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自分のシャントをよく知ろう!
飯田橋春口クリニック・春口洋昭院長の解説とお悩み相談

【第6回】みなさまからの疑問・質問にお答えします
Part 1

2015.1.6

回答:春口洋昭

緑の文字の用語をクリックすると用語解説ページに移動するよ。

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春口洋昭先生に聞いてみたいシャントやシャントのトラブルに関する疑問・質問を連載開始当初から募集したところ、たくさんの応募をいただきました。
特に透析歴が長い患者さんは、さまざまな疑問を持っていたり、トラブルを抱えているようです。
1回の掲載だけでは収まらない数の質問が寄せられたため、今回から3回にわたり皆さまからの質問と春口先生からの回答をご紹介します。

質問1【静脈と動脈をつないだときの素朴な疑問】
ニックネーム:もりぞうさん

素朴な疑問かもしれませんが、前から気になっていたので質問させてください。
シャントは静脈と動脈をくっつけて作られるので、静脈の血と動脈の血が混ざるということになります。それは何か害があったり、後から問題が出たりするのでしょうか。

春口洋昭先生からの回答

ご指摘のようにシャントでは、静脈に動脈の血液が混入します。これはとくに害はありません。逆に動脈に静脈の血液が混じると、組織の酸素濃度が低下するため、手指(爪)や唇が紫色に変色します。すなわち混ざった血液が動脈と静脈のどちらに流れるかで違うのです。シャントでは混ざった血液が静脈に流れるため心配はいりません。


質問2【シャント周辺の炎症や、かさつきについて】
ニックネーム:サエキさん

先生の連載の第2回「シャントを視て、触って、聴いてみよう。自分でできるトラブルの早期発見」に「シャント血管だけでなく、皮膚が赤くなっていないか、または手指が青白くなっていないか、かさかさしていないか、腕全体が腫れていないか、などをチェックしてください」とありました。シャント血管の状態と皮膚の赤味、かさつきは何か関係があるのでしょうか?

春口洋昭先生からの回答

シャント血管に血栓ができたり感染があると、皮膚が赤くなり痛みが出ることが多いです。突然赤くなった場合はこれらの事が起こっている可能性があるため、すぐにスタッフにお伝えください。固定のテープにかぶれると赤くかゆみが出ますし、瘤化したシャント静脈の血管壁に石灰化があると周囲の組織と癒着するため、時々赤く痛みが出ることがあります。これらは感染ではありません。3週間程度で自然と軽快しますので心配はいりません。

シャントに全く問題がなくても、かゆみがあってひっかくと皮膚に炎症が起こって赤くなります。また冬場はかさつきが見られることが多いでしょう。これらの変化があると皮膚のバリアーがくずれて感染しやすくなります。ですから特に冬場は十分に保湿して清潔に保つことはとても大事です。


質問3【止血方法について】
ニックネーム:くまばちさん

クリニックの看護師さんから指で押さえる自己止血の方法を覚えるように言われました。ベルトでの止血の方が患者としては楽ですが、自己止血とベルトでの止血どちらがシャントにはいいのでしょうか? またその理由を教えてください。

春口洋昭先生からの回答

可能であれば指で止血するのが良いです。ただ、正確に止血しないと漏れたり、止血時間がかかったり、場合によってはシャントが閉塞することがあります。そうならないためにはトレーニングが必要です。 いくつかのポイントを挙げます。

1.正確に血管の穿刺部を押さえる。
皮膚の穿刺部と血管の穿刺部は少しずれます。皮膚の厚さにもよりますが、どのくらいずれているのかをイメージして押さえなければなりません。

2.針孔(めど:針で開けた穴)よりもやや上流(血液が流入する側、シャントでは手首側の事が多い)を押さえる。
下流側で押さえると、流れをせき止めるようになり、かえって針孔からでたり、皮下血腫ができたりします。

3.強すぎず、弱すぎずの力で押さえる。
押さえる力が弱いと、針孔からの出血がいつまでも続いたり、皮下血腫ができることがあります。ただ逆に強く押さえるとシャントの血流を遮断して、シャントが閉塞する危険があります。最初はシャント血流が遮断しない程度に少し強めに押さえ、徐々に力を弱めるのがポイントになります。弱めた場合針孔から出血する場合は出血がないところまで再度少し強く押さえます。

止血ベルトはとても便利で患者さんとしては重宝すると思います。これも使い方が大切でまず針孔にきちんと圧力がかかるようにすることです。特に瘤になったところに穿刺している場合は止血部位が横方向にずれて出血することがあります。また強さの加減が難しく、強くなりすぎたり、弱すぎたりすることがあります。人は強さを微妙に調節することができますが、ベルトではできません。止血時間も重要で、遅くても帰宅してすぐベルトを外さなくてはなりません。

帰宅してから出血した場合には自分で止血しなければなりません。また、臨時で他の透析施設で透析を受けることがあるかもしれませんが、その施設では止血ベルトを使用しない可能性もあります。自己止血方法を知っておくことは、自分でシャントを守るという意識を持つうえで重要な事と思います。


質問4【血流量について】
ニックネーム:よしゆきさん

クリニックの先生から血流量を上げるように言われたのですが、現在すでに300mL/minを超えており、これ以上、血流を上げて良いのか心配です。血流量はどのような基準で、どの程度まで上げることができるのでしょうか?

