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自分のシャントをよく知ろう!
飯田橋春口クリニック・春口洋昭院長の解説とお悩み相談

【第10回】みなさまからの疑問・質問にお答えします
Part 5

2015.12.3

回答:春口洋昭

緑の文字の用語をクリックすると用語解説ページに移動するよ。

お待たせしました! じんラボをご覧の皆さんがシャントについて感じる疑問・質問に、春口先生がお答えする第5弾です。今回は「除水が多いとシャントが閉塞するのはなぜか」「同じところに繰り返し穿刺をするのはなぜよくないのか」「シャントの作製時期について」「止血がうまくいかないこと」といった質問が寄せられました。今回も「なるほど!」と納得の回答です。

質問1【除水が多いとシャントが閉塞するのはなぜか】
ニックネーム:ニンニンさん

ついついお水を飲み過ぎて、毎回の体重測定で技士さんや看護師さんから怒られてしまいます。先日ある看護師さんから「こんなに体重が増えたら除水が多くなってシャントが潰れちゃうよ! 」と注意されてしまいまいました。どうして除水が多くなるとシャントが潰れてしまうのでしょうか?

春口洋昭先生からの回答

シャントに限らず血液を流すためには、ある程度の血管内の水分が必要になります。除水が多くなると、短時間で血管内の水分量が減少して血栓ができやすくなるのです。また除水が多くなると血圧が低下してシャント血を流す力が弱まり、血液がよどみやすくなります。このことも血栓の原因となります。水分量が徐々に変化するのであれば、身体が血管内水分量を調節することができるため血栓はできにくいですが、血液透析のように短時間で水分量が変化すると血管内水分量を調節することが困難になり血栓ができやすくなります。


質問2【同じ所に繰り返し穿刺するのはなぜ良くないのか】
ニックネーム:ばんやさん

クリニックのスタッフさんは、いつも新しい場所を探して穿刺するのですが、これがいつも痛くて仕方がありません。前回穿刺した時に痛くなかったことがあり「前と同じところに刺してほしい」とお願いしましたが「それは良くない」と言われました。同じ所に繰り返し穿刺するのはなぜ良くないのでしょうか?

春口洋昭先生からの回答

穿刺をすると血管の壁が傷つきます。しばらくすると自然に修復しますが、同じ部位を反復して穿刺すると修復する時間が無くなってしまいます。穿刺部の壁が弱くなって瘤を作ったり、逆に血管の壁が硬くなって、狭窄(きょうさく:シャントの静脈が細くなること)を起こす可能性が高くなるのです。そのため、同じ部位に反復穿刺するは避けるのが望ましいのです。


質問3【シャントの作製時期について】
ニックネーム:保存期さん

いよいよ透析導入が近づいてきたらしく、主治医からはシャントを作製しておいた方が良いと言われました。できることならまだ透析を先延ばしにしたく、すぐにシャントを作らなくても良いのではないかと思うのですが「体調が良いうちに内シャントを作製した方が良い」と言われました。なぜ体調が良いうちにシャントを作る必要があるのでしょうか?

春口洋昭先生からの回答

シャントが成功するかどうかは、もちろん手術する医師の技量や患者さんの血管そのものが大きく関係します。ただそれ以外にも患者さんの体調も重要な因子となるのです。特に脱水や溢水(いっすい:水があふれること)状態、低栄養、低血圧などはシャントの成否に強くかかわります。腎不全が進行するとこれらの症状が出やすくなり、術後のシャント閉塞や発育不良の原因になります。
またシャントを作製すると、シャントを流すために心臓の負担が増加します。腎不全末期ではすでに水分過剰による心臓の負荷が強くなっていますので、その状態でシャントを作製すると心臓が耐えきれなくなり心不全をきたす危険が高まります。そのためある程度体調のいい時にシャントを作製するのが望ましいのです。


