続いてロールプレイです。 ランチ懇親会でのAさんの話を活用してみんなで実践してみます。
もし、ここまで学んだことを活かさず一方的にAさんに「忠告」していたら、Aさんは聴く耳を持てなかったかもしれません。しかし、Aさんは皆さんからの「インテンショナルメッセージ」を冷静に受け取り、一人一人に心からの感謝の言葉を伝えていました。

そして次はBさんに今の悩みを聴き、同じように「インテンショナルメッセージにまとめ直して話す方法」を参加者みんなで実践したところ、Bさんは自身の考えをまとめられ、行動してみようという思いが生まれたのです。

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Aさん、Bさんお2人を例に実践した「ただ聴く」あり方で相手の話を受け取ること。そして「インテンショナルメッセージ」の形にまとめ直して話す方法のロールプレイは、これから開催していく「じんサポ(ピアサポートの場)」で、不安や悩みで落ち込んでいる仲間を無理矢理ではなく自然と前向きな気持ちに向かわせ、互いに支えあうことの成就を強くイメージできるものでした。
しかし、1回学んだからといってすぐに上手に実践できるものではないので、繰り返しの学びとトレーニングは欠かせません。
実際に同じ病気の仲間をサポートし、互いに支えあっていくために、トレーニングの場もしっかり提供していこうと考えています。


拡がるじんラボのピアサポート活動

こうして、午後には実践的な学びまでできた本講座。最後に受講者全員に修了証を授与し、今後チーム☆スカイのメンバーとして活躍していただくための「チーム☆スカイの約束」を共有して終了しました。

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受講後のアンケートには「今回学んだことをピアサポートの場でだけではなく、まず身近な家族や子どもに、友人とのコミュニケーションの場でも生かしたい」という回答もありました。
この養成講座で学んだことが、皆さんそれぞれの糧になったのだと知ることができ、改めてこうした活動の意義を感じる機会となりました。

そして今回の受講者の皆さんから、今後この講座を受けてみたいと考えている方へのメッセージをいただきました。

「生きていくうえでとても役に立ちます。」

「自身のがんじがらめの価値観をちょっとはずしてみることができるかもです。」

「共に頑張りましょう。」

「無理せず、一歩ずつ一緒に!」

「ピアサポートだけでなく実生活にも生かせるセミナーです」

少しでも関心のある方、ぜひ次回の講座を受けてみませんか?
スタッフの中には、家族との関係がより良好になった人もいます。
そして私たちチーム☆スカイと一緒に腎臓病・透析患者の支え合いの輪を拡げていきましょう。

最後に、この活動は任意団体チーム☆スカイとして東京ボランティア・市民活動センターの「ゆめ応援ファンド」の助成を受けています。
また、今回はご支援いただいている企業様に新宿駅近くの広くて明るくきれいな会議室を無償でお貸しいただきました。この場を借りてお礼申し上げます。

こうした活動の継続には、ご理解のある皆さまの支えが必要です。
チーム☆スカイでは安心してトレーニングできる会場のご提供や運営資金のご支援を募集しています。
ご連絡はメールにてメールアドレスまでお願いいたします。

じんラボのピアサポート「こころのサポート活動」開催予定

開催日程や詳細は、専用ページ「こころのサポート活動『じんサポ』(オンライン開催)」に掲載中です。 また、じんラボのFacebookX(旧 Twitter)、じんラボ会員の方に毎週金曜日にお送りするメールマガジン「所長通信(無料会員登録)」でもお知らせいたします。

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所長

所長
一般社団法人ペイシェントフッド代表理事。社会福祉士。透析歴31年。
14年間勤めた一般企業を退職後、福祉職を経て、2010年9月に株式会社を設立し、2018年4月からは一般社団法人ペイシェントフッドに法人格を変更。
長い年月にわたり「治療を受ける」という「受け身の立場」で医療と関わってきましたが、腎臓病を経て、透析を受ける当事者として、その経験・想いを「腎臓病・透析に関わるすべての人の幸せのために」役立てられないかと一念発起し、起業しました。
「じんラボ」はみなさんと一緒につくりあげていくコミュニティです。
「ひとり一人の「生きる力」が、医療を支える、希望ある社会」の実現に皆さんと共に歩んでまいります!どうぞよろしくお願いします!

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