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自分のシャントをよく知ろう!
飯田橋春口クリニック・春口洋昭院長の解説とお悩み相談

【第8回】みなさまからの疑問・質問にお答えします
Part 3

2015.5.11

回答:春口洋昭

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シャントに関する疑問・質問に春口先生がお答えする第3弾です。今回は「シャント感染後のトラブルとケアはどうすればいいか? 」「シャントを閉塞させないためにはどうすればいいか? 」「血栓はシャントが太くてもできるのか?」 といった患者さんが気になるシャントトラブルの質問が寄せられました。6つの質問に春口先生に詳しく回答、解説いただきました。

質問1【シャント石灰化の原因について】
ニックネーム:アスペクト比Pさん

リドカインを使用した局所麻酔シールを使うとシャントが石灰化しやすいということはあるのでしょうか?

春口洋昭先生からの回答

ご質問のようなことは経験がありません。
また私の不勉強かもしれませんが、理論的にも局所麻酔が石灰化を促進するといったことはないと思います。
局所麻酔シールの部位は穿刺する部位になります。その部位に石灰化があるとすれば、むしろ穿刺による影響の方が考えやすいです。


質問2【感染後のトラブルとケアなどについて】
ニックネーム:アスペクト比Pさん

シャント感染で血管ごと切除する手術をしましたが、その後左手が冷たくなりました。どのような処置をすればよいでしょうか?

春口洋昭先生からの回答

どのような手術を行ったかがわかりませんが感染の手術後に手指が冷たくなったとすれば、感染が動脈までおよんでおり動脈を結紮(けっさつ:結ぶこと)切断した可能性があります。
感染が動脈までおよぶと動脈を温存することが難しいため、そのような術式になることが多いです。その場合どのレベルの動脈を結紮切断したか、またもともとの末梢循環がよかったのか悪かったのかによって症状の強さが変わります。
手指がやや冷たい程度であれば、血管拡張薬を服用したりマッサージや保温である程度改善します。
症状が強い場合は結紮切断した動脈のレベルにもよりますが、血管形成術を行い手指の血流を増やすことができます。
いずれにせよ術式と症状の強さによって治療法が異なりますので主治医とご相談ください。


質問3【シャントを閉塞させないためのケアについて】
ニックネーム:アスペクト比Pさん

シャントを作ってから10年経ち閉塞する恐れがあります。今後、どのようなケアが必要でしょうか?

春口洋昭先生からの回答

作製してから10年ぐらいすると静脈に瘤が形成されたり血管壁に石灰化が現れたり、穿刺部が細くなったりといろいろな変化が出てきます。
「閉塞する恐れがある」と言うのはスタッフにそのように言われたのでしょうか? もしそうであればどこかに強い狭窄(きょうさく:シャントの静脈が細くなること)があったり、一部の静脈が閉塞してる可能性があります。完全に閉塞する前に何らかの治療(経皮経管的血管形成術(PTA: Percutaneous Transluminal Angioplasty)など)が必要かもしれません。担当医に相談してシャントエコーなどで血管の状態を調べてもらい、治療の必要性を判断してもらってください。
また強い狭窄がある場合、ご自身では閉塞を予防することはなかなか困難です。ただ透析中の除水量が多いと血圧や体液量の変動が大きくなり、さらに閉塞の危険が増します。透析間の体重増加に気を付けてください。


質問4【血栓は太くてもできるのか、血栓を防ぐ方法について】
ニックネーム:匿名希望さん

以前、シャントの血管はかなり太い方なので、つぶれる事は無いと思っていましたが、シャントに血栓ができて詰まり、つぶれてしまいました。その時不思議に思ったのですが、シャント血管が太いのに何故血栓ができてしまったのでしょうか? 今のシャントも太い方ですが、太くてもまた血栓ができて詰まってしまう事があるのでしょうか? もし、そうなら血栓を防ぐ方法ってあるのでしょうか?

春口洋昭先生からの回答

太いシャント静脈には2種類あります。1つはシャントの流れが多く血管全体が太くなる場合です。この場合、太い静脈のスリルは良好で軟らかく触れます。このような太いシャント静脈には血栓を生じることはほとんどありません。
もう一つは細いところがあって、その手前(シャント吻合部側)の静脈の圧が高くなって太くなるものです。この場合はシャントのスリルが弱くむしろ拍動のように感じます。このような静脈は流れが遅いため、血栓が生じやすいのです。実は同じ狭窄の程度であれば細い静脈よりも太い静脈に血栓ができやすいのです。

道路で考えてください。2車線の道路で1車線だけが工事中で車一台だけが通れる場合、ある程度渋滞しますが車は止まることなく通過します。
しかし4車線のうち3車線が工事中の場合は、同じ車が一台通れるスペースがあっても4車線分の車がそこに殺到するため大変な渋滞が生じます。

これと同じことがシャントの静脈でも起こります。すなわち同じ程度の細さならその手前の静脈が太ければ太いほど、血液がよどんで血栓が生じやすいのです。

ご自身の太い静脈を触れてください。やや硬くて拍動を感じるようであれば、このような病態になっています。もしそうであればPTAなどで狭窄部を早めに拡張して、血液のよどみを解消することが必要になります。

間をおかずに何度もPTAが必要な場合は4車線を2車線にすることです。すなわち、太い静脈を5㎜程度の人工血管に取り換える(その場合狭窄部のいっしょに治療ができる)などの治療法があります。


質問5【足にシャントを作ることについて】
ニックネーム:匿名希望さん

足にシャントを作る人がいると聞いたことがありますが、希望をすれば誰でも足にシャントを作る事ができるのでしょうか?