質問4【止血がうまくいかないことについて】
ニックネーム:ぶらっどさん

透析終了時は止血バンドで5分ほど止血をして、体重を計ってロッカールームへ行くのですが、私の場合帰り間際の着替えをしている時に突然出血してしまいます。かなり血が流れてしまい「洗うのは誰だと思っているのよ」といつも妻から叱られてしまいます。透析後にこうも出血してしまうのには何か理由があるのでしょうか? どうすれば改善できますか? よろしくお願いいたします。

春口洋昭先生からの回答

いったん止血したと思っても、その後突然出血する場合は2つのことが考えられます。
1つは穿刺している血管壁や皮下組織が薄い場合です。頻回に同じ部位を穿刺すると血管に瘤を形成することがあります。そうすると血管壁や皮膚が引き伸ばされ、止血する力が弱くなります。
もう1つはシャント血管の内圧が高い場合です。シャントは通常の静脈血の10〜20倍の血液が流れます。穿刺しているところより中枢側(肩側)に狭窄がなければ、シャント血管への圧力はそれほど高くなりませんが、狭窄があるとその血液の行き場がなくなり血管の圧力が高くなります。ホースの出口をつまむとホース内の圧力が高くなりますが、それと同じ原理です。このように圧力が高い血管は絶えず血液の逃げ場を探します。止血直後はまだしっかりと針孔が塞がっていませんので、血管の圧力が高いと突然出血します。 いくら狭窄がひどくシャント血管の内圧が高くても穿刺すれば脱血することができるため、そのままの状態になっていることが多いです。止血不良や突然の出血が続く場合は、エコーや血管造影で調べてもらってください。高度な狭窄があれば突然閉塞する危険も高まりますので、その前に経皮経管的血管形成術(PTA: Percutaneous Transluminal Angioplasty)を行うことが望ましいです。


質問5【スタッフが穿刺をするとき何に気をつけているのか】
ニックネーム:こわがりさん

血液透析歴5年なのですが、未だにスタッフが穿刺をするのを直視できずに怖くて目をつぶっています。「見えない腕の中の血管にあんな太い針をよく刺せるな」と感心しているのですが、穿刺をするスタッフはどのようなことに気をつけながら穿刺をしているのでしょう? 「私は血管が見える」というスタッフもいて、確かにいつもうまく穿刺できています。

春口洋昭先生からの回答

まずはその日の透析が問題なく行えること、そして長期にわたってシャントが使用できることに気を付けています。そのためにはまず穿刺ミスをしないことが重要です。穿刺ミスの最大の理由は穿刺する血管の選択の間違いになります。問題なく針先が血管内に入ること、また外套針(がいとうしん:一般的な穿刺針は金属でできた内針管と外套針の二重構造となっていて、その外側の針を外套針という。患者のシャントに穿刺した後、内針管を抜き柔らかい材質の外套針を留置する)をちゃんと進めることができる血管を選びます。そのためにはよく見ること、それからよく触ることが重要になります。慣れたスタッフは少し触れただけで穿刺血管の状態や深さ、蛇行の状態を知り適切な穿刺部位を決めることができます。
また穿刺部位によっては十分な血液を確保することができません。どれだけいいシャントでも、シャント血が十分流れていない血管では脱血不良を起こします。また脱血部と返血部が近いと再循環を起こし透析効率が低下します。そのようにならないように穿刺部位を決めます。
さらに同一部位に頻回に穿刺すると瘤を形成したり狭窄の原因になりますので、穿刺部が集中しないように気を付けます。どうしても狭い範囲でしか穿刺できない場合は、少しずつ穿刺部を変えて前回と同じ部位に穿刺しないように気を付けています。

春口洋昭

春口洋昭

東京の飯田橋でバスキュラーアクセス専門外来のクリニックを開業しています。午前中に主にエコーを用いて、シャントの診察を行って、午後はPTAや手術の時間にあてています。私は鹿児島大学医学部を卒業後、東京女子医大腎臓外科に入局し、太田和夫先生の指導のもと、一般外科、腎移植、泌尿器科などの研修を受けました。8年前に開業してから、もっぱらバスキュラーアクセスの診療に携わっています。 飯田橋春口クリニック外部サイトへ

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