春口洋昭先生からの回答

どのくらいの血流量にするかはクリニックの先生の考え方があり、一概には言えません。 標準的な血流量は日本では200mL/min程度です。欧米では300mL/min〜400mL/minで、日本よりも多くの血流量をとっています。透析量と生存率の因果関係も出されており、透析量を増やすことで生命予後が改善するとのデータもあって、可能な限り透析量を上げようとする考え方もあります。
どれぐらいの血流量が適正かに関しては、クリニックの先生の考え方次第になりますが、最低でもドライウエイト1kgあたり4mL/minを維持透析患者の目安にするという考え方があります。例えば70kgの患者さんでは280mL/minになります。
よしゆきさんはすでに300mL/minを超えている血流量であり、透析時間や膜面積にもよりますが通常は十分な透析量があると考えられます。さらに血流量を上げる理由としては、現在の透析量ではまだ少ない場合(体格が大きく透析効率が低いなど)と、さらに透析量を増やして生命予後を改善させようとする意図のいずれかと考えられます。

血流量を上げることによって、血圧が低下したり心機能に悪影響があると心配されるかもしれませんが、ゆっくり血流量を上げるのであればほとんど問題はありません。ただし急速に血流量上げると低カリウム血症をきたす可能性もありますので、少しずつ上げることが望ましいと思います。

またシャントによっては300mL/min以上の血流を上げられない場合もあります。シャントがその血流量に耐えられるかも判断材料になります。 いずれにせよ担当の医師とよく話し合い、なぜさらに血流量を上げる必要があるかをよく聞いてみてください。納得して徐々に血流量を上げるのであれば問題ないと思います。ただよしゆきさんが納得できないのであれば、血流量を上げるのはお勧めしません。


質問5【シャントの発達について】
ニックネーム:アヤナミさん

シャント手術をした後、静脈が発達して太くなるといいますが、これは太くなりすぎて困るということはないでしょうか? また、シャント手術後、血管がものすごく発達する人と、なかなか発達しない人がいますが、根本的には何が違うのですか?

春口洋昭先生からの回答

私は開業してから6,000人近い透析患者さんのシャントを拝見していますが、確かにシャントの発育は人それぞれで、とても太くなる方と発育が悪く非常に細い血管の方がいらっしゃいます。
通常はシャントを作製して2〜3か月になると穿刺可能な程度に発育し、その後少しずつ太くなり5〜10年では安定したシャント静脈になります。その後血管石灰化や狭窄の進行または穿刺によって、一部が瘤化したり、狭窄、閉塞を伴ったシャントになっていきます。40年以上も1つのシャントを使い続ける患者さんもいる一方で、シャントの発育が悪く3か月以内に治療が必要な方もいらっしゃり、本当に千差万別です。
このようにシャントの発育が異なるのは一言でいうと血管の性質と状態の違いです。

若い患者さん(特に男性)で糖尿病や動脈硬化症がなくて腎臓以外の血管が良い場合は、シャント作製の翌日から穿刺可能になるほど太くなることがあります。このような患者さんでは動脈も静脈も非常に太くなり、さらに血流量が増加するといった循環が生まれます。場合によってはシャントに3,000mL/min以上の血流が流れ込み、過剰血流となって血流を少なくする手術を行うこともあります。また瘤ができて破裂の危険がある場合は手術が必要になります。
一方、特に高齢の女性で基礎疾患として糖尿病や高血圧症を有する患者さんは、もともとの血管が細いことに加えシャント作製時にすでに動脈硬化が進行しています。さらに静脈壁も厚く、拡張力に乏しくなっています。このような患者さんではシャントを作製してもなかなか血管が太くなりません。現在はむしろこのような患者さんが増えシャントの発育不良が大きな問題になっています。


質問6【シャント感染について】
ニックネーム:コウムラさん

私は人工血管ではなく普通のシャントなのですが、シャント感染で私たち患者が気をつけなくてはいけないことはなんでしょうか? また、透析の直後のお風呂、シャワーはNGとよく言われますが、体を洗うのはシャントの衛生にはよくないのでしょうか?