春口洋昭先生からの回答

下肢(脚側)にシャントを作製することは理論的には可能です。 2つの方法があります。1つは足首でシャントを作製してふくらはぎの静脈で穿刺するというものです。これはとても特殊な場合だけしか行いません。痩せていてその部位の静脈に穿刺できることが必要です。また足の血流がある程度保たれていないと術後の足指の血流が悪くなる可能性があります。それから靴によって吻合部が圧迫されることが考えられます。またふくらはぎは日常生活でぶつけたり、けがをすることが多いため、寝たきりの患者さん以外ではほとんど行わないと思います。私は見たことはありますが、自分では作製したことはありません。

もう一つの方法は太ももの内側またはふくらはぎに人工血管を移植する方法です。この方法は上肢(腕側)でシャントや人工血管が作れなくなった患者さんで行うことがたまにあります。
ただ下肢が腫れたり足指の血流が悪くなったりしやすいです。過剰血流を起こしやすく、心臓に負担がかかることもしばしばです。また上肢と比べると不潔になりやすく、上肢で作れる場合は下肢に人工血管を移植することはありません。

このように下肢のシャントや人工血管には問題点が多いです。そのため希望されてもよほどのことがない限り、下肢にシャント作製や人工血管移植を行うことはありません。


質問6【吻合部への人工血管の使用について】
ニックネーム:manchanさん

透析を導入して9年目になります。その間左手に1回、右手に3回シャントを作りなおし現在のシャントは右手裏側にあります(左手にはリザーバーが入っています)。以前よりシャントトラブル(狭窄)が多くPTAを繰り返しており、現在のシャントは吻合部とその付近で狭窄してPTAをしても2〜3ヶ月ほどしか持たない状態が続いています。

シャント外来の担当医より「狭窄する吻合部の血管を人工血管にしてはどうか? 」という提案を受けました。
春口先生の解説では「吻合部近傍の狭窄では人工血管を使わないのが一般的だ」とありました。吻合部分に人工血管を入れてよいかどうか分かりません。拒否反応はないのでしょうか?
また、吻合部に人工血管を使用した例はありますでしょうか? 吻合部分のみを人工血管にするという方法について、先生のお考えとメリット、デメリットを教えていただきたいです。
担当医の説明では「穿刺をする部分ではないので、感染症のリスクは低い」との事です。ちなみに現在のシャントを中枢に作り直すことは難しいです。

春口洋昭先生からの回答

確かに吻合部だけを人工血管にする方法はあまり行いません。その場合は、中枢で作製することが可能な事が多いからです。
ただご質問では「3回シャントを作りなおしており、中枢に作り直すことは難しい」とのことですが、それは裏側(尺側※と思いますが)にシャントがある場合、中枢で作り直すには動・静脈の距離があるため、静脈を多く剥離すると穿刺部位が少なくなる可能性が高いからだと思います。※尺側(しゃくそく:腕を手前に曲げた時に外側にくる部分)

このような場合は動脈から静脈まで人工血管(3cm程度)をつないで、新たなアクセスを作製すれば現在と同じ部位で穿刺が可能になります。私もこのような場合は、吻合部だけを人工血管にするシャントを作製することはあります。
担当医も同じような考えで人工血管を勧めたのだと思います。また、人工血管は穿刺さえしなければ感染するリスクは非常に低いというのはその通りです。

吻合部だけを人工血管にするメリットは
①穿刺部が温存される。
②剥離する静脈が少なく、出血などが少ない
③過剰血流になる可能性が低い

デメリットは
①わずかであるが感染のリスクは通常のシャントより高い(手術中に感染しなければ、その後感染することはほとんどない)
②人工血管と静脈の吻合部に狭窄を生じることがある。

中枢で再建することができないシャントであれば、吻合部だけを人工血管にするのはよい方法と思います。

※個別の返信は行っておりません。

春口洋昭

春口洋昭

東京の飯田橋でバスキュラーアクセス専門外来のクリニックを開業しています。午前中に主にエコーを用いて、シャントの診察を行って、午後はPTAや手術の時間にあてています。私は鹿児島大学医学部を卒業後、東京女子医大腎臓外科に入局し、太田和夫先生の指導のもと、一般外科、腎移植、泌尿器科などの研修を受けました。8年前に開業してから、もっぱらバスキュラーアクセスの診療に携わっています。 飯田橋春口クリニック外部サイトへ

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