春口洋昭先生からの回答

シャントの感染予防はとても大事ですね。患者さんが気を付けることもいくつかあります。

1.皮膚の状態を良好に保つこと。
最も大切なのは、皮膚を乾燥させないことです。皮膚には細菌感染を予防するバリアー機能を持っていますが、乾燥するとそのバリアーがなくなってしまい細菌感染を引き起こしやすくなります。乾燥で皮膚がかゆくなると皮膚をひっかき、さらにかゆくなるといった悪循環を起こします。特に冬期は乾燥しやすくなりますので、ワセリンなどを薄く塗り保湿を心がけてください。

2.穿刺部からの出血をそのままにしない。
止血後に絆創膏で保護しますが、テープに血液が付着したままにしておくと感染のリスクが高まります。透析後少なくとも12時間以内には絆創膏をはがすようにしてください。出血していなければそのままで良いですが、じわじわ出血する場合はきれいなガーゼで少し押さえて、止血を確認した後に新しい絆創膏で保護してください。

3.透析日の入浴とシャワーはNGか? 
実は透析日に入浴をして感染が増加したとのデータはありませんので、透析後の入浴の是非はよくわかっていないのです。ただ一般的な事項として穿刺部は太い血管の上にあり、そこから感染すると血液内に細菌が全身に回る(敗血症)になる可能性があります。浴槽のお湯には雑菌があり、穿刺の傷から菌が侵入することは防げません。そのため大事をとって、透析直後は入浴をしないように指導されていると思います。シャワーに関しては直後でなければ(6時間程度経過)個人的には問題はないと思います。 またご指摘のように身体を洗うのは衛生管理としてはよいことですが、通常一日おきの入浴やシャワーでも十分良い衛生状態は保てます。毎日シャワーを浴びないと感染が予防できないということはありません。シャント管理に関しては透析施設が責任を持っており、入浴やシャワーに関しては施設の方針に従うのがよろしいかと思います。


質問7【シャントを長持ちさせることについて】
ニックネーム:そらまめさん

透析導入してすぐの頃は血管が細かったこともあり、頻繁に詰まったりしていましたが、再建手術をしてからは特に大きな問題もなく過ごしております。実際、シャントを長持ちさせるのには、患者はどのようなことに注意すればよいのでしょうか? また、定期的に経皮経管的血管形成術(PTA: Percutaneous Transluminal Angioplasty)を処置すべきと主治医の指導をうけていますが、これはその通り定期的に受けた方が良いのでしょうか?

春口洋昭先生からの回答

シャント再建手術後に問題ないとのことで、よかったですね。おそらく狭窄部の中枢で再建したのでしょう。

1.シャントを長持ちさせるために患者さんが注意すべきこと。
シャントはご自身でいくら注意しても狭窄してしまったり、また突然閉塞することもあります。シャントは元々非生理的な血流であり、静脈には通常の10倍以上の血流が流れます。そのため血管壁は傷害をうけて壁が厚くなったり、石灰化が起こることは避けられません。ある程度のところで進行が止まれば長持ちするシャントになります。
患者さんができることは、狭窄の進行を早期に察知することです。毎日指でシャントを触れてください。手に「ざわざわ」とした感じが伝わるでしょうか? これがスリルと呼ばれているものです。スリルが弱くなったときは、それよりも吻合部側の狭窄が疑われます。またスリルから拍動に変わったときはそれより中枢側の狭窄が疑われます。また聴診器を持っているのであればシャント音を聞いてください。「ザーザー、ゴーゴー」という連続音が聴くことができれば問題ありません。音が弱くなったり「ザッザッ」のような断続音に変化すれば狭窄の進行が疑われます。
もちろん透析スタッフも触診や聴診を行っていますが、自分の血管の変化はご自身が最もよくわかると思います。少しでも変化があればスタッフに知らせてください。

2.定期的なPTAは必要か?
新しいシャント作製後に明らかな狭窄がなければ、もちろん定期的なPTAは通常は必要ありません。今回の場合は、新たに狭窄したか、以前からあった狭窄部が進行したためにPTAを勧められているものと思います。狭窄部が脱血部と返血部の間にある場合は狭窄が進行しても脱血不良や静脈圧上昇などの症状がでません。そのまま放置しておくと突然閉塞する危険があります。おそらくそのような病態であり閉塞する前のPTAを勧められているものと思います。ただこの場合いつPTAを施行するかは難しい問題です。軽度の狭窄であれば、PTAが血管に傷害を与えて再狭窄までの時間を短くすることもあります。主治医になぜPTAが必要なのか、そのメリットとデメリットを聞いて判断されるのがいいでしょう。

次回は「みなさまからの疑問・質問にお答えします Part 2」です。お楽しみに!

春口洋昭

春口洋昭

東京の飯田橋でバスキュラーアクセス専門外来のクリニックを開業しています。午前中に主にエコーを用いて、シャントの診察を行って、午後はPTAや手術の時間にあてています。私は鹿児島大学医学部を卒業後、東京女子医大腎臓外科に入局し、太田和夫先生の指導のもと、一般外科、腎移植、泌尿器科などの研修を受けました。8年前に開業してから、もっぱらバスキュラーアクセスの診療に携わっています。 飯田橋春口クリニック外部サイトへ